協定破棄……?
「俺は、ついさっき、咲さんにふられていてな……」
「それで、私に協力をする気が失せたって事ね?」
だってそうだろう? 元々お互いに相手との仲を取り持つようにという約束をしただけの間柄である。
別に、最後までお互に協力し合うと約束をしたわけじゃない。
鳥は、腕を組みながら考え始めた。
「まあ、咲から話を聞いてみるわ。それで、本当にフられたって判断できたら、関係を解除するって事でいい?」
「まあ、いいだろう……」
まだ、この関係は続くという事だ。
「最後になんかやってほしい事とかは無いか?」
この関係も明日までである。そう考えると、寂しくもある。
最後に、鳥のワガママの一つや二つくらいは、聞いてやってもいいだろうと思う。
「私がレンタルビデオ屋に行くのに一緒に来て」
レンタル屋? 何かと思ったら、そんな簡単な事でいいのか?
鳥は、どうやら。五十家がハマっているという、『リリカルなのは』を見てみるつもりのようだ。鳥の、五十家に向かう想いには、感服をするくらいだ。
「お前はその気持ちを持ち続けておけよ。そのうち、五十家にも届くかもしれないからな」
それに鳥は、俺の事を振り返って見て、ジトリ……とした目で俺の事を見た。
「今、言わなくてもいいでしょう……」
まあそうだな、何度も言わなくても分かっている事か……
レンタルビデオ屋が見えてきた。そこに向かって歩く鳥と、それを後ろから追う俺。
「ほら……ちゃっちゃと付いてきなさい」
そう言い、鳥は俺の手を取ってレンタルビデオ屋に向かっていった。
「ねえ、岩城。最近見たビデオって何かある?」
レンタルビデオ屋に来たのはいいが、鳥はアニメコーナーとは、まったく別の場所を見始めた。
「リリカルなのはは、そんなところには無いんだが……」
洋画のコーナーを探しながら、うーむと唸る鳥。
「うっさいわね、別に好きに見たっていいでしょう」
それはそうなんだが、ここにやってきた目的を忘れていないか?
そうは思うものの、今の鳥にそんな事を言うのはいけない気がする。まあ、これで最後なんだし、最後まで付き合ってやろう。
それから、鳥は雰囲気のいい映画を二、三本チョイス。その後に、アニメコーナーにまで行った。
「これ……気持ち悪い……」
五十家が好きなアニメだというのに、鳥の言いようは辛辣だな……
「こんなの、面白いの?」
俺の事を見上げながらそう言ってきた鳥。
「俺に聞くな。俺も見てみたことは見てみたが、五分でギブアップした」
そうだ。一話を見てみても、完全に小学生くらいの小さな女の子の見る作品っていう感じがして、それから見る気が起きなかったのだ。
「元々、こういうのは、小さな女の子が見るようなもんなんだ。小学生の頃に、戻ったような気分で見てみたらどうだ?」
俺は鳥にそう言った。




