鳥と、古本屋巡り
「このリストに載ってる、他のマンガだって見てみたいし……」
部長から、リストのコピーをもらっていた鳥は、そのリストを読みながら道を歩いていた。俺はその鳥の後ろにつきながら歩いている。
「おい。危ないぞ」
リストを見ながら、フラフラと歩く鳥の肩を掴んだ。
車道に飛び出していきそうだった鳥の事を、歩道に引き寄せる。
「えへへ……サンキュ」
俺の方を見ながらそう言う鳥。
リストを見るのをやめて、俺の隣を歩き始める鳥。
「これからどこに行くんだ?」
鳥に向けて言う俺。顔をムッ……とさせた鳥はリストを丸めて俺の頭を叩きながら言う。
「『開拓』に行くに決まってんでしょ! 何だと思ってたのよ!」
縁石の上を歩き始める鳥。鳥のすぐ横をダンプカーが通る。
ダンプの発する風圧で、体をよろめかせる
「だから、危ないだろ!」
また、俺は鳥の肩を掴んで歩道に引き寄せた。
そうすると、鳥はニヤッ……と笑って俺の方を見る。
「どうしたんだ?」
鳥の笑顔の理由がわからない俺は、疑問に思いながらも鳥についていった。
近くの古本屋に行くが、マンガ探しは難航を極めた。
店員に話を聞いてみても、そんな古いマンガの事なんて、全く知らないようである。
そして、『あいうえお』順に並んでいる本のなかを漁って無いかを確認する。処分品の、一冊百円のカートに入っているものを探しても、やっぱり見つからない。
「ちゃんと探してるの! 岩城って使えないわねー」
「あの部長が探しまくっても見つからない難物なんだぞ。俺達に見つけられるかよ!」
「探す前から諦めるんじゃない!」
今は、鳥もそう言っているが、これから先にはどう言い出す事だろうか? 俺だってたまに『開拓』に行ったりする。だが、目当てのものが見つかる事なんて、希である。
「これだけ探しても無いって事は、この店にはないのかも……」
鳥が言い出す。ここでのマンガ探しは、これで終了のようだ。
「んじゃ、次の店に行くよ!」
何件も回れば諦めもつくだろう。そう思い、俺は鳥の後をついていった。
その後、何件も古本屋をまわった。
今は七時をまわり、辺りが暗くなってきた頃になる。
その時間になっても、鳥は古本屋めぐりをやめなかった。
「そろそろ俺は帰るぞ」
鳥に向けて言うと、鳥は顔をむくれさせた。
「まだまだこれからじゃん! まだ日だって暮れてないし!」
「日が暮れてからじゃ、遅いだろ!」
「遅くない! そのために二十四時間営業の場所は後回しにしてるんだから!」
鳥の言葉を聞くに、このまま深夜まで古本屋めぐりを続けるつもりらしい。
「部長じゃあるまいに、そんなに本気になって探さなくてもいいだろう! それに、家の人も心配するんじゃないか?」
俺がそう言うと、鳥は明らかに不機嫌そうな顔をした。
「私はいいの」
小さくため息を吐きながら言う鳥。
「それとも、岩城も私の家に来る? うち、両親は今日帰らないんだ」
いきなりそう言う鳥。
「いーや! 俺は帰る。お前も帰ったほうがいいぞ」
そう言い、俺は帰路についていった。




