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五十家君の事が気になり

 それから、五十家君の方をチラチラと確認する。特に変わった様子ではない。

 何か、彼の周りから友人が消えていった感じがするが、それは、大した問題ではない。

 坂上さんが、廊下にいるのが見える。そして、こっちの事をにこやかな顔で見つめてくる。

 そして、五十家君自体も、周囲をキョロキョロと確認しだす。

 まるで、何かを待っているようだ。

 岩城君と鳥が戻ってきた。鳥は、岩城君の机の方に行ったが、岩城君は、五十家君のところにまで行く。

 私は、二人の会話に耳をそばだてる。

 やはり、五十家君の態度がおかしいのは、私の前だけじゃない。岩城君の事を『親友』と呼んだりしている。

 あの、薄気味の悪い五十家君とまともに話ができるだけ、岩城君はすごい……

「さあ……A部にやってくるんだ」

「お前こそB部に来い! 完全無欠のガチオタから、ただのマンガ好きに戻った方がいい!」

 などと、あの五十家君と対等に渡り合っている。五十家君から逃げていった私とは大違いだ。

 坂上さんがやってきて、二人の写真をデジカメで撮り、さっさと逃げていく。あれは何を意味しているやりとりなのだろうか? よく分からないが、続いて見ていると、どうやら、私が知りたい部分の話をし始めた。

「かわいい子猫ちゃんって何?」

 よく聞いた。岩城君……五十家君は、一体何をトチ狂っているのだろうか?

「僕のハーレムの一員って事さ」

 ハーレム……? 何それ? ハーレムっていうのが、何なのかは分かっているが、どういう意味で言っているのかがわからない。

 だが、五十家くんは、変なものを見すぎて、トチ狂ったのだというのが、よくわかった。

 トチ狂ったイケメンは、次に拳を振り上げだした。

「ハーレム王に、俺はなる!」

 なんて、嫌なルフィだ……

 それを聞くと、私と岩城君は、固まった。五十家君の先にいるのが見える、鳥だって固まっていた。

 拳を振り上げる五十家君。岩城君は、私や鳥よりも早く回復し次の行動に移った。

 岩城君は五十家君の事を殴っていた……

「思わず殴っちまった!」

 岩城君は、五十家君の事を殴ったのを、反省しているようだが、私は心の中で思う。

 岩城君、よくやった。

 殴られた五十家君は、それを全く気にしていない様子で、話を続けた。

「君には、僕の大きな野望を教えておいてあげよう」

「聞きたくねぇよ! なんて嫌なルフィだお前!」

 岩城君は、私の考えた事と、同じ事を言った。ありがとう岩城君。私の心を代弁してくれて……

 周囲を見てみると、みんなが五十家君と岩城君の方を見ている。当然だ。あんな大声を出したら、みんな気になるに決まってる。

「僕は、生まれついて持っている甘いマスクで、女の子達をたぶらかしてやるって決めたんだ……」

 もうやめるんだ、五十家君……甘いマスクとか、たぶらかすとか、言ってて恥ずかしくないのだろうか? 顔がいくら良くても、頭の中が腐っていては、近づく女子なんていないんじゃないか?

「聞きたくねぇって言ったろう!」

 もっと言ってやれ岩城君。

「自分で、自分の顔を、『甘いマスク』なんて言うんじゃねぇ! 顔が良くても、頭の中身が腐ってちゃ、しょうもねぇだろう!」

 またまた、私の心の声を代弁してくれた岩城君。そうだ……もっと言うんだ。

 だが、ノリに乗ってしまっている五十家君は、勝手に続きを話し始めた。

「どうせ目指すなら、男の夢を目指そう。王侯貴族でもなければ達成のできない夢! 男のロマンがそこにある!」

 これは、もう残念とかトチ狂ったとかいうレベルじゃない。五十家君は、正気を疑いたくなるような事ばかりを言っている。

「そこにあるのは、腐った頭のイケメン一人だ! お前の事は、ついさっきまで残念なイケメンと思っていたが、お前はもう、残念のレベルじゃねぇよ!」

 またも、私の言葉を代弁してくれた岩城君。

 もしかしたら、私と岩城君は気が合うのかもしれない。

 五十家君に向けてツッコミを続ける岩城君の事は、今の私には頼もしく見えた。

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