表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/51

教室に行って。

 私の足は、教室の方に向かっていなかった。

 今、教室に行くと、五十家君とハチ合わせになる。どうも、彼と会うのには心の準備が必要な気がした。

 学校にある花壇の周囲を歩いている私は、ホームルームの直前くらいまで、この辺をウロウロしておこうと思っていた。そうすれば、彼と話す時間は、少なくて済むだろう。

 そうしていると、遠くに鳥と岩城君が一緒に歩いているところが見えた。

 あー……なんか、鳥が岩城君の事を傘を使って刺しているぞ……キツい愛情表現だな……

 そういえば、岩城君に渡すためのお弁当だって持っているんだった。ホームルームの直前なんかに教室に入っていくと、渡す時間が無くなってしまう。そろそろ行かなくては。

 私は、五十家君とハチ合わせにならない事を願いながら、教室に向けて歩いていった。


 私は教室に着く。

 当然、五十家君は教室にいた。教室の外の廊下に坂上さんがいるのも見える。坂上さんは、私の事を見て、小さく手を振ってきた。

 私は、それから目を逸らす。岩城君の机を見てみると、机の上に座っている鳥と、岩城君の姿がある。

 昨日、私の事を好きだと言っていた岩城君であるが、あの姿を見ると、鳥と仲がいいようにしか見えない。

 まあ、二人の邪魔をするのも悪い。お弁当は、さっ……と渡すのがいいだろう。

 そう思いながら、鞄の中から岩城君の分のお弁当を取り出す。すると、鳥がこっちに向けて歩いてきているのが見えた。

 なんだろう……とてつもなく不自然な歩き方をしている……

「さ……咲!」

 うわずった声で言ってくる鳥。どういう事なのか分からないが、とりあえず岩城君に用があるのだ。鳥の話は後にしてもらおう。

「ごめん、鳥。後にして」

 男の子にお弁当を渡すっていうだけの事なのに、なんか、とても緊張をする。なぜ緊張をするのか? 自分でも良くわからない。

 普通でいいんだよね……特に緊張をするような事をしている訳ではない。

「岩城君」

 私は、岩城君の前に立つと、そう言った。心を落ち着けるために一拍置く。

「昨日のお詫び。蹴ったりしてごめんなさい」

 私がそう言って、岩城君にお弁当を渡すと、岩城君は、キョトンとした顔をした。

「それだけ……箱は返さなくてもいい」

 よく言った私。なんでもない事のはずなのに、ここまで緊張をするのか……

 とにかく、これで私としては、義理を通したつもりである。

 岩城君とは、まったく目を合わせず……と、いうか、恥ずかしくて目を合わせる事ができずに、私は自分の机に向かっていった。

 私は少しだけ岩城君の方を向いてみた。

 そうすると、鳥が岩城君を引っ張って教室の外に連れ出しているのが見える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ