五話目 来たる猛特訓! (前編)
途中までしか書けてないことに気付いたので、めがっさ編集しました。(したつもり)次の話はもう少し待ってください。
「もう無理……」
現在、五人のうち四人は書庫の本でこの世界のことを学んでいた。
もう一人は訓練場で走り込みをしていた。このもう一人とは玉夫のである。
「まだ五週しかしてないですよ」
「でも、もう五週ですよ? 五週」
「あと二週は頑張ってください」
ネリーアと二人で特訓ということで、最初こそは張り切っていた玉夫だったが、いざ特訓を始めてみればこうなる。
「なんでこうなった……」
玉夫は昨日の出来事を思い出していた。
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昼食を済ませた彼らは、各々が与えられた部屋で着替えを始めていた。
この部屋は本来、客室だったのだが、一人一部屋ずつ違う部屋だ。
ちなみに、雨宮は男たちとは少し離れた部屋となった。彼女に対する配慮なのだろう。
着替えを終え、彼らは訓練場にやって来た。
訓練場はまるで道場の様でかなり広く、奥はの扉から外に出られるようにしてある。壁にはところどころ傷などが目につく。
「それでは始めましょうか!」
これから自分たちは戦う準備をするんだと、改めて認識することになった玉夫達に少しばかりの緊張が走る。
特訓は二組で別々に行う。
一組目は、剣術の稽古と体力づくりをする。これは、魔力があまりない桐嶋と加藤の二人が行うこととなった。
二組目は、魔術の仕組みの理解と発動を目標に行うもので、雨宮、飯田、玉夫の三人がすることだ。
この説明を聞いた時点で、玉夫達は、一般教養の意味が違っていたことに気が付く。
こちらでの一般教養とは、戦いの技術の事だったのだ。
戦争が当たり前な場所では当然かもしれない。皆すぐにそう納得していた。人間の慣れとは時に恐ろしく感じる。
「私では魔術を教えきれないので、その道のプロに頼みました」
「プロ? そんな人が僕らに教えてくれるんですか?」
「大丈夫です、今はあなた達のことが優先ですので」
自分たちが優先。それだけ期待されているのだろうか?
それだけ事態が深刻なのかもしれない。
「来ましたよ」
扉を開けて入ってくる男が一人。
その男の顔は病的とも言えるほど白く、長い金色の髪はボサボサになっている。
「これから君たちに魔術を教えてやる、感謝するんだな」
その声に全員は聞き覚えがあった。
この世界に初めて来た時に聞いたあの声。
「あなた達に魔術を教えるのは、宮廷魔術師のジェルマンさんです」
彼は外に三人を連れ出した。
そして、実に面倒くさそうに、三人に魔術を説明する。
このすぐ後に、桐嶋と加藤はネリーアの特訓の恐ろしさを知ることになるが、まだ気づいてはいないようだ。