第二十四戦 誘い
「そんなこと言わずにさ? やるだけやってみないか?」
「いや!」
即答かよ……なんか傷つくな。
廊下でいまだに座りながら必死に働くことを拒む姿は、おもちゃをねだる子供のようだった。
「そういわずにさ?」
「いや!」
「そこをなんとか!」
「いや!」
俺が何を言おうと、返ってくるのは「いや」の二文字。
しばらく俺はあきらめないまま、ずっと粘り続けた。なんどもなんども「いや!」と言われながらもテラのやる気を起こされるために頑張り続けた。
「いやって言ったら嫌なの! しつこい!」
「うっ……」
とても固く鋭い槍のようなものが俺の心を貫いた。
しつこい、だと……そんなこと言われたら言い返す言葉が見つからねーよ。
「す、すまん。ただ俺は情報を集めたいだけなんだ」
「そんなことくらいわかってる」
「だったら!」
ここで一緒に働いてくれよ。
「それと、働くのは別なの! とーにーかーく! 私は絶対に働かないから」
テラは勢いよく立ち上がるのと同時に働かないと宣言した。
まだ少し目をうるわせながら、俺の目を見てくる。
私は働かないんだから、それ以上説得しても無駄だと。そのようにテラの目は語っているようだ。
「もういいかな、そのへんで」
その声がする方向を振り向くと、廊下の奥に一人の女性が立っていた。
「あんたらの声さ、奥まで聞こえてるんだけどさ? なんだって? 働きたくないとか聞こえたんだけど」
その女性もまたさっきの男と同様に恐い。
最近時間に追われていまして内容が少なくなってしまいました。ですが、次回からは前回くらいの文字量に戻します。




