喫茶店で
「まともに告白をしてもダメだと思っていたから、鳥に仲を取り持つように依頼をしていたのに……」
俺は、そう独り言を言いながら道を歩いていた。
完全にフられた。
なんか、今まで咲さんに告白していった奴らよりも、酷いケースのフられ方である。まさか、蹴りまで入れられるとは……
まだ、足が痛むし……どこかで休んでいくか……
ちょうど、手近に喫茶店があるのを見つけて、俺はそこに入っていった。
「お……」
俺は、喫茶店の席でホットケーキを食べている鳥を見つけた。
「奇遇ね。こっちに座りなさいよ」
ついさっきまで、電池の抜けてた鳥だが、今は電源がオンになっているらしい。俺は、鳥の言葉に従い、鳥と同じ席に座った。
俺は、コーヒーを頼み、机に向かって突っ伏した。
「鳥……お前は先走ったことをするなよ……今、五十家に話しかけに行っても多分、上手くいかないと思うぞ……」
「何よいきなり? ところで、私達は、どちらかが交互に電池切れにならなくちゃならないっていうジンクスでもあるわけ?」
そうだな……今の俺は電池切れだ……もう何もする気が起きない。先走った行動なんかをしたばっかりに、咲さんに嫌われてしまったのだ。
俺は、蹴られた足を反対の足でさすりながら、そのまま机に突っ伏し続けた。
「呼ばなきゃよかったかも……」
俺の様子を見て、鳥が言い出した。まあ、俺自身も、そろそろ充電をせんとな……
俺は、机に突っ伏すのはやめて体を起こした。そして、鳥の事を見つめながら言う。
「そういえばお前、五十家の方のマークは付けているのか?」
五十家の方は、坂上がいつも狙っている。
放っておくと、坂上に五十家を取られるかもしれない。
「今の五十家は、ヘマをした直後だからヘコんでいると思うぞ、そういう時こそ、付け入るチャンスだと、俺は思うわけだ」
鳥は、俺の言葉にピクリと反応をした。わずかの間であるが、ホットケーキを食べる手を止めたのだ。
だが、すぐにホットケーキをナイフできざむ動作を再開した。
「それで? 何が言いたいの?」
今の言葉だけで、十分動揺をしているくせに……俺は、さらにその続きを言う。
「それは坂上にとっても同じだ。坂上にとって、今の五十家は落としやすい城なんだよ」
「……ふーん……」
鳥は動揺していない様子を作りながら、鼻をならすようにしてそう言う。
「そこは鼻だ……」
だが、いくら取り繕おうと、動揺をしているのはバレバレである。きざんだホットケーキを、口ではなく鼻のところに運んでいた。
更に、そのフォークを強く鼻に押し込み、鼻の穴の中にフォークの先を押し込んだ。
いくらなんでも動揺をしすぎだろう。俺はそれを見てガマンできずに笑った。
フォークの先が、思いっきり鼻の奥に入っていく。
それに気付き、鼻の奥の痛みでむせ返り、鳥は俺に背中を向けてせきこんだ。
「もう、A部に入っちまった方がいいんじゃないか?」
俺は、鳥にそう提案をする。そうすれば、五十家にもずっと近づける。坂上の様子だって探る事ができる。
「へぇ……あんた、私がA部に行ってしまったら仲間がいなくなって、困るんじゃないの? いきなり私に対してA部に行くように言い出すなんて、怪しくない?」
そう言いながら、何か俺の事を疑うような感じで、俺の事を見つめてくる。
なんだ……俺の周りの奴は、勘のいい奴ばっかか……




