第1話「新たな魔砲少女は認めない」
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「黒霧優人っ!!アタイはお前を認めないっ!!ユウトのためにもこの学園から出て行けっ!!」
と、突然俺こと黒霧優人の目の前に現れてそんな事を言い放った、超絶美爆乳で黒髪ロングヘアの美少女、紅垣悠貴。
彼女は俺の妹である黒霧摩智と同じ魔砲少女で、〈マギキュリィツヴァイ〉に変身するらしい。
「ちょっ、ユウキ!?お前いきなり何言い出しよーと!?」
と、そんな彼女に反論するのは、俺の幼馴染で話の焦点となっているユウトこと赤城結都。
彼女もまた美爆乳の黒髪ショートボブな美少女であり、俺の幼馴染で現恋人の一人であり、そして魔法少女〈マジョリティレッド〉に変身する。
「マサトは魔法少女として緑川先生にスカウトされて正式にこの学園に入学することになったっちゃん!それを出て行けって、」
「それがいっっっちばん意味分からんっ!!
男のクセに魔法少女とかふざけてんのか!?おまけに女子寮に住むとか頭おかしいんじゃねぇかっ!?」
「う…っ!?」
紅垣さんの言う事は至極最もでぐぅの音も出なかった。
「その辺も含めて全部緑川先生からの指示っちゃん!オレらとしてもマサトを一人だけ男子寮に放り込むのは心配やけん、特例ってことにしてもらったっちゃん!」
「そんなのアタイ聞いてねーし!」
「そりゃ、ユウキは昨日まで実家に帰っとったけん知らんっちゃろうけど!」
と、ユウトと紅垣さんが揉めていると俺の部屋の扉が開き、部屋からいなくなっていた俺を探しに行こうとしていたのか、我が妹のショートヘアでメガネっ娘のマチが顔を出した。
「お兄ちゃ〜ん?おる〜?…って、これ何の騒ぎ!?」
寮は防音が完璧のため、部屋にいたマチには廊下の騒ぎが聞こえていなかったようだ。
そして、そんなマチに続いて、俺の従妹であり、右側頭部のポニーテールがキュートな白瀬麻里と、そのマリの並行世界の存在である左側頭部のポニーテールが愛らしい白波麻里亜の二人も廊下に出て来た。
「えぇっ!?ちょっ、マサト君っ!?何があったと!?」
「わっ!?た、大変っ!!」
マチとマリは俺を心配して俺の側に駆け付けてくれ、マリアは救急箱を取りに一度自分の部屋に戻ってから俺の側にやって来た。
「マリもマチもそいつから離れろっ!!そいつは男のクセに魔法少女で女子寮に住み着く変態野郎だぞっ!?」
「アァンッ!?てめコラ私のお兄ちゃんに何ば言いよっとかクサァン!?アァンッ!?いくらユウキちゃんでもお兄ちゃんの悪口言う奴は許さんぞゴラァッ!?くらしたろかッ!?アァンッ!?」
「ひぃっ!?ご…、ごめんなさい…っ!」
マチの凄みに怯える紅垣さん。
「ちょっ、マチ!さすがに言い過ぎだ!紅垣さんが可哀想だろ?」
「いや、だってアイツがお兄ちゃんの悪口を、」
「いいから、謝れ」
「…はい……、ゴメン、ユウキちゃん、言い過ぎた……」
「あ…、い、いや…、アタイの方こそ、スマン……、身内を悪く言われたら、そりゃ怒って当然だよな……」
と、紅垣さんの方も本気で言い過ぎたと反省しているようだ。
…当の俺としては、紅垣さんの言ってることの方が常識的には正しいのでなんとも複雑な気分だった。
そんなこんなで、俺はユウキに蹴られて赤くなっていた頬をマリアに手当てされながら、改めて紅垣さんと話をしたいと思い口を開いた。
「えっと…、紅垣さん、」
「…ユウキでいい」
「分かった、ユウキ。
その、ユウキの言っとーことは至極最もで当然なことやと思うっちゃけど全部事実で、俺としてもいくら魔法少女やからって、男が女子寮に入るのはどうなん?って抗議もしたっちゃけど…、」
「まぁ…、緑川博士のあの感じなら、確かにゴリ押ししてきそうだよな…」
お?意外にも素直に引き下がってくれそう…?
「分かってくれるか?」
「理解はするけど納得は出来ん!」
まぁ、ですよねー!
そんなユウキに、ユウトが少し苛立った様子で反論した。
「ユウキ!いい加減にしろっちゃ!いくらお前が文句言っても、もう決まったもんや決まったもんなんやけ仕方無いっちゃろが!」
「だ、だけどよー、」
『ならば、決闘で決めれば良かろう?』
その時、何処かからか少女とも老女にも聞こえるような、謎の女性の声が聞こえてきた。
「え?今の声、何処から…?」
『ククク…、ここじゃよ♪」
すると、俺達とユウキのちょうど中間くらいの床の蛍光灯の影からぬるっと、見た目12歳くらいのツインテールで全体的に黒いゴスロリ服を纏った幼女が姿を現した。
「なっ!?だ、誰っ!?」
「「「「「学園長先生っ!!」」」」」
俺以外の全員が口を揃えてそう言った。
えっ、この幼女が!?
「おいおい、少年、いきなり初対面の美女に向かって幼女とは失礼じゃろが、一応これでも2000歳は超える大人の美少女じゃぞ?」
「え!?何で俺の心の声が!?」
「なんじゃ、本当にそう思っておったのか」
「まさか、カマをかけました…?」
「ふふん、さてどうじゃろな?」
その幼女、いや学園長はくるりと一回転するとこう名乗った。
「さて、改めてお主とは初めましてじゃな。
妾の名は〈シホ・ローズ・ヴィントブル〉、〈真祖〉の〈吸血鬼〉にして第12魔法都市立魔法師育成学園の学園長じゃ、よろしく頼むぞ?」
*
〈真祖〉の吸血鬼と名乗ったシホ学園長は、俺の側へとことこ歩いて来ると、俺の顔を覗き込みながらこう言った。
「ふむふむ、なるほどなるほど…
お主がルリの言っておった闇の魔法少女に変身する少年か!なかなか興味深いのぅ」
「あ、あの、それより学園長っ!」
そこへ、ユウキがシホ学園長に声をかけた。
「なんじゃ、ユウキ?」
シホ学園長はくるりと振り返って、ユウキに話しかけた。
というか、シホ学園長は生徒の名前を全員分覚えているのか…?
「あ、あの、さっき言ってた決闘ってのは?」
「ああ、その話か。
お主は此奴、いや、マサトの入学及び桜寮への入寮を認めたくない。
一方、マサトの方はここを出ると中学卒業と同時にニート街道まっしぐら、ということになってしまう」
シホ学園長は廊下を右に左に往復しながらそう説明を続ける。
どうやら、シホ学園長は俺の事情についてもすでに承知のようだ。
「両者の意見は平行線、このまま話し合いを続けても、両者納得いく答えは出んじゃろう。ならば、決闘しか無いじゃろうっ!!」
漫画ならバーン!という擬音が出てきそうな勢いで、俺達に向かって指を突き出すシホ学園長。
「いや、何でそうなるんですか!?」
「そうだぜ!第一、マサトはまだ魔法を使い始めて一ヶ月も経っとらんとですよ!?」
マリとユウトがシホ学園長にそう突っ込むが、一方のユウキはシホ学園長の案に乗り気のようだった。
「いいぜ。その話乗った!」
「ちょっ、ユウキ!?」
「…と言っても、アタイも鬼じゃねぇ。マサトが魔法少女な以上、この学園に通うのは仕方が無いこととして諦めるが、アタイがこの決闘に勝てばマサトにはこの女子寮から出て行ってもらうって条件でどうだ?」
ユウキなりに少し譲歩した結果として、俺の12魔高退学(入学すらまだなのだから退学というのも変な話だが…)は免れそうだった。
ユウキって意外と優しいところがあるのかもしれない。
俺としては、別に桜寮を出て行くことに異存は無いのだが、それを言うと今度はマリやマチ、ユウト達から色々と言われそうだったので、そこは潔くユウキとの決闘の案を飲み込もうと思った矢先に、今度はマチが口を開いた。
「なら、ユウキちゃんは何をかけると?」
「……は?」
「お兄ちゃんが桜寮の退寮をかけて決闘するんやけ、ユウキちゃんも何かかけんと釣り合わんよね?」
「え…?あ、そ、そうか…、えっと…、アタイは……、」
マチに再び凄まれ、しどろもどろになるユウキ。
なんかユウキが可哀想に思えてきたので、俺が助け舟を出そうとすると、その前に今度はユウトが口を開いた。
「なら!マサトが勝ったらユウキもマサトの恋人になるってことでどうだ!?」
「「はぁっ!?」」
ユウトの提案に俺とユウキが揃って声をあげた。
「うむ!決まりじゃな!では、明日の正午、屋内訓練施設にて二人の決闘を行う!
詳細は追って連絡するから楽しみに待っておれ〜♪」
「あっ!?ちょっ、待…っ!」
「学園長ーっ!?」
俺とユウキの合意を得ぬまま、来た時とは逆に床の蛍光灯の影の中へと溶けるようにして、手をひらひらさせながら消えて行ったシホ学園長(どうやら、シホ学園長の使っている転移の術は、『影移動』という魔法や魔術では無い特殊な術のようで、そのため、『転移』魔法などが不可能な対魔土で作られた建物内にも自由に移動が可能らしい。めちゃくちゃだ…)。
「ま…、負けたら……、アタイがお前の恋人に……?」
ユウキは呆然とした表情でシホ学園長が消えて行った床の蛍光灯の影を眺めていた。
俺はそんなユウキに恐る恐る声をかけた。
「えっと、あの……、ユウキ?マチやユウトの言ったことは気にせんでいいっちゃけんな?俺は別に勝ったからって、ユウキには何も要求したりなんかせんし、別に俺の恋人になる必要も無いっちゃけんな?」
だが、俺の言葉にユウキは何故かカチンときたようで、こう返してきた。
「はっ!?はぁっ!?お前っ!!それはアタイに女としての興味を持って無いってことか!?アタイなんか恋人にする価値は無いって言いてぇのか!?」
「はぁっ!?いっ、いやいやいやっ!?なんでそうなる!?俺はただ、」
「馬鹿にすんなよっ!?アタイはこれでも男子部の生徒だけじゃなく、女子部の生徒からも告白されまくって、じ、自分で言うのもなんだが、その…、も、モテまくってるんだからなっ!?…ま、まぁ、付き合ってんのはユウトだけだが……」
「あれ?オレら、そういう関係だっけ?」
「いや、それはっ、ユウキがモテとーってのはなんとなく分かるけどっ!ユウキめっちゃ美人やし可愛いいもんなっ!!」
「びっ…、美人で可愛い…っ!?おま…っ、いきなり何言い出すんだよ!?」
「えぇっ!?いやいや、事実を言ったまでで…、」
「もういい!分かった!!要はアタイが勝てばいいだけの話だっ!!決闘の条件飲んでやるよっ!!もしアタイが負けたらお前の好きにすればいいさっ!!」
「ええええええええっ!?!?」
それだけ捨て台詞を残して、ユウキはユウトの部屋の向かいの部屋である511号室へと入って行った。
「…言質とったね、お兄ちゃん!」
と、マチが「計画通り」とでも言い出しそうな、いやらしい笑みを浮かべていた。
「ま、こうなった以上、マサトも覚悟を決めるしか無いっちゃ!」
「そうだね、男としてマサト君が責任とってあげんとね?」
ユウトとマリまで、ニヤニヤした笑顔で俺の方を見てくる。
いや、何の責任をとれというんだ!?
「あはは…、まぁ、頑張ってね、マサト君」
と、マリアだけが諦めに似た表情で俺のことを労ってくれたのが、せめてもの救いだった。
そんなこんなで、俺は明日、ユウキと決闘をすることが決まったのだった……




