◆14話-01◆恋愛相談室
お久しぶりです。
特にリクエストが無いのを良い事に放置してました。
だってメモが…( ノД`)…
取り敢えず、亀にはなりましすが、そして……多分場面前後しますが、チマチマ更新します。後日並べ替えます。
少しでもお楽しみ戴けたら倖いです。
20130215
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恋愛相談室と呼ばれはしても、彼女に持ち込まれる『相談』が、少し特殊な事くらいは知っている。しかし、彼女自身が云うように、単なる変態相談ならば……彼女はこんなにも感謝されはしないだろう。
披露宴の招待状を寄越した三条恵美が、出会った当初から執着を見せた島津涼子。私が観察や調査の結果下す評価を、恵美は初対面で本能的に下す。本人は単に相手に惹かれるだけなので、自身の能力に余り自覚は無かった。
鵜呑みにはしないが、手っ取り早いのは確かなので、私も恵美の能力は非常に重宝していた。
今のところ、恵美の能力に頼って失敗した事は無い。既に私の中で下した評価と重なった時以外でも、結局は早いか遅いかの違いで、同じ結果になったと思われる。
いや。
島津涼子の様に、当たり前に同じ世界に暮らす相手ならともかく。滅多に『コチラ』に関わらない相手の場合は、恵美の存在は不可欠だった時期もある。
恵美のチカラ無しでも同じ結果になるように。情報収集にチカラを入れ始めたのは『いつ』だっただろう。同じように情報を収集する島津涼子を見た時には『こいつもか』…と天然の能力に内心苛立ちを覚えた気がしないでは無いから。
それはまだ涼子に出会う前。風ヶ泉に通っていた頃だった。
島津涼子。資料館の主。恋愛相談室。情報収集癖を持つ女。
殆ど変わらない表情には、常に淡い笑みが浮かんでいる。
私でさえ本音が読み取り辛い、アルカイックスマイルの下には、しかし自身を平凡だと断言する単なる引きこもり女がいるだけだ。涼子の自己分析が失笑ものだが、彼女の内面は付き合う内に理解していた。
「涼子さま。いらっしゃる?」
一学園が抱えるには外観も中身も無駄に立派な資料館の重い扉を押して。私は迷いを見せない様に、つかつかとそのドアの前に足を進めた。
速すぎず。遅すぎず。優雅に。女王の様に。
私は常に他人の視線を意識して生きている。
わざわざ誤解を広める必要も無いとは思うが、弱味を晒す必要も無い。それが恵美相手だろうが、涼子相手だろうが同じ事だった。
――それで、相談に来てるあたり………どうなんだって話だけど。
まだ。
他の相手よりは、マシなのは確かだろう。
私は。
そんな風に思い乍ら。
このドアの向こうの『どこか』で……私を観察する眸に。
ニッコリ。
意識して天使の笑顔と呼ばれる笑みを作って見せた。
――恵美さまなら、これで一発なんだけど。
脳裏を掠めたのは、そんな台詞だ。
私たち三人は、少なからず似ていると思うが、多分私が一番自尊心が強いのでは無いだろうか。実力も無いくせに、誤解を解くどころか助長させているのは、私の言動が要因なのは間違いない。見栄と虚栄?それらしき言葉を当て嵌めて見る。強く見せたいと云うよりは、ただ自身の敗北を許せないだけの様な気はする。
――莫迦々々しい。
自らの愚かさを自覚しつつ改める気持ちも無かった。
少なくとも。
こんな風に。
他の二人に対してまで虚勢を張る事を。
彼女たちはしない。
――いや。価値観の違い……かな?
犬の様に懐いてくる恵美が、しかし決してプライドが低い訳では無いと知っている。涼子は涼子で……何かしら弥也子が思いもよらないモノに重きを置くのかも知れなかった。
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