五十家の本音
「昔は友人を多いのはいい事だと思ってみんなに気を使ってばっかだったんだ。確かに友人はいっぱい出来たけど、なんか、物足りない感じがしていたんだ」
「今は物足りない感じがしないのか?」
友人が減り、部活のバスケもやらなくなって、人として必要なものが、ドンドン離れていっているように見える。
「うわべだけの付き合いの仲間なんて、何人いたって虚しいもんだよ。たった一人だとしても、本当の友達を作るべきだね」
言葉だけを聞けば、いい言葉にも聞こえるんだが、今の五十家が言っても、全然説得力が無い。
「なあ、生涯の友人よ」
五十家は俺の肩を、ポン……と叩いた。
「俺をこの道に引き込んだ責任をとってもらうよ」
「そうなるのか……」
五十家は、俺がこの世界に引き込んだ。確かに最初のきっかけの原因は誰か? と、言えば俺だろう。
俺はサブカルチャー部に、五十家を誘った。B部に誘ったつもりだったのだが、五十家は間違ってA部に入ってしまった。ここまでは、俺のせいとも言えるだろう。
だが、友人が減ったり、自分からオタクをカミングアウトした所までは、断じて俺のせいじゃない。
「さあ……A部にやってくるんだ」
「お前こそB部に来い! 完全無欠のガチオタから、ただのマンガ好きに戻った方がいい!」
俺と五十家は、額と額をピッタリとくっつけ合って睨み合った。お互いに相手の目を睨み合い、お互いに対する悪意やらなんやらの感情を、ぶつけ合ったのだ。
そこに、携帯で写真を撮った時の音が聞こえる。
ゆっくりと、音のした方を見ると、坂上が口をニヤけさせながら、携帯の画面を眺めていた。
「ちょっと待った! そんな写真!」
俺が坂上に向けて言うが坂上は、脱兎のごとく逃げていってしまう。
あいつの事だ。後で俺と五十家が顔を近づけている写メを見て、モンモンするつもりなんだろう……
「これでご飯三杯はいける!」
廊下にいる坂上が、俺に向けてそう言ってきた……
「そんな事は言わなくていい!」
そう返す俺だが、俺の言葉を背に受けながら、坂上は陸上部のダッシュで、自分のクラスまで逃げていってしまった。




