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第三十戦 変態

「ダメ……もう我慢できない……」


 怪しい手つきをしながらゆっくりとアリスのいる方向へと、テラは歩みを進めた。目が完全に変質者みたいになってんぞ。


「ちょ、ちょっとなんですかこの人は。それにその手つき気持ち悪いです」


 見えてなくてもわかる。


 間違いなくアリスはテラに対して非難の目を向けているのだろうな。


 そんなことを言われようが、テラは止まらない。


「こ、来ないでください!」


「つっかまえたぁ!」


 飛び込むようにテラはアリスに向かって飛びついた。


「きやあああああああ!」


 見えないところから悲鳴が響く。


 抵抗しているのか、バタバタと騒がしく物音がする。


 てか、あんたそこで見てないで止めてやれよ。


 先ほどからずっと香澄はただそれを無言で見つめていたのだ。


「仕方がないですね。あまりこういったことはしたくはないんですが、自己防衛のためにはしょうがないです」


 なんだ。暴力でも仕方がないと言わんばかりのセリフだな。


 たしかにこいつを抑えるために暴力という手段は間違えてはいない。俺も今までは何度かそういった手段を使わなければならない局面を味わってきたから……


 バタバタと騒がしかった物音が止んだ。


 仕留めたか?


「痛っあああああああああい! アリスちゃんに噛まれたあ」


 まさか、自己防衛って相手を噛むことなのか。


 可愛いな、おい。


「まさか、あれを受けるとはね」


 なぜか急に香澄が、顔を曇らせた。


 なんだよ、まさか噛む行動がアリスの必殺技だというのか?


「今まで何回噛まれたことか……」


 あんたも同じことしたのかよ。しかも常習犯なのかい。


「あっ!」


 テラの声とともにまた物音が激しく鳴り、足音が少しづつ大きくなっていく。


 こちらにむかってきているのか。


「た、助けてください!」


 ついにその声の主であるアリスを見る事が出来た。


 廊下から俺の視界の中へと飛び入ってきた、アリスの長い髪がきれいに輝いて見える。


 アリスは俺を見つけると、進行方向を急変更してこちらに向かって走ってきた。


「お、おい」


 危うくぶつかるかと思ったわ。


「私をあの生物から守ってください!」


 俺の背後に回り込み、背中にぴったりとくっついてくる。


 やべーよ。そんなに近くに来るなって。


 俺までテラみたいな変態にさせるつもりか。


 

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