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オタク同士なら、仲がいいと思ったか!?  作者: 岩戸 勇太
戻れなくなってしまった二人
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坂上さんの本音

「志士屋には別の部に行って欲しいから……」

 坂上さんは、唇を噛みながら言った。

「体育の授業の時、五十メートル走で志士屋に負けた。それでヘコんで陸上部に行かなくなって……」

 そして、サブカルチャー部に入ったのだという。居心地のいい部活に入ることができて、『これでもいいや』って思い始めた頃に咲さんがやってきたらしい。

「同時に、五十家君がやってきたのは良かったんだけど……」

 五十家と一緒になってA部に入ってきた咲さんを見て、もしかして、二人は付き合っているんじゃないか? と、最初は疑ったが、どうもそういう事ではないのが分かった。

「五十家君は、岩城君が誘って、志士屋は御射山さんが誘ったってのを聞けば、大体どういう事かは分かるよ」

 俺と鳥が協定を結んだをいう予想にたどり着いた坂上さんは、俺達の事をはっていたらしい。

「二人で歩いているとこを見たんで、ちょっかいをかけようって思ったわけよ」

 そして、坂上さんは思ったらしい。

 志士屋さんに負けて部を抜けた上に、今度は志士屋さんの親友に五十家を取られるのは、二重に負けたような気がして、嫌なのだという。

 それで、さっき鳥に向けていった言葉に、繋がってくるわけだ

 『志士屋さんと仲がいいらしいわね』と言った時は、そういう心境だったのだろう。

「もしくは、五十家君とくっついてくれるのもイイけどね……」

 ん? 今何て言ったんだ……?

「五十家君が『俺がこうなったのはお前のせいだぜ……責任をとってくれ』って、感じで『そんな事できないよ! 俺達はただの友達だったじゃないか……』って返す岩城君……」

 いきなり雰囲気を変えた坂上さんは、BL妄想を始めた。

 いままで、普通に話をしていたので忘れていたのだが、坂上さんも、A部の一員なのだ。これくらいのBL妄想は彼女にとって、日常のようなものなのだろう。

 俺は、五十家のコスプレ姿を見たときの鳥の気持ちが、痛いくらいに分かった。こりゃ、ダッシュで逃げたくもなる……

 俺はダッシュで坂上さんから逃げた。

 だが、背後からカツカツと小気味いい足音が聞こえてくる。

 まるで、短距離走の選手がグラウンドを走るかのような、規則的で力強い音だ。

 そして、背中から組み付かれた。耳元に、囁きかけられる声を聞き、俺は背中に怖気を感じた。

「元陸上部から、逃げられると思ったわけ?」

 腐っても陸上部か……逃げられないとは……

 背後に組み付かれた俺は、耳元に、声をささやきかけられた。

 そして、BL妄想を聞かされる。

「岩城君は、ドキドキしながら言うの……『こんな事やめようよ! 絶対におかしいって』

五十家君は『そう言っておいて、まったく抵抗がないじゃないか。本当は期待しているんだろう?』ってなるの」

 その想像には怖気を感じる。背中にゾワゾワとしたものが走る。

 だが、俺はそれから逃げることができず、BL妄想を聞かされ続けた。

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