プロローグ 1
プロローグ
俺、岩城 佑吾は、何も取り柄のないただの高校生である。
少なくとも、自分はそう思っている。アニメやマンガが好きなオタクであるが、別に、フィギュアを集めたり、声優にやたら詳しかったりするような重度のオタクではない。
まあ、周りから見れば、オタクの軽い重いなんて関係なく、部屋にフィギュアを飾ったり、不謹慎な十八禁のゲームをやったりする奴らと、同類に見られる事であろう。
俺には好きな人がいる。俺が好きなのは、同じクラスの志士屋 咲という女の子だ。
どちらかというと、無口なので、クラスの中でも目立たない子だ。
染めていない髪の毛が長く伸び、背も高め。目線が自分と同じ高さでキリッとした目が特徴の女の子だ。
『どうにかして、咲さんに近づく事ができなだろうか?』授業中、黒板を見る彼女の横顔を眺めながら、いつも俺はそんな事を考えていた。
彼女には親友がいる。御射山 鳥というその子は、いつも咲さんと一緒にいる。
咲さんとは真逆で、付け爪やピアス、髪にはリボンを巻いたかっこうの、見るからにギャルといった感じの子だ。
鳥の方から近づいていって、咲さんに近づくという事も考えた。
だが、それもどうだろうか? 鳥の方は、いかにも『オタク気持ち悪い』とか考えていそうなタイプである。
近づいていっても、拒否をされてしまうんではないだろうか? そんな不安がある。
咲さんも、鳥と親友という事は、鳥とウマが合うのではないだろうか? 俺が考えるに咲さんもオタクの事を気持ち悪がっているかもしれない。
「どうしたもんかな……」
結局、今日も声をかけられないのだろうか? そして、明日も声をかけられないのだろう。
いつも、同じ事を無限ループのように繰り返し、結局何も進展がないまま、放課後を迎えるというパターン。今日も、それにもれない平凡な日であると思っていた。
だが、あるきっかけで、事が一気に動き出した。
御射山 鳥が、俺の机の隣を通る。
そこで、ふと鳥のポケットから、携帯のストラップが落ちた。
「御射山。これ、落としたぞ」
それを聞くと、御射山は、俺の方を向く。
落とし物を拾って、話のきっかけを作るなんて、いいシュチエーションじゃないか……
何か会話を繋げるきっかけにならないだろうか?
『何か話題を……』
そう思い、俺はきっかけを作るための手がかりにならないか? と思ってストラップを観察した。
「これは、あのアニメの『ワンコ先生』じゃないか?」
ふと、俺が言った。そのストラップは、俺の知っているアニメのキャラクターだった。
「え! 何! あのアニメを知ってるの!?」
俺が言うのを聞くと、鳥は思いっきり食いついてきた。これはチャンスだ。
「あのワンコ先生が可愛いアニメだろう? 毎回、ストーリーがいいんだよな」
「そうそう! 岩城も分かっているじゃん!」




