咲さんとばったり会って……
俺は、あれから一人で帰ることにした。
鳥の電池の電力が回復する見込みは無いし、今日はさっさと帰った方がいい気がする。
残念なイケメン君にちょっかいをかけられるかもしれないしな……
学校の下駄箱にまで行ったところで、咲さんを見かけた。
どうしよう……ばったりと会ってしまった。
咲さんに会えたので、喜ぶところであるかもしれないが、先日の事がある。いきなり拉致をされたりしないだろうか?
俺は周囲を見回した。
それを見ると、咲さんは口を手で押さえた。
「今日は警戒しなくてもいい」
下を向きながら言う咲さん。肩がフルフルと震えているところを見ると、笑っているのだろう。
「坂上さんに捕まった事もあるんだって?」
そう言い、咲さんはまた笑った。あの、時の話か……
「私としては、あの話は最高だった」
咲さんにそんなイメージはないんだが……
「一言何か言うたびに、この世の終わりのような顔をしていたんだって。それが面白いから、どんどん言い続けたとか」
坂上……咲さんに何を言ってんだ……
坂上が咲さんの近くにいるってのは、俺にとっても面倒な事なんだろうか? 俺が咲さんの事を好きなのは、坂上に知られてしまっているからなぁ。
「少し一緒に歩かない?」
咲さんから申し出を受ける俺。俺は、咲さんの隣を歩いていく。
咲さんと一緒に道を歩く俺。
顔を伏せてチラリと咲さんの事を見るが、咲さんはそれに答えて目を合わせてきた。
それが恥ずかしくて、俺は目をそらす。
「鳥の事なんだけど……」
いきなり咲さんがそう切り出してきた。
「鳥? 何ですか? なんでも聞いてください」
俺は胸を叩きながらそう言った。
自分でも、ガチガチに緊張しているのが分かる。咲さんからは、今の俺は、どう映っているだろうか?
「鳥ってさぁ、五十家君の事が好きみたいだけど、何でなの?」
はい? それって、そんなに疑問に思う事だろうか?
「俺だって、あいつの嗜好までは知りませんよ……」
といっても、女子としてまともな行動であるのは事実。あの、感じのいいイケメンを好きになる女子は、多いのだ。もちろん鳥も含めて。
「さっき、『何でも聞いてください』って言ったのに……使えない……」
ちょっと……グサッっとくるような言葉をポロッと言わないで……
まあ、こういう所があるから、咲さんは氷の女だとか呼ばれるんだ。それも踏まえたうえで、俺は咲さんの事がすきなんだが……
「岩城君と付き合っているのに、ただのイケメンに……残念なイケメンにうつつを抜かすのも、どうかと思って」
五十家の事も、結構な言いようで言う咲さん。というか……俺と鳥が付き合っている? どうしてそんな間違いを?




