つまみぐい対策
なぜなら、完成品を冷蔵庫の中に入れておくと、姉につまみ食いをされてしまうのである。
「お腹がへったなら、何かつまめるものを作ろうか?」
うるさい姉をだまらせるには、結局何かを食べさせるしかない。
「やっぱり咲ちゃんは優しいねー。とびっきり大ボリュームで頼むよー」
夕食まで、もうすぐだというのに、姉が言ってくる。
「つまむだけ。そんなに食べちゃうと、夕飯が入らなくなる」
この姉を飢えさせるのは危ない。飢えた時の姉は、火の通していないウインナーなんかは、気せずに食べてしまう。
今日はタコさんウインナーにする予定のウインナーがある。こうでもしないと、姉に食べられてしまうかもしれない。
私は、小さくため息を吐いて卵焼きの調理に入った。
朝になり、冷蔵庫の中を覗いてみる。
「減っているものは、無さそう……」
姉を甘く見ると痛い目を見る。中身がジャガイモのコロッケなんかは、すぐにペロリといってしまう。
ジャガイモは、一度蒸して、潰さないとコロッケにする事ができない。
ジャガイモのコロッケは生ではないというのを知っているのだ。
油を熱くして、その中にコロッケを放り込む。他のおかずにも、次々に火を通しておく。
今は朝の五時。姉が外出をするのは、七時くらいになるし、姉はギリギリまで寝てから外出している。
こんな時間に起きたりはしない。
しかし、弁当を作るのにこんなに気を遣うなんて、不毛な話だと思う。
「これも全部あの姉のせいだ……」
すでに、おかずを半分にしてやる事は決定しているが、他に何かしてやろうか? とも思う私。
おかずを半分にすると、スカスカの弁当になる。これで、私の怒りを少しでも感じるだろうか? まあ、あの姉の事。気付きもしないで、『今日はおかずが少なかったぞー』とか言ってくる事だろう。
だが、これ以上何かをしてやるのもかわいそうな気もするし、これくらいで勘弁してやろう。
減らしたおかずはどうする? 岩城君のものに全部詰め込んでしまっていいだろう。男の子なんだから、いっぱい食べるだろうし。
「こんなものかな?」
これで、お弁当が完成。こうやって比べてみると、よく分かる。岩城君の分が、ぎゅうぎゅう詰めになっているのにも関わらず、姉の弁当が、どれだけ貧相な事か。
私は、お弁当の箱を閉めた。
三つ並んでいるお弁当のうち、二つを持って、家から出かけていく。




