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オタク同士なら、仲がいいと思ったか!?  作者: 岩戸 勇太
サブカルチャー部にいらっしゃいませ
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サブカルチャー部はこういうところだよ

 部長のオタクトークを最後まで聞いていた鳥は、話が終わった直後に『王ドロボウJING』を棚から探し出し、読み始めた。

「律儀に、最後まで聞かなくてもよかったんだぞ……」

 俺は鳥に向けてそう言う。

「ああいう話は、私も興味あるよ。だからここにまで来たんだし」

 俺にとっては、面倒くさいだけなんだがな……部長の話は、長くてダルい。鳥にとっては新鮮な話に聞こえたのだろうか?

「こういうさ。好きなマンガについて、みんなで話し合ったりした事ないからさ」

 オタ仲間がいないという事か……

「咲にも、気に入ったマンガを貸したりしてるんだけど、イマイチ反応が薄くて……話をしていいものか? どうか分からないのよね」

「咲? 志士屋 咲さんの事か?」

 鳥の、その言葉に、俺は思いっきり反応をした。

「何よ! 咲がどうしたのよ!」

 俺は、ついつい鳥の肩を掴んでいた。驚いて後ずさる鳥を見て、俺はハッとした。

「なんでもない……」

 鳥から手を放しながら言う俺。咲さんが目当てで、鳥の事を誘ったなどという事がバレれば、鳥だって、いい思いはしないだろう。咲さんの話をするのは、もうちょっと後でもいい。

「咲の事が気になるの?」

 鳥は鋭く俺の心の中を読む。

「そういう訳じゃないが……」

 とっさに嘘を言ってしまった俺。鳥が、俺の事を刺すような目で見たからである。どういう事か? 俺の事を見る、鳥の視線が痛かった。

「それならいいんだけどね……いままでいっぱいいたのよ。咲の事が気になるから、まずは私に近づこうって奴ら……咲って、とっつきにくい感じがあって、話しかけづらいって……」

 鳥の言う事は完全に図星であった。胸がチクリと痛む

「本人に直接話をすればいーでしょ? 私は伝書鳩じゃないんだから私に用がないんだったら私に近づくなっての……」

 鳥の言葉で、俺は逃げ道を塞がれてしまった。ここまで言われては、今になって咲さんの事なんか聞けるわけがない。

「俺は御射山が、春目友人帳に興味がありそうだったから、ここに連れてきただけで……」

「それについては感謝してるよ。だけど、私を伝書鳩代わりに考えているなら他を当たってもらうよ」

 じっ……と俺の方を見ながら言ってくる鳥。

「そんなわけがないじゃないか……ひどい誤解だって……」

 俺は口からでまかせで、こう言ってしまった。

 これでは、完全に咲さんの事を聞き出せる雰囲気ではなくなった。

 マンガに目を落とし、『王ドロボウJING』を読みだす鳥を見ながら、俺は頭を掻いた。


 俺は、あれから呼んでいる途中であった本を読み始めた。

 しおりを抜き取り、マンガを読み始める。だが、さっきの事が頭から離れず、マンガの内容が、頭に入ってこない。

 モヤモヤしながらマンガを呼んでいる時、いきなり鳥が大声をあげた。

「ぶちょー! 『王ドロボウJING』の五巻がないんですけどー!」

 この部屋でマンガを読んでいた部長は、それに答えた。

「そうなんだ。五巻だけは見つからなくてね。開拓のリストにも名前が載っていたじゃないか」

「えー!」

 部長が言うのを聞くと、鳥は明らかにふてくされた。

「あの作品のなかで一番面白いストーリーが、五巻だって評価でね。僕も昔から探しているのだが今だに見つけることができないんだ」

「それを聞くと、なおさら見たい!」

「『開拓』をしてきて、探してくれるかい?」

 と……こういう話になっていく。

 サブカルチャー部にあるマンガは、ほとんどが部長が部費を使ったり、自腹で買い集めたものばかりである。

 それは、『開拓』なんていう面倒な事をする奇特な人間は、この部長以外に存在をしないからだ。俺も、読むばっかりで自分からマンガを探した事なんてない。

 鳥だって、面白いマンガは読みたいだろうが、自分で探そうなどとは考えないだろう。

 そう思っていた。

「うん! 探す! 絶対に五巻を見つけてやるから!」

 鳥は、俺の予想に反して、部長に向けてそう言った。

「岩城! 行くよ!」

 鳥が俺の手を掴んで言う。

 わけのわからない俺は、鳥に手を取られ、この部室から出ていった。

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