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勇者になれなかった俺は魔王に転職しました  作者: 白寺 迅
ビギナー
39/59

第三十八戦 確保

「もしかして、タイムスリップしたのか? 俺は……」

 過去に戻ったと考えれば、この状況を納得することができる。

 妹が生きているということもありえてしまう。

 急にやる気がわいてきた俺は、必死に妹の名前を叫びながら捜索を再開した。

 するとさっそく、背中に誰かの手の感覚が伝わってきた。

 それは、たまたまぶつかったものではなく、明らかに背中を誰かに軽くたたかれていたものだった。

 妹かと思い焦って後ろに振り返る。

「ちょっと君。こちらに来てもらえるか?」

 俺も後ろにいたのは、きっちりとした制服に身を包んだ男だった。

 俺の声に反応したのは妹ではなく、役所の警備員だったのだ。先ほどからの行動を見ていたらしく、俺を不審者だと判断したらしい。

「ま、待てよ! 俺はただ妹を探してるだけで!」

「ああそうかい、そうかい。後でじっくり話を聞かせてもらうから、とりあえず来なさい」

 腕をがっしりとつかまれて強引に引っ張られる。

 抵抗はするが、力負けしてしまい引きずられてしまう。

「悠理! 悠理!」

 引きずられながらも妹を探すことはやめなかった。

 いるかもしれないのに、あきらめるなんてできるはずがないだろう。

 頼む……返事してくれ……

「おとなしくしろ!」

 俺が叫び続けている姿に我慢ができなくなったのか、警備員の男は俺を殴ってきた。

 一撃が非常に重く、殴られるたびに視界が揺らいだ。

「あ、やっぱり。いたのか……悠理……」

 その言葉を発した後俺は力尽きた。

「ちとやりすぎたか、まあ落ち着いてくれたからこれでいいか」

 警備員はのびてしまっている俺をもう一度引きずり始めた。


 意識が戻ると、俺は見たことのない一室に閉じ込められ椅子に座らされていた。手には不気味に光沢を放つ手錠がつけられていて、足も椅子にくくりつけられていた。

 つまり俺は自由を奪われているということだ。

「それにしても俺は拉致監禁でもされているのか? ただ叫んでただけなのに」

 あたりを見渡すと、この部屋にはテーブルと二つの椅子しかなく。窓がなかった。

 本当に牢屋のような部屋だ。

 俺が必死に手錠を外そうと無謀に頑張っていると、重いドアがゆっくりと開いた。

「なんでだよ! 手錠なんてつけなくてもいいだろうがよ!」

 ドアの向こう側にいる人物に俺は怒鳴った。

 手錠から皮膚に伝わる冷たさが、気持ちが悪くて仕方がなかったのだ。

 ドアが完全に開き切ったとき、俺はそこに立っていた人物を見て言葉をなくした。

 

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