咲さんが俺を指名!
放課後になり、俺は席を立った。
今日はB部の部室に行き、マンガの続きを読むつもりだ。
「待ちなさい! 岩城!」
立ち上がった俺に向けて、鳥が声をかけてきた。
また、五十家と話しでもしろというのだろうか? 今更話す事なんて、ないと思うが……
鳥が俺の近くまでやってきたら、指を後ろに向けて、咲さんの方を指す。
「咲があんたをご指名よ」
咲さんが? 俺に用なんて、何だろう? 『やっぱ弁当箱を返して欲しい』とか、そんなところだろうか?
「あんただけ、抜け駆けなんか、許さないからね! あんまりいい仲になるんじゃないわよ!」
俺達の協定は『お互いが相手といい仲になるのを後押しする』というものだったはずだ。抜け駆けをするなという鳥の言葉は、協定違反ではないだろうか? まあ、今言ってもしょうのない話か……
「そんなにうまい話のワケがないだろう? ちょっと聞いてみる」
いきなり告白をされるなんて、ありえるワケがない。何を言われるか分からないが、とりあえず、会ってみよう。
鳥は最後に俺に一瞥をくれてから俺の前から去っていった。
俺は椅子から立ち上がり、咲さんの方に向かった。
「用っていうのは一体?」
俺は、咲さんに向けてそう言った。
咲さんは、俺の事をじーっと見つめてきた。
元々、何を考えているのか分からない咲さんである。意味も分からずに見つめられると、何か嫌な予感がしてくる。
「岩城君。今からどこに行くつもりだった?」
どういうつもりで聞いたきたんだ? その言葉。
「どこって言うのは?」
俺がそう聞くと、咲さんは言う。
「私に話しかけられなかったら、この次はどうしてた? 岩城君の好きなところに行っていいよ」
つまり、俺の行くところについてきてくれるって事か。
「ならB部の部室に行きましょう」
俺は、そう言い、咲さんは俺についてきてくれる。




