プロローグ -白-
高校生の時にチラリと書いた物語です。書きたくて書いたけどこの先どうなるかは自分にもわからない。
……空が紅い。
周りの人が何か騒いでいるみたいだけれど、何を言っているのか良くわからない。
「ふ……ぅ」
呼吸が出来ない。それどころか体も動かないし、どんどん寒くなってる気がする。
……私は、死ぬのかな?
出来れば最期はあの人の側が良かったとぼんやりと思う。けど、それよりもあの人の子供を一緒に連れて行ってしまう、それが一番辛い。
会える時は本当に少なかった。それでも、ついに授かったあの人と私の子供。それを知った時はとっても喜んだなぁ。あの人の子供を産むことが出来る。そう考えると自然と微笑んでお腹を触っていた。あの人の普段変わらない表情が大いに崩れて私の体を始終心配していて、思わず笑ってしまったこともあったけ。
それなのに。
本当にもう産まれてもおかしくないのに。
「……ごめんねぇ。……ごめん、ね」
産むことが出来なくて、抱きしめてあげられなくて、それから、いっぱいいっぱい愛して上げられなくて、本当に。
「……ごめん、ねぇ……!」
狭く、暗くなってきた私の視界にふと銀色の火の粉が見えたのは、視界が完全に闇に落ちる瞬間だった。