またいつか一緒に【第七話】
今回は、設定事項を用意しました。以下の内容に添って、執筆お願いいたします。
リレー小説(第二弾)設定・注意事項
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
一話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1590t/
二話:日下部良介先生 http://ncode.syosetu.com/n2296t/
三話:ふぇにもーる先生 http://ncode.syosetu.com/n3991t/
四話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n4630t/
五話:創離先生 http://ncode.syosetu.com/n8318t/
六話:蟻塚つかっちゃん先生 http://ncode.syosetu.com/n9612t/
どうぞよろしくお願いします。
「三日月君!!」
「能面!!」
僕が叫ぶより前に、遥は大声で叫ぶと僕を三日月の部屋の中に押し込み、慌てて階段を駆け降りて行った。
「只野君のお母さん! 早く! 早く来てください!」
遥が三日月の母親を呼びに行っている間、僕は蓑虫のように、天井から伸びた一本のロープにぶら下がる三日月を、ただ見つめるしかなかった。
『くそぉ! この足さえ動けば……』
支えなしでは、歩く事はおろか立つ事も出来ない両足がもどかしかった。
しかも一階に車椅子を置いてきたので、三日月の部屋に放り込まれた僕は、左手一本と体をくねらせる事だけで、何とか壁にもたれて座るのが精一杯だった。
「おばさん! 早く!」
汗だくになり、やっとのこと壁にもたれた時、遥が勢い良く部屋の中へと入って来ると、大きな声で叫んでいる。
「三日月!!」
直後に、おばさんが入って来たかと思うと、ぶら下がる三日月を見て、力が抜けたかのようにその場に座り込んでしまった。
「おばさん! 早く! 早く三日月君を下ろさないと!!」
必死の形相で叫ぶ遥に触発され、おばさんは勢い良く立ち上がると、椅子を踏み台にして、三日月を持ち上げようとしている。
しかし足場が狭くて上手く力が入らないのか、三日月を少し持ち上げたまま動かない。
「おばさん。そのまま、そのまま支えててね!」
遥は三日月の机の上からハサミを無造作に握ると、おばさんの後ろから、三日月の首の上のロープを切った。
ズドン! と音をたてて三日月と椅子に乗った二人が床に倒れ込む。すぐさまおばさんと遥は起き上がると、三日月の頬を叩いたり、心音・呼吸の確認をし始める。
「まだ、生きてる! おばさん救急車!!」
遥が叫ぶと同時くらいにおばさんは立ち上がり、僕の動かなくなった足を蹴り飛ばすようにして部屋から飛び出して行った。
「三日月君! 三日月君、しっかりして!! 三日月君!!」
狂ったように叫び続ける遥を見ていたが、僕も俯せになると、三日月の傍へと寄り、三日月の体を揺さ振りながら三日月の名前を呼び続けた。
救急車が到着したのは、それから約五分後だった。
救急車は、三日月とおばさんを乗せ走り去り、僕達は抜け殻のようになりながら、家へと帰った。
遥が帰った後、パソコンに目をやるとメールが届いている事に気が付いた。
《ハラハラドキドキの救出劇は、いかがであったでしょうか? 普段感情を表面に出さない方は、何を考えているかの予測が難しいですね。ちなみに、我々は依頼に関係しない殺人や、障がい事件は一切起こしません。それでは、またメールをお待ちしています》
『依頼に関係しない殺人はしない……。じゃあどうして、八草椎名は死んだんだ。あんなに無惨な死が事故だったというのか……。でも三日月の傍でもあった事から考えると、あまりにも事故として片付けるには無理があるような気がする……。考えるな! 頭がおかしくなりそうだ!』
昼間の惨劇のような事故を思い出しながら、業者へのメールを送信すると、今日はもう寝る事にした。母親が入浴を尋ねてきたが、疲れたからと拒否し布団に潜り込んだ。
『おかしい……。何かがおかしい……。本当に、僕の依頼した復讐が原因で、今何かが起こっているのだろうか……』
朝早く、携帯の着信音で目が覚めた。慌てて左手で携帯を探すと、着信ボタンを押す。
「もしもし! 智哉君! 山中君が!」
「え! 何!? 勝俊がどうしたって!」
電話の相手は、遥だった。今度は勝俊の番だという事であろうか。かなり切羽詰まった様子だったので、何があったのかを聞き出す事にした。
「ちょっと待ってて! 今すぐ智哉君の家に行くから!」
よほど慌てているのか、そう言った途端に電話を切ってしまった。
まだ朝の六時だ。
『ちょっと早過ぎるんじゃねぇか?』
薄暗い窓を眺めながらそう思ったが、僕は母親に今から遥が来る事を伝えに行った。
三十分程経った頃、インターホンが鳴った。母親は遥を家に上げたが、遥は僕を連れてすぐに家を出た。
家の前にはタクシーが待っており、僕は運転手と遥に抱えられタクシーに乗せられると、行き先も聞かせられぬままタクシーは走り出す。
「おい遥、何処に行くんだよ」
「……」
「勝俊がどうしたんだよ」
「……」
「遥! 何なんだよ! どうしたんだよ!」
「……」
タクシーに乗ってから、遥は何を聞いても足元をじっと見詰め、口を固く閉ざし続けている。
ふと窓の外を眺めると、街中から外れ森林の多い山の方まで来ている。不信に思った僕は、駄目元で遥に声を掛けてみた。
「なあ遥、何処に行くんだ? こんな山に勝俊いるのかよ!?」
「……」
「そろそろ話をしても、良いのではありませんか?」
遥は依然沈黙を保っていたが、運転手の男がそう言うと、足元をじっと見詰め続けていた遥が、頭をゆっくり上げた。
「智哉君ごめんね。勝俊君は、もう少し行った所にいるから、もう少しだけ我慢してね」
遥は真剣な眼差しでそう答えると、進行方向へ目を向けた。
何処へ連れて行かれるのかという不安もあったが、今何が起きているのか分からないという不安の方が大きかった。
タクシーは、山を一つ越えた先にある、小さな農村の公民館らしき建物の前で止まった。
「さあ、ここよ」
「ここ、何処なんだよ!」
僕の言っている事など聞いていないかのように、遥と運転手は、僕をタクシーから降ろすと車椅子に乗せた。
そしてそのまま僕は、遥に連れられるがまま公民館の中へと入って行く。
「よう! 智哉元気か!?」
そう聞こえた為、目線を上げると、そこには髭で口元が見えなくなった、勝俊の姿があった。
「勝俊……。お前、こんな所で何してるんだよ……」
そう言って、勝俊と遥、タクシーの運転手の顔を順に眺めていた。
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の筆者による合同執筆(合作)を言います。
御参加頂ける方は 聖魔光闇までメッセージにて、ご一報ください。
参加していただける方は、再度メッセージにて、正式に依頼させていただきます。 その後、投稿後にもう一度ご連絡いただきますよう、お願いいたします。