EP3 設置
光り輝く線が作り出す正方形が次第に光を強くしていった。
その光が俺たちの顔を照らした。
「さあ、登場しますよ」
テラの一声とともに爆弾の如く正方形が光をあたりに散りばめた。
あまりの眩しさについ目をそらしてしまう。
「最初は眩しいかもしれませんが、いつか慣れますよ」
「そ、そういうものか?」
悪いが、この光に慣れるわけがない。もし慣れる時が来たとしたら、それは間違いなく失明したってことだろうよ。
まあ、確かに魔族は目くらましで強烈な光線放ってくるからな。
次第に視界が元の明るさまで戻ってきた。
視界に映るテラの顔がようやく確認できる。
「大丈夫ですか? もし、治らないようでしたら回復部隊の方々に魔術を……」
「いらん。自分の目は大切にしたいからな」
「そうですか……」
おそらくこいつらの言う回復は、俺の考えている回復とはわけが違う。
なにかを生贄にして、回復を行う。いうならば儀式ってやつだ。
「あ、罠が作動していますね」
「ん? これが罠なのか?」
二人の視線を向けた先には、一つの大きい宝箱があった。
この宝箱、どこかで見た記憶があるような、ないような……
「一応、罠っていうことになってはいるんですが特に罠としての役割はありません」
「じゃあどうしてこんなところに罠としておいてあるんだ?」
こんな広い廊下のど真ん中に置く理由がわからん。
せめて罠なんだったらもっと、違和感のないところに設置するんじゃないのか?
「そうですね……聞いた話では冒険者を試したいなどどおっしゃっていたような気がします」
「先代の魔王が言っていたのか?」
「はい」
もっと確かな情報がほしい。
この罠の意図さえわかれば、より良い罠を設置することができるかもしれないしな。
「そういえば……この罠を設置したのは誰だ?」
「一階の管理人かつボス担当の滝野さんです」
なんか、人間味のあるネーミングのボスだな。グリードとかなんとかドラゴンとかっていう名前かと思っていたのに。
なんだか、俺の中にある夢のような何かが壊れた音がした。
「その滝野さんって人に会いに行きたいんだけど、今からでもいけるかな?」
「おそらく、いらっしゃるとは思います。が、一つ問題があるかもしれません」
「問題?」
眉間にしわをよせてテラに問うた。
決して悪意があったわけではない。無意識でそうなってしまっただけなのだ。
当然、無意識であるということはテラには伝わらず、またおびえさせてしまった。




