二話目 初めての異世界転移
光の中をまるで飛ぶような感覚が玉夫達を襲う。
これが一体なんであるかは、彼らはまだ知らない。
それは異世界転移だということを。
玉夫の頭の中に様々な情報を刻まれる。
人々の記憶である様なそれは、膨大で雑多であった。
「……!! 頭が……」
新たに入る情報はすぐにまた別の情報に書き換えられる。
その中には幻想的な世界が映っていた。
明らかに自分の居た世界とは違う場所を見た彼は興奮を覚えた。
それは昔に捨てた夢、または憧れだろう。
光はやがて途切れる。
それとほぼ同時に映像が消える。
「……?」
気づいた時には彼らは、薄暗く、広い部屋に出てきた。
床には魔法陣が描かれており、淡く光っているのが分かる。
「なんなのよこれ!」
雨宮は目に涙を浮かべ叫ぶ、他の三人も動揺を隠せない。
桐嶋と加藤はお互いに頬を引っ張り合っている。
これは決して夢ではない、これは現実に起こっている。
「よろしいかな?」
突然、男が玉夫達の前に現れた。
全身を黒いローブで覆っている男は無機質な声でそう言った。
男はどこか不気味な雰囲気を漂わせている。
「初めまして、私は宮廷魔術師のジェルマン = キャステンという」
男は、ジェルマンは淡々と自己紹介をする。
玉夫は興奮で話なんて聞いてはいなかった。
飯田達が状況を上手く呑み込めないのは無理もない。
「僕は飯田蓮といいます」
飯田はとりあえず自分も自己紹介をした。
「そんなものなど後でいい、ついて来い」
ジェルマンはマイペースといった感じだろうか。
飯田を無視して、五人を連れ出した。
玉夫はようやくジェルマンに気が付き、桐嶋と加藤はまだ引っ張っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ジェルマンに連れられた五人は周りを見渡す。
どうやら、今まで五人は地下室に居たらしい。
どうもここは洋風な城でゲームの中に来たみたいだ。
そんなことを考えながら歩くと、大きな扉の前でジェルマンが止まる。
「ここが玉座の間だ」
その扉はとても大きいものだった。
そこまで巨大な扉の意味があるものかと五人は疑問を持つ。
きっと巨大で恐ろしい王様に違いない。
皆そう信じて疑わなかった。
「王、連れてきました」
扉がゆっくりと開かれた。
玉座には男が偉そうに腰かけている。
傲慢だとか、高慢といった言葉が似合いそうな座り方だ。
その王が、猫耳のあるお子様でなければだが。
「よくきたな! 勇者達よ!」
五人全員が少しがっかりしていた。