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プロローグ
少年は昔から夢を見すぎだ、と言われた。
空を走ることができると思っていた。お化けは実在すると思っていた。
別の世界はあると信じていた。その世界で自分は活躍できると信じていた。
だがそんなものはありはしない。
いや、必要ないと言った方がいい。
空は飛行機が飛べる。お化けの類は戒めであることが多い。
別世界は物語の中にしか存在しない。無論、そんな世界では活躍などできるはずもない。
いつしか彼は夢を見ることをやめた。
彼は現実というものを知ってしまった。
いつか夢なんてものは忘れていく。
彼もその当然の流れに従っただけだ。
彼は何も悪くない。この世界がそういう風にできているのだ。
だが彼は知ることとなる。
彼は何一つ、間違っていなかったことを。