序章
なろうでは初投稿です。
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この物語の始まりは、戦国時代まで遡る。
歴史上において特に有名ではない城が舞台で、太陽の代わりに月光が地上を照らしている時刻であった。
城内にて、兵士達が武器を持ってある部屋に向かっていた。
先頭に立つ隊長は他の者より武装をしており、意気揚々と自分の部下を率いていた。皆緊迫した表情で各々の武器を握っている。
やがて目的の部屋へと辿り着き、襖を思い切り良く開ける。そこにいたのは、漢服を着ている一人の男。
「夜遅くに何用かね?」
男は振り向かずに聞いた。その綺麗な服装でどれだけ高い身分の者かはすぐ分かるはずだが、兵士たちはかしこまる様子も無く武器を構えた。
たった1つの行燈に照らされたその部屋では、1枚につき漢字一文字が書かれた薄い板が沢山彼の目の前に置いてある。
「貴方に聞きたいことがあります」
すると隊長は薄い板を指さす。
その瞳は、落ち着いているように見えても怯えていた。後ろの兵士たちもそうだ、冷や汗を流しながら息を呑む。
「それを……どうするおつもりですか?蒼頡殿?」
蒼頡は中国からやって来た賢者である。
ほぼ個人的な理由でやってきたこの男は、長い髭を生やし貫録のある顔付きをしていた。
「これは……人の心に植え付く物……」
すると蒼頡は1枚の板を手に取った。
その板には、「気」と書かれている。
「そして……子に受け継がれる物……」
また板を持つ。それには「炎」と書かれている。
「この繋がりは……決して途絶えない。未来永劫続く物でもある……」
三枚目に手を伸ばす。今度は「万」。
「儂は……これを呪いとして全ての日本人に植え付けるつもりだ」
そして四枚目は「丈」。
自分が選んだ4枚を蒼頡は兵士達に見せつけた。
その表情は、醜く笑い、そして歪んでいる。
「さぁ……日本よ、儂の呪いを受けるが良い……!」
そしてその4枚の板を、勢い良く投げ付けた。
放たれた板は空中で集まり、一つの「四字熟語」となる。
「何だ!?」
4枚揃って出来上がった四字熟語は激しく燃え始める。
まるで油でも注がれたように炎は大きくなった。やがて人と同じくらいになると、中から化け物が現れた。
その体躯の良い体から出るのは炎、まき散らすは火の粉。
鬼のように太い両腕から火柱が何本も立ち、両手は火球で覆われていた。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
咆哮を上げる口からは牙が乱立しており、一本一本が燃えていた。
炎の化身、そう例えるしかない。
「うわああああああああ!!??」
見たことも無い怪物に、兵士及び隊長は怯える。
怪物が腕を大きく振ると、凄まじい熱風が起こった。
兵士達は皆、吹き飛ばされてしまう。
「さぁ……散らばれ!」
蒼頡がそう唱えると、大量にあった板が一斉に空高く舞い上がった。炎の怪物も、4枚の板に戻り、それに続く。
花火のような勢いで雲を超えた高度まで達すると、板は流星のように日本全土に降り注いだ。
この話は、現代に知られていない。
しかし知られていなくても、彼の残した呪いは今も受け継がれている。