咲さんの誤解を解かなくては……
「俺と鳥が付き合っているですって?」
「私の目で見たら、どう考えても二人は付き合ってる」
「どうして、そう思うんです?」
「放課後になると、いつも一緒にいるし、二人で、秘密の会合を開いている事も多いしね」
一緒にいる? 会合を開いている?
知らない人からすれば、そう見えるのか……
「なんか、今日の電池の切れてた鳥とも楽しそうにしてた」
あれが楽しそうに見えたか……五十家の事を、ちょっと聞いていただけなんだがなぁ……
なんと言おうか……? まさか、咲さんと仲良くなるために二人で協定を結んでいるなんて事を、本人に言うのも……
「あいつとは何でもないんですよ」
俺は、鳥との関係の事を、始まりから話しだした。
鳥がわんこ先生のストラップをつけているのを見て声をかけたこと。そこから、サブカルチャー部に鳥を誘った事。
鳥が五十家の事を好きだと言っていたので、俺は、五十家の事を誘ったのだという事。
「私は?」
そうだ、五十家の事を誘った理由を言ったら、咲さんの事を誘った理由の話も聞かれるので……
「俺が五十家を誘うんだから、鳥も誰かを誘ってくれって話になって……それで咲さんを……」
「つまり、私は五十家君のおまけで誘われたわけだ」
う……そんな言われ方をすると、俺が悪いみたになってしまう。
「おまけという訳でもないんですよ。咲さんと一緒の部に入れたらいいな……って思って、丁度、鳥と咲さんは仲が良かったみたいですし……」
「なんだ。どうにしろ綺麗な女の子を入れたかっただけで、私じゃなくてもよかったんだ」
そういう話に持っていきますか……
俺が、次に何を言うべきか? 悩んでいるところ、咲さんは、自分の事を、腕で抱きしめだした。
「だめ……自分の言葉で鳥肌が……」
俺が、咲さんの事を見る。咲さんは俺の事をちらりと見ながら言う。
「自分で自分の事を『綺麗な女の子』なんて言って……自分自身の言葉で怖気を感じて……」
確かに、俺だって『俺はカッコイイぜ』なんて事を口にしたら、自分の言葉を寒く感じるかもしれない。
「話を元に戻しましょうか……」
咲さんは、俺と鳥の仲がいいので、付き合っているのじゃないか? と疑っている。まずは、この誤解を解かねばならない。
「俺は鳥と付き合っているわけじゃないです。最近、仲がよくなったといえば、良くなりましたが」
俺が話すと、咲さんは、俺の事を真顔で見だした。
「そもそも、鳥が五十家の事を好きだというので、五十家との仲を取り持つ手伝いをしてやっているんです」
「それだけ? 岩城君は、何もナシで鳥の手伝いをしているの?」
そういう事を聞いてくるか……そんな事を勘ぐってくるなんて、もしかしたら、俺が咲さんの事が好きなのは、とっくにバレているんじゃないか?
意を決して言ってみるか……
「俺は咲さんの事が好きなんで、鳥に仲を取り持つように頼んでいるんですよ」
俺が言うと咲さんは、一気に怒りの形相を作った。
そして、俺の足にローキックをしてきた。靴の先を使って蹴ってくる……しかも、脛の部分を思いっきり……
「そういう冗談はいらない」
俺の言葉を冗談と切り捨てた咲さんは、最後に俺の事をひと睨みした後、早足で、先へと歩いて行ってしまった。




