咲の本音
しまった……鳥の友人だというのに蹴ってしまうのまではやりすぎだった……というか、人をあんなふうに蹴ったのは、今までで初めてだ。サブカルチャー部に入って部長を蹴った時の感覚と同じようなつもりで、蹴ってしまったのだ。
あそこにいると、精神が毒されてしまう。それは、入る前から覚悟はしていた事だが……
帰りの道を歩いている私は、考えた。この道を使って帰る道すがらには、一通りの店が揃っており、スーパーだってある。
いままで、ああいう冗談をいってきた奴らはいたが、その中でも最悪な対応をしてしまったものである。
私は道を歩きながら、さっきやらかしてしまった失敗の事を考えていた。
「鳥の事もあるし、お詫びを考えたほうがいいかも……」
最近、鳥と仲良くしているし、部活だって、鳥と同じだ。
私は、自分の記憶をたどって、どんなお詫びをすればいいか? を考えた。
お弁当でも作ってあげるのがいいだろうか?
似たような状況になったとき、『あんたのために作ったんじゃないんだからね』などと言いながらお弁当を渡す、アニメキャラの姿が私の頭に浮かんできたのだ。
私は、多少ならば、料理の心得もある。お弁当を作るくらい雑作もないことだ。
家に帰る前にスーパーに行ってお弁当箱を買っておく。
ついでにいくつか料理の材料も選んでおく。
タコさんウインナーとかを入れておくのがいいだろうか? 弁当というのを作るのは初めてではないが、それが、他人のために作るとなると勝手が違う。
いつも自分と姉の弁当を作っているため、飾りっけもなく、いろどりなんて、全く考えないような物を作っていた。
「今回は少し凝ってみようか……」
人にあげるものだし、少しくらいは凝った内容の物にするのがいいだろう。
私は、『かわいいお弁当 100選』などという本も一緒に買った。
いろんなキャラクターの顔を、食べ物を使って作ってある可愛いお弁当の写真がズラリと並んでいる。
この中で、『お誕生日おめでとう』と、海苔を使って文字を作っているお弁当を見つけ、これを参考にして作ろうと、思った。
『ごめんなさい』とでも文字を作って岩城君に渡してみよう。
私はそう決めて、本を買って家に戻っていった。




