鳥の告白
「……どうしても出ちゃうんだから仕方ないでしょう」
泣き終わるまで待っていようか……また手でも握ったほうがいいのか? と思い、鳥の手をつかもうと手を伸ばすが、俺のては、鳥の手にはたかれた。
「今はいらない」
短く言った鳥。結局、俺にできることは、ここで待っている事だけか……
「坂上には、昔の因縁があって……」
この学校に入学して間もない頃、鳥はできてから間のない友人を集めてファミレスに行ったことがある。
数は五、六人で、友人たちは好きなものを注文していく。
友人たちは、鳥がおごると聞いて、「ありがとーございます! 鳥先輩!」なんていってふざけていたらしい。
仲良くして、居心地のいいものを感じていた鳥がトイレに立って行った時、背後で友人たちの様子が変わっていくのを感じたらしい。
トイレから出て、自分の席まで戻ろうとしている時、自分と友人たちの席が、変な雰囲気になっているのを感じ、鳥は、遠くから友人たちの事を観察し始めた。
「絶対小遣いじゃないよねー。鳥ってどっから金もってきてるんだろう?」
「そりゃ決まっているでしょう? パパからもらったお小遣いでしょう? お父さんじゃなくて、『パパ』っていうところがミソね」
「援交? やっぱそう思う?」
鳥は援助交際などしていない。自分の事を悪し様に言う、『友人だと思っていた奴ら』の話を聞き、鳥は手を強く握った。
そこで、坂上が言った。この頃はまだ、鳥は坂上の事を友人だと思っていたのだ。
「援交でもらった金で、私達にメシをおごるなんて、馬鹿にしてるよね」
クスクスと笑いながら言う坂上。
そして、その周りにいる鳥の友人たちも、どっ……と笑い出した。
「そんな事、してるわけないだろ、バカ……」
手を、ギュッ……と握りこんだ鳥は、震えた声でそう言った。
「そういや、あいつ、二日連続で同じ服着てくる事って多いよねー」
坂上が自慢げに言い出した。
「学校には、毎日制服を着てくるもんでしょう?」
「違うって、ワイシャツの下に着てくる服とか、靴下とかもおんなじだったし」
「えー……坂上。そんな事まで観察していたの? ちょっとキモい」
友人たちは、そう言ってどっ……と笑い出す。それを聞いた鳥は、体の気が、すべて抜けていった気分になったのだという。
「それから、そいつらとはそれっきりにした……」
そこまで言うと、鳥は顔を上げた。涙はもう止まっており、目が真っ赤に充血をしていた。
「おごるのに使った金は小遣いよ。月に十万くらいもらっているから」
「十万?」
それを聞くと、俺も鳥が援助交際でもしているんじゃないかと思う。
「家が裕福なのよ……」
そう言った鳥。
「ここの、コーヒー代だってはらってやろうか?」
ジッ……と俺の事を見上げて言ってくる鳥。
「自分の払いくらいは自分で出すよ……」
あんな話を聞いた直後に、奢ってもらうなんて事はできるわけがない。
俺は自分のコーヒー代を払って、鳥と一緒に喫茶店を出ていった




