123話
時は少々遡り、風成が来たことで何となくの状況を察した刀真と任三郎は2人揃って神社の正面で立ち尽くしていた。寒さに震えながらも任三郎は煙草に火を付けて吸い始めている。
「それにしてもまさか、触渡に女なんかいたとはなぁ……」
「いやただのクラスメイトらしいぞ、勝手におじさん臭い妄想するなエロ刑事」
「……いや付き合っていなくても完全にあいつに気があるだろあれは、まぁ青春期真っ盛りのお前には分からんかチェリーボーイ」
「学生時の貴様に女性関係があったとは思えん、そんな貴様の貞操観念など当てになるか」
「生憎だが婚約者はいたんでね、お前よりかは恋愛経験が豊富な自信はあるぞ」
売り言葉に買い言葉、正面を向いたまま横にいる互いに対し静かに罵詈雑言を浴びせ続ける刀真と任三郎、しばらくそれが続きどちらも喋らなくなった時、瞬時にお互いを向き合って両手で押し合う。
こめかみに血管を浮かばせ相手の手を握り潰そうと力を込め、睨みの視線を前方に向ける。とどのつまりいつもの喧嘩であった。
「黙って聞いていれば言ってくれるじゃねぇかよぉ!!」
「それはこっちの台詞だ貴様ァ!!」
ここなら寝ている発彦の所にまだ声は届きまい、ならばさっきの続きをしようとヒートアップ、鼻息を荒げながら相撲のようにお互いを押し合った。
例えそこが神聖な神社であろうが2人は遠慮しない、そのまま喧嘩を続行していると、第三者の誰かが横から話しかけてきた。
「落ち着け落ち着け、神社で喧嘩なんかするもんじゃないぞ?」
「これはこっちの問題です!」
「関係ない人は黙っ……て……」
参拝者だと思われたその男の顔を2人揃って見ると、盛り上がっていた喧嘩の雰囲気は一気に凍結、刀真たちも一瞬で固まった。
その恰幅のいい体にのんびりした顔つき、まさか知り合いのようなノリで話しかけてきたので驚くのも無理はない。
しかしそれは、一瞬の間だけであった。
「――せいやぁ!!!」
即座に刀真は「伝家宝刀」を出し、流れるように抜いて刃を走らせるもバク転それて避けられてしまう。次に任三郎が十手を取り出して両手を抑えようとするも腕で払われた。
「おいおい、これが参拝者への対応か?ちょっと物騒すぎると思うぞ」
その男、牛倉一馬が神社へとやって来た。今こうして発彦が起きないのも、あいつが特異怪字になったのも全てこの男が原因だ。
すると牛倉は持っていた人造パネルを全て辺りにバラまき、大量の怪字兵をこの場に出現させる。そして一斉にこちらへ襲い掛かってきた。
「このッ……!!」
2人は向かってくる怪字兵たちに対し武器を向け、次々と迎撃していく。
刀真は刀を巧みに使い兵たちの首をどんどん刎ねていく。時に縦に並んでいた数匹を一突きで串刺しにしたり、「紫電一閃」で群がる怪字兵をほぼ同時に薙ぎ払った。
任三郎は薙刀を差し向けてくるのを躱し続け、横を通り過ぎると共に十手で体を叩き、ある程度距離を取った後拳銃で眉間を撃ち抜いていった。
そこで牛倉が「牛飲馬食」と「鯨」で特異怪字に変身、鯨から伸びる太い舌で怪字兵ごと刀真たちを一掃する。
「ぐあああッ!?」
吹っ飛ばされた2人はそのまま向拝に突っ込み、賽銭箱や他の物も巻き込んでぐちゃぐちゃにしてしまう。
「天空さん襲撃だッ!!牛倉一馬が攻めてきた!!!」
中にいる天空さんに襲撃を伝え援護を要請する。刀真たちは急いで立ち上がり神社本殿から離れる。これ以上ここをボロボロにしないようにという心遣いだ。
重い一撃は受けたがそのおかげで怪字兵を全部倒すことができた。特異怪字の牛倉は3本の舌をまるでミミズのようにウネウネと動かしている。
「発彦が戦えない時を狙ったか……相変わらず卑怯な手を!」
「そう、もし今あいつを刺激できれば暴走し、仲間割れをしてくれるとも考えている。中にいるんだろう?案内してくれよ」
しかも発彦をもう一度暴走させ特異怪字にするつもりだ。勿論そんなことをさせるわけがない、扉の前に出て拒否するように各々の武器で牽制する。
「悪いが私たちはここの人間じゃないんだ。神主の天空さんが来るまで待ってもらおう!」
「天空さんが来たらお前は絶対に勝てんぜ!」
そして天空の名前も出しての威嚇もする。他人の名前を出すのは虎の威を借りる狐のように情けないものだが、牛倉だって天空の強さは分かっている筈、そう思っての牽制だ。
「俺が海代天空の対抗策も無しに襲撃してくると思うか?入れてくれないならドアを食ってでも入ってやるッ!!」
すると牛倉は両肩の口から2枚の舌を一斉に伸ばし刀真たちを狙う。それを刀真は屈んで、任三郎は横に躱しそのまま舌の出どころへと走り出した。
石畳に突き刺さった舌先を急いで抜き、牛倉は向かってくる2人に対し舌の鞭で迎え撃つ。舌の凄まじい猛打が刀真たちに襲い掛かり、そのまま足を止めさせる。
「だぁああッ!!」
「なんて速さと威力だッ……!!」
全身を打たれ続けた2人はその乱舞と力に恐れつつ、何とかその網羅を掻い潜ろうと努力するも、舌は立て続けに全身を強打されていく。すると牛倉は舌を2人の足に絡ませてそのまま持ち上げて、空中で何度も2人を衝突させた。
「ぐあがぁッ!!」
「づぁあッ!?」
そして次に舌の位置を下げ石畳の地面に何度も引きずり叩きつける。やがて2人は擦り傷だらけで鼻血も流していた。
「この様子じゃ触渡発彦を暴走させるまでもないな。このまま俺が味わってやるよ」
逆さ吊りにしている2人を牛倉は鯨の口元まで引き寄せる。そのまま口の中に放り込もうとした瞬間、突如として連打が押し寄せてきた。
「のわッ!?」
急な攻撃に思わず姿勢を崩し、舌で捕まえていた2人を放してしまう。解放された刀真と任三郎は傷だらけになりながらも気をしっかり持ち、ちゃんと着地で来た。後ろを見れば天空が両腕を伸ばしていた。「海闊天空」の能力で遠くから自分の連打を浴びせたのだ。
2人の間に入って共に牛倉へと対峙する。瞬間、刀真たちはかつてないほどの頼もしさを感じた。
まさかあの天空と戦えるとは百人力だ。これならいける!そう思っていたが、何か解せないのか眉を寄せている。
「……攻撃が効いていない?牛倉一馬、お前何をした?」
「くっくっく……だから言っただろう対抗策があると!『鯨』によりこの体の脂肪は更に蓄えられ、打撃の威力は全部受け止めちまうんだよ……!」
そう、これこそが牛倉が考えていた秘策、「牛飲馬食」という四字熟語に「鯨」という別の漢字を咥えることによって、同じ体に2つの四字熟語という状態になり進化したのだ。
それは発彦のプロンプトスマッシュをも受け止められる程の防御力、いくら発彦の師匠とはいえ天空がそのパワーを超えるのは難しい。「海闊天空」は攻撃範囲を視界と同じ広さにするだけで、力が上がるわけじゃない。
「つまり、お前らはあいつ以上のパワーを出さなきゃ俺には絶対に勝てないわけだ」
「そうかな?昔から肉を調理するのは刃物だと決まってるぞ!」
すると刀真が先行しその体に向かって「伝家宝刀」を振りかぶるも、奴の舌によって受け止められてしまう。ちなみにこの舌が刀で斬れないことは初戦の時に分かっている。
「残念だが見当違いだ。お前が調理するんじゃない、俺が調理してお前らを食うんだよッ!!」
そう言って牛倉は跳びかかる。それに対し3人は、天空を先頭にして迎撃を始めた。舌と武器の衝突が、神社全体を振動させる。
先ほどから揺れ続けている神社に、風成は不安を隠しきれない。傍にはまだ寝ている発彦にその枕元でジッとしているリョウちゃん。
さっきの刀真の声で、風成にも誰かがここを襲ってきたことが分かり、天空がここに居るよう言ってきたことからそれを裏付けている。証拠に戦いが激しいのか破壊の音と共に揺れがここまで伝わってきていた。
(まさかこんなことになるなんて……大丈夫かなぁ……)
今までに何度も怪字を見てきたことがある風成、明石鏡一郎の特異怪字だって目の前で見たことあるし、それに攫われた経験だってある。
だけどその恐怖心はまったく克服できず、今も体が震えていた。今近くで怪物が暴れている、ここからじゃ見えないことが逆に恐怖を煽っている。
しかしここには戦える人が3人いる、きっと大丈夫だと自分に言い聞かせるもまったく落ち着かない。あの3人がやられてここに来たらどうしようと考えてしまうのだ。
すると寝息を立てていた発彦が消えるようなうめき声を上げる。その瞬間リョウちゃんは飛び上がり彼の頭上をぐるぐる回る。
そして、今まで塞がっていたその目蓋がゆっくりと開かれた。
「ん――ここは……?」
掠れるような声を辛そうに出す。無理もない、1週間何も飲食せずにずっと眠り続けていたのだ、喉が今まで通り活動するはずがない。
「触渡君……覚めたの!?」
「……あれッ!?何で風成さんがここに……ってウッ……!」
すると発彦は驚いた表情から一気に苦痛のそれになり、冷や汗も流れるように噴き出してきた。歯を食いしばり胸の辺りを強く抑え始める。
その様子に風成は慌てて彼の体を気遣い始める。リョウちゃんも心配そうにキョロキョロしだした。
「何だこの……胸の辺りにある異物感……ッ!!まるで心臓がもう1つできたみたいだ……!!ハァ……ハァ……うえッ!」
「さ、触渡君!?」
どんどん顔を青ざめていく発彦は、我慢できずに掛け布団の上で思い切り吐いてしまう。風成は急いで傍に置いてあった桶を差し出しそれを受け止める。吐しゃ物の中には血も多く混じっており、あまりの嘔吐感に涙さえ零してしまう。
「な、何があったんだっけ……俺は確か、皆と協会のアジトに乗り込んで、それから……牛倉一馬と戦って……ハッ!!」
寝込んでいたせいか何故自分がこうなっているのか忘れてしまった発彦は、記憶を整理し順々に思い出していく。そして完全な記憶を取り戻した瞬間、その顔は更に青ざめた。
慌てて着ていたパジャマの前を開け自身の上半身を露わにし、先ほど抑えていた個所に腕を入れようと必死になるも、そんなことができるわけない。
「そうだ……俺、奴にパネルを入れられて、それで特異怪字になって……」
どんどん顔が悲愴なものになっていく。無理もない、自分が怪物になったなんてこと正常な人間なら理解しきれず混乱するに決まっている。しかも一度パネルに操られた経験があるなら尚更だ。
風成だって同じような経験があり、自分を虐めていたクラスメイトを傷つけてしまったことがある。だから発彦ぐらいとは言えないがその気持ちは分かっているつもりだ。
「触渡君……落ち着いて……って……え?」
風成は慰めようと手を伸ばすと、その表情はどんどん「怒」の顔に変貌していった。目を蛇のように釣り上げて口を大きく開けて歯を食いしばる。その際発彦の歯が牙のように見えたのは現実か幻か。
「あの野郎……よくも俺に……俺にそんなことを……!!!」
見る見るうちに彼の顔が強張っていく、風成は発彦のそんな顔を滅多に見なかった。何故なら、「怒るのが嫌い」な人間は普通なら怒りの感情を顔には決して出さない、例え抱いても心の奥に隠すだろう。つまり、発彦がここまで怒りを露わにしているのは珍しいのだ。
するとリョウちゃんが自分の尻尾を掴み輪の形になり、そのまま回転しながら発彦の顔に激突、「ふぎゃ」という情けない声が出た。
「いつつ……何すんだよリョウちゃん……って、俺……今何してた?」
「……えっ?」
「いつもなら、あんな感情押し殺せていたのに……つい怒っていたというか感情の高ぶりが抑えられなかった。まさか……また特異怪字になろうとしてたのか……!?」
そう、「怒髪衝天」のパネルが内部にまだ残っているため、発彦は僅かな怒りに対しても過剰に反応するようになり、その度に特異怪字になろうとしてしまう体になってしまっているのだ。
呪いのパネルとは、大昔中国の賢者が人々の心に植え付けた物。そんな人たちが遺伝子のようにパネルを子孫に渡していき、今もそれが続いている仕組みだ。
だから元々パネルとは心に植え付けれる物、感情に揺さぶられるのもおかしくはない。現に幼少期の発彦はその怒りの感情が操られるトリガーになった。
「天空さんが言ってた……もし触渡君が怒ったりしたら、また怪字になっちゃうって……」
「……マジかよ」
またパネルに人生を狂わせられた、トラウマなんていうレベルじゃないだろう。発彦はもう嫌という程パネルと怪字に悩まされ続けた。
「……駄目だ。こうしている間にも怒りの感情が湧いちゃう。油断するとさっきみたいになる」
「触渡君……大丈夫?何かできることとかあるかな?」
「風成さん……ごめんね、大変なことに巻き込んじゃって。ところで何でここにいるの?」
「1週間も学校休んでいたから何かあったのかなと思って、お見舞いに来たの。あと中島君も来たらしいよ。宝塚先輩に追い出されたけど」
「そうなんだ、ありがとう!ところで何であいつは追い返されてるの?」
そこから2人は日常的で平和な会話を続ける。発彦はそれを「俺に気遣ってくれている」と感じたが、実際はそうではない。
勿論風成が発彦のことをそう思っているのは間違いではないが、本当の目的はそれではなく気を紛らわせるためだった。
奇跡的にさっきのような振動は起こっていないし音も聞こえない。向こうの様子がどうなっているのかは風成には分からなかった。しかしそれはチャンスだ。
静かなお陰で発彦は今牛倉が攻めてきたことに気づいていない。もしそれを知れば真っ先に布団から飛び出して現場に向かうだろう。傷もまだ癒えてない、それに加え体に爆弾を抱え込んでいる彼がそんな所に向かったらどうなるだろうか?ただでさえ少しでも怒ったら危険なのにとんでもないことになってしまう。
ここは彼自身のために隠しておくのが得策だろう。刀真たちなら大丈夫だと信頼する。
「そう言えば天空さんは?」
「あ、ああ天空さんならここを私に任せて出かけていったよ」
「へ~お客さんに留守任せるなんて珍しいな」
「そ、そうなんだ……」
その天空も今戦っている最中だ。お願いだから何も起きませんように!必死に祈る風成、そんな彼女の様子を見て発彦が不思議に思ってしまう。
「……風成さん、何か隠してる?」
「い、いや別に何も……」
「嘘だ、絶対何か隠してる」
発彦もまた勘の良い男で、それとも風成が隠し事自体が下手なのか、兎にも角にも気づかれそうになっている。
ここは何とか話を逸らさないと、急いで何か言葉が無いかと頭の中を探す。
「そ、そういう触渡君だって突入作戦のこと隠してたじゃん!」
「……それは本当にごめん」
「――あっ」
そしてついそんなことを言ってしまった。別に作戦のことに対し怒っているわけではないが、これでは風成が隠されたことを怒っているような言い方だ。それで彼が罪悪感を抱くような人間だとも理解していたのに、つい口にしてしまう。
「ご、ごめん……分かってるから。私を心配させないようにと思って隠してたんでしょ……?」
「……うん、って今更言っても言い訳か」
風成の予想通り発彦はそれに対し悪く感じさっきまでの楽しい談話の時間は消え、一気に暗い雰囲気になってしまう。
このままだとまた些細な事で怒ってしまうかもしれない。そもそも私の事を想っての行為なのにそれで私自身が怒ったら筋違いだ。これは怒りを抱いても仕方ない。そう風成は思っていたが……
「だけど、君を巻き込みたくないのは本当だ。随分身勝手だけど、どうか分かってほしい」
「……うん」
それについては彼女はもう自問自答や天空さんとの会話で分かっている。自分は自分で彼にできることをしようと。
だから、お互いの為に嘘をつくという面では2人とも同じであった。
「だけど教えてほしい。何を隠してるんだ?」
「……それは」
しかしそれでも風成は本当のことは言えない。発彦は正直に謝ったというのに自分だけ言わないというのは心苦しいが、この場合嘘をつき続けるのが得策なのだ。
(今ここで話したら……間違いなく触渡君は戦いに行く。それだけは阻止しないと――ッ!)
しかし奇跡もここで終わり、非情にも大きな轟音が辺りに鳴り響いた。それに続き大きな揺れもここに届いてくる。瞬間発彦の顔も戦う直前のそれになり、慣れない足でもすぐに立ち上がった。
「やっぱりおかしいと思ったんだ。もし風成さんの話が本当だとしても、天空さんがいつ暴走してもおかしくない俺を他人に任せるなんておかしい」
「触渡君待って!」
彼女は引き留めようと発彦の服を引っ張る。彼はそれを無理に退けたりするわけでもなく、へたり込む風成に視線を合わした。
気づけば風成は泣いていた。それに対し発彦は微笑んで返す。
「俺なら大丈夫。それに風成さんに心配されているなら決して負けないさ」
「私が……心配……?」
「だって、さっきの嘘だって俺の身を心配して戦わせないようにしたんだろ?気持ちは嬉しい……だけど天空さんや皆が戦っているのに、俺だけが休んでるのは耐えられない!」
そう言って発彦は彼女の手を優しく振り解き、そのまま跳び出すように部屋から出て玄関へと向かう。
「触渡君ッ!」
風成もその後を追い、リョウちゃんも同じようにした。
痛む体を無理やり動かし、急いで玄関へと向かう。音が聞こえた方向と音量から神社の正面で戦闘が行われているのは分かった。そしてかなり激しくなっているのも予想が付く。
勢い良く扉を開け、外に出る。最初に見えたのは忘れもしない奴の姿。
「牛倉一馬ッ!!」
「お、ようやく来たか!」
「わざわざ神社にまで来やがって……俺が相手だ!!」
「はっは、予想通りかなり興奮しているみたいだな。すぐに暴走させてやるよ」
「やってみろ……そう簡単に特異怪字になんてなってたまるか!」
この対面の時点で発彦の心情は普段の時より高まっている。それは戦う直前だからという理由もあるが、一番の原因はやはり「怒髪衝天」だった。無意識の内に声を大きく出していることに気づいていない。
それを悟ったのか、いやらしい笑みで牛倉は舌で縛っているあるものを見せつけてきた。
「……天空……さん?」
それは、血まみれの状態の自分の父代わり、天空であった。




