咲さんがB部にやってくる
「おおー! こっちにはすごい量のマンガがある……」
少し、目をキラキラさせた感じの咲さんは、B部の部室の中に入って、すぐに本棚の方に目を奪われていた。
一つのマンガを取り出した咲さんは、それを読み始めた。
「岩城君。この子は?」
B部の部長がそう聞いてくる。
「咲さんといって……」
「ああ、いつもの話の子か」
この部長……相変わらずいらんところで、頭の回転が早い。咲さんって名前を言っただけですべてを理解するんだから。
「いつもの話?」
ほら、咲さんが何事かと聞いてきたじゃないか。
「いつも、岩城君と御射山君が志士屋君の事を話していたよ。なんでも、何を考えているか、分からない子だとか、顔はよくても、コスプレをやって遊ぶ、頭の痛い子だとか」
「そんな事言ってないでしょう!」
部長は、ある事無い事を言い出す。俺は部長に向けて、全力でその事を否定した。
そうすると、部長は小さな声で言った。
「カップル撲滅……」
なるほど……咲さんをここに連れてきたのは間違いだったようだ。俺が咲さんと仲良くなるのを嫌うのは、鳥だけではなかった。
それらを聞くと、咲さんは口を手で押さえながら、肩をフルフルと震わせた。
「別に、私達はカップルじゃない……」
小さな声で言った部長の言葉は、咲さんにも聞こえていた。
「リア充爆発……」
そう言い、俺の方を見ながら、咲さんはくつくつと笑い始めた。
「鳥と岩城君の関係は爆発に値するね」
そう言い、咲さんは部長の首に腕を回した。部長はキョトンとした顔で、それを見る。
いつもの咲さんからは想像のできないような、ニヒヒ……といった感じの笑顔をして、いた。
なんか、咲さんは楽しそうだなぁ……咲さんが楽しければそれでいいや。
「えー? 二人とも付き合っている相手がいないんですかぁ?」
わざと言ってみる……
部長は今にも笑いだしそうな顔をしていた。部長の事だし、やっぱり俺の冗談を分かってくれているようだ。




