次の日、学校での事
次の日、俺が学校に向かうと校門のところで鳥が待っていた。
「やっと来たわね。来ないかと思っていたわよ」
俺に向けて言う鳥。
まだ、俺に何か用か? とも思ったが、そういえば、咲さんから話を聞いて、俺がフられたのを確認してから、協定の破棄になるという事になっているはずだった。
「まだ、時間があるだろう」
ホームルームが始まるまでも、まだ時間があるはずだ。
「私が待ったのよ。十分も待たせてくれてどういうつもりなわけ?」
十分だったら短いくらいだろう……
大体、鳥が勝手に待っていただけだろう? 俺と鳥のクラスは同じだ。教室に入っていれば会えるっていうのに、なんでワザワザ校門で待っていたんだ?
まあ、昨日と違って、鳥はいつもの調子に戻っている。鳥は、これくらいの態度を取ってくれるくらいの方が付き合いやすい。
「じゃあ、一緒に教室に行くわよ」
鳥に促されるままに、俺が先を歩いていく。そうすると、俺の背後にいる鳥から背中をさされた。
「ディバインバスター!」
なんか、良くわからない叫び声をあげながら傘を俺の背中に突いてきた。
「何すんだ! いきなり!」
俺が鳥に向けて振り返って言うが、鳥はケタケタと笑っているだけだ。
「意外と面白かったのよ、リリカルなのは」
それは、理由になってない。背中をさされた理由を聞いているんだ……
俺が家に帰って寝ている間、鳥は五十家オススメのアニメを見ていたのか……
「なるほど……これがやりたかっただけだな……」
アニメに、思いっきり影響をされた鳥は、誰かにディバインバスターを食らわせたかったと……
「そんじゃ、バカやってないで教室に行きましょう」
そうしたら鳥が俺の前を歩き出した。
バカやってたのは、お前だけだろうが……背中がマジ痛い……
「咲は、まだ来ていないみたいね」
鳥は、俺の机に座りながら、教室を見回す。咲さんはまだ姿が見えない。
咲さんがやってきたら、俺がフられた事を確認する。それで、鳥との協定は破棄されるというわけだ。
教室の入口を眺めていると、先に現れたのは五十家の方だった。
「五十家のオススメのアニメを見たんだろ? 話しかけていってみたらどうだ?」
俺が鳥に向けて言うと、鳥は俺の頭をおもいっきり鷲掴みにした。
結構いてぇな……
「咲の話を聞くのが先よ」
まあ、それでもいいだろう。俺の机に座る鳥は、まるで獲物を探す猛禽類のような目をして、何度も辺りを見回して咲さんの事を探している。
「入口からしか入ってこないんだから、そこを見ていればいいだろう……」
咲さんが入ってきた。それを、鳥は緊張をした顔で見つめた。
咲さんは俺の方を見てこっちに歩いてきた。そして鞄を開けて中から何かを取り出す。
唾を飲み込んだ鳥は、なぜかぎこちない動きで咲さんの方に歩いていった。
そんなに緊張しなくていいのに……
おぅおぅ……右手と右足が同時に出てるし、動きだって壊れたロボットのようにぎくしゃくしている。わかりやすい位の緊張のしかただな。
「さ……咲!」
うわずった声で言う鳥。だが、咲さんは手で制して鳥の行動を止めた。
「ごめん、鳥。後にして」
ヒドいな咲さん……あんなに頑張っている鳥に向けて何を言うんだ……かわいそうじゃないか……
「岩城君」
咲さんが言う。俺に用だったのか? 一体何だろう?
俺の目には、咲さんがさっき鞄から取り出した何かが、何か? が分かってきた。
あれは弁当箱だ。つまり、あの中は咲さんの手作り弁当という事である。
「昨日のお詫び。蹴ったりしてごめんなさい」
そう言い、俺にその弁当箱を渡してくれた。
どういう事? なんで咲さんが俺にお弁当なんかくれるんだ?
「それだけ……箱は返さなくてもいい」
俺は、俺の前から去っていく咲さんの背中と、何で貰えたのかも分からない弁当箱を交互に見た。




