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オタク同士なら、仲がいいと思ったか!?  作者: 岩戸 勇太
噂が広がるのは早いもので
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鳥の聞いた話

 バスケ部での練習中の事である。

 数日ぶりに部活に顔を出した五十家を、バスケ部の面々は笑顔で迎えていた。

 五十家は、サブカル研に行っていた事を正直に話し、バスケ部の面々も、その話を笑いとばした。

『なんだ、そんな所に行っていたのか?』『そんなとこに入り浸っていると、イケメンの名が泣くぞ』

 など、冗談交じりの言葉でそういってくれた部員たち。五十家の行動に、嫌悪感などを感じる事はなかった。

 バスケ部員達は、ちょっとの気の迷いであると五十家の事を笑い飛ばし、五十家も、いつものバスケ部の練習に参加をしていた。

 同じ体育館で、ネットで仕切られた向こう側で練習をしている、女子バスケ部の面々も、『五十家が帰ってきた』という事で、いつもより張り切って練習を始めた。

 五十家の変貌が、表に出てきたのは休憩の時間に入ってからの事であった。

 五十家がタオルで顔を拭うのを見て、そこにかけよってきた。

 自分のジュースを五十家に分けたり、雑談をしたりして笑顔になっていくバスケ部女子と五十家達。

 他の男子バスケ部員は、その様子を遠巻きに見つめていた。

 今更、あれに嫉妬の気持ちなんか沸かない。五十家はいい奴だし、あいつがモテるのは仕方がない。

 五十家の幸せそうな姿は、もう風景の一つと思うしかない。

 バスケ部男子達の認識は、そんなものである。

 だが、その情景は、その瞬間を境に一変することになる。

「ちょっと、布教をさせてもらっていいかい?」

 そう言い、五十家は立ち上がった。

『布教』の意味が分からない女子バスケ部員達は、黙って五十家の行動を追った。

 そして、カバンの中からDVDボックスを取り出したのだ。

 一瞬にして、空気の固まるバスケ部の空気。

 それに気づいていないようで、五十家は話を続けた。

「これは、戦闘シーンに定評があって……」

 五十家が何か一言言い出すたびに、周りの人間が引いていく。

 それを感じているから、さらに力説を続ける。だが、五十家が力説をするからこそ、さらに人が引いていく。その、悪循環。

 その後、五十家の周囲から人が離れていった。

 どうして上手くいかなかったのか? それが分からなかった五十家は、バスケ部の練習に戻っていく。

 他の男子部員達が、妙に優しくなったのに、疑問を感じつつ、バスケ部の練習を続けたらしい。


「男子の間では、この話は好評らしいわね。『イケメンのスーパーカミングアウト』『愛着の持てるイケメン』『残念なバスケ部のエース』とか言って、笑い話にしているらしいわ」

 生気の抜けたままの鳥が言う。

「まあ、誰にだって、人に言えない秘密の一つや二つはあるもんさ……」

 俺は五十家の事を同情しながら言う。

 多分、A部の毒気に当てられてしまったんだろうな……あそこにいると、明らかに感覚がおかしくなっていくし……

 鳥は、俺の方を向きながら言った。

「エロ本収集家の岩城君が言うと、身にしみる言葉ですこと……」

 誰がエロ本収集家だってんだ……まあ、持ってないワケじゃないが……

 この件で、五十家が、俺をA部に引き込もうとする気持ちは、更に大きくなったのだろうと推測される。

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