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ぐちゃぐちゃ
……何も聞こえない、何も見えない。
親譲りの面影は、髪の色のように薄く。子供の時から似てないとはよく言われた。
その薄かった面も影も、さっさと花火のように打ち上がって、散った。
儚い出来事だった。
定時の過ぎた横断歩道、子供のような白い影が元気に駆けずり回っているのを見た。この世で一番最後に見たその光景は、気が付けば目の前に広がっていた。
重々しい駆動音、くしゃくしゃになる金属の音、行き交う人の驚きと恐怖で増された悲鳴。いっぱいの音が鳴り響く中で、この世で一番最後に聞いたのは、耳を澄ませば少しだけ聞こえた……どこかの誰かの脈の音。
……何も聞こえない、耳を失くしたから。何も見えない、視界が赤いものに塞がっているから。
頭が回ってきそうな頃には、既に頭なんて無いことに気づいた。
そこそこ長く生きていたけれど、誰に看取られるでも讃えられるでもないこんな事で幕が下ろされるなんて。
残念だった。




