鳥から解放される
「映画を立て続けに二本見るのは、さすがに辛いわー」
鳥は映画のエンディングが流れるパソコンの画面を見て、俺の心の声を代弁した。そろそろ、腰が痛くなり、帰りたくなっていたところだ。
俺が立ち上がろうとすると、俺の服の袖を掴んで俺の事を止めた。
「最後にひとつだけお願い」
俺の事を見上げながらそう言う鳥。さっきの表情といい、鳥の事を可愛いと思ってしまうような行動であった。
そして、鳥は電話を取った。
二つのケーキが部屋に届けられた。
そのケーキにロウソクが立てられた。
鳥は、今日が誕生日だと言っていたな。鳥が俺の事を見上げているのが気になる。まあ、こういう事だろうな……
「ハッピバースデートゥーユー……」
俺は、誰もが知っている、誕生日おめでとうの歌を歌い始めた。
穏やかな顔でそのケーキを見つめる鳥。俺が歌い終わると、鳥はそのケーキのロウソクを吹き消した。
あれから、鳥のお許しが出て俺は家にまで帰る事になった。
こんな時間に放り出される事になるとは思わなかった。今は日付の変わる時間帯である。
両親は、すでに寝ている事だろう。鍵なら、家の郵便受けの底に入っているので、そこから鍵を取り出す。
家に戻ると、両親は当然眠っており、俺は物音をたてないようにして二階にある自分の部屋にまで登っていった。
ベッドに倒れこむと、俺は鳥と出会ってから今日までの事を思い出した。
咲さんの友人である鳥は、何度も俺のような奴から咲さんとの仲を取り持つように言われていたらしい。
鳥からの協力を受ける事のできた自分は、運がよかったのだろう。
それが良かったのか? 悪かったのか? 分からない。髪を引っ張られたり、座っている机を蹴られたり、結構なめにも遭った。
だが、最後には、しおらしい鳥を見ることになった。
自分に向けて甘えてくるようにべったりとしてきた鳥。あれはいままでのお詫びかなんかのつもりだったのだろうか?
俺は、ベッドの上で、その考えを巡らせた。
「ちょっとは楽しかったかな」
鳥と一緒に咲さんや五十家とひと騒動があり、鳥との事だって、いい思い出になるだろう。
明日からは、サブカルチャー部B部で、マンガを読んで、下校時間になったら帰るの繰り返しをする事になるのだ。
そう考えつつ、俺は眠っていった。




