四話目 作戦会議(仮)
玉夫達は今後の方針を決めながら食事をとることにした。
この城には食堂の様な場所があり、兵士の大半はここで食事をとるらしい。
「今日はパンとスープですよ」
ネリーアが今日の献立と書いてある張り紙を見ていた。
下には料理当番とあり、名前の横に印がつけてあった。
「それではこれからのこと話し合いたいと思います」
全員が座ったところで話が始まる。
「けど、何しろってんだよ」
桐嶋は不満げに呟く。
「まず、一般教養を身に着けてもらいます」
「それはこっちのものですか?」
「はい、その通りです」
彼女は話を続ける。
「こちらとむこうでは認識などが当然違います」
「魔法とか技能とかですか?」
「まぁ、そんなものです」
とは言ったものの、それほど違いはないとネリーアは言う。
「あなた達はこちらでは強いです」
「どのくらい?」
「数値ではおそらく、私よりも上でしょう」
それを聞いた五人は驚いていた。
さっきまでただの高校生だった自分がそんなに強いものとは思っていなかったからだ。
「特にアルスさん」
玉夫の事だ。
「あなたは技能持ちなんですから、自信を持ってください」
きっと彼女は励ましで言った言葉だろう。
しかしこれは逆効果だった。
現実逃避をしていた玉夫は、再び認めたくない記憶が蘇り、失意の底に沈んだ。
「あれ? どうしたんですか?」
「ネリーアさん、そっとして置きましょうよ……」
「それよりあたし達は?」
「そうそう、俺らはどうなんの?」
ここにいる奴はなんと纏まりがないことだろう。
恐らく、この面々の中で一番マイペースな玉夫は自分を棚に上げて、そう考えていた。
「あなた達四人も早ければ明日には技能を習得できますよ」
技能は個人が一つだけ持つ、特別な力だ。
本来ならそう簡単に手に入るものではない。
だが、召喚された者であれば話が変わってくる。
「これを食べ終わったら部屋で着替えて稽古場に行きましょう」
ネリーアはすぐに結論を出した。
方針に反対するものはいなかったが、結局は彼女が一方的に話して終わった。
こんな調子で大丈夫なのだろうか、と四人は思っていた。
ただ一人だけは、頭の中でひどい記憶がぐるぐると回っていた。
次回は長くなりそうです(※あくまで予定)