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第38話 間違いなくお前を選ぶよ

 ベッドの上で、文都が俺にキスをする。

 愛おしそうに何度も。


 俺の事を好きだって伝えてるみたい。

 俺も。俺も、文都の事が……。

 はぁ……俺のベッドルームで過ごす、二人の時間、最高。


 頬に添えられた文都の手に、自分の手を重ねてキスを返す。

 重なった口の中で、文都の舌が俺の舌に触れた。


 へ!?


 初めて経験する感覚に、思わず文都の胸を押して、体を離す。

 顔が、熱湯を被ったみたいに熱い。


「嫌だった?」

「嫌じゃない……」


 気持ちいい……。

 頭の中が溶けていきそうだった。


「びっくりしただけ。文都にされて、嫌な事なんてない」


 文都が、俺をベッドに押し倒した。首筋から、甘い匂いがふんわりと漂う。

 耳の後ろの髪を掻き上げるように、文都の手が触れた。


「そんなに、俺の事が好き?」

「へ……?」


 俺の頬に短いキスを落としながら、前にも聞いた事のある質問をする文都。


「答えて」


 真剣な眼差しが、俺の瞳を捕らえた。


 そんな分かりきったこと、どうしてまた聞くんだ? まるで、俺が答える事を願っているみたいに。


「文都の事が……」


 好き。


「俺は……」


 文都の事が、すごく、すごく好き。


 簡単な言葉が、口から出てこない。


 ウッ……言おうとすると恥ずかしくて……。


 誤魔化すように、文都の唇に自分の唇をすり寄せてキスを要求する。


「言ってくれないと、しません」


 えっ!?


「ちゃんと口で言ってくれないと……」


 もうキスしてくれないの?


「ウッ……」


 して欲しい……。


「顔で伝えるのは、ずるいです……」


 文都は、負けを認めたようにそう言った。


「まあ、俺はいつまででも待ってられるので……」


 あれ? 前に文都の欲しいものを聞いた時、似たような事を言われた覚えが……。

 もしかして、文都の欲しいものって……。


「文都……!?」


 欲しいものを聞こうとした瞬間、パジャマの中に文都の手が滑り込んできて、声が上擦った。


 そうだった! そういう事するんだった!


 スルスルと服が捲り上げられて、晒されたお腹や胸に、文都がキスをする。焦らしているみたいに、強く吸ったり、舌を這わせたりして。


 何か、慣れてない?

 

「ん……んんっ」

「今日は、残らないですね」

「あ……んっ……何が……」

「痕が残らないみたいです」


 痕が?


 全身から血の気が引くような気がした。


 俺、薬飲んでない。


「そういえばあの時、どうして痕が残ったんですか? キスマークも、傷と同じようなものだと思うんですけど……。天使に進化した事と関係ありますか?」


 俺に訪れる、この日最大のピンチ!


 ヤバいヤバいヤバい!

 薬の効果が切れかかってるんだ!

 そういや、甘い匂いするなと思ったけど!

 どうしよう!? 文都の前で薬飲む訳にはいかないし、大事な行為の最中だし!


「先輩? 顔色が悪いような……」

「俺? そう? 何ともないけど? 続けて?」


 よし、こうなったらもう、我慢だ。

 薬は、文都が寝た後で飲もう。

 今は、一線を越える事が何より大事なミッション。


 一抹の不安を感じながらも、腹を決める。


「辛かったら言ってくださいね」

「う、うん……」


 頭がクラクラするのが、文都のする行為のせいなのか、薬の効果が切れたからなのか分からない。ただ、すごく……。


「気持ちいい……」

「本当に?」

「頭、ふわふわして何も考えられなくなってきた……」

「よかった……」

「ハァ……なんだろう、すごく気分がいいけど……。う〜ん……」


 文都の首に腕を絡ませる。


「文都……」

「はい?」

「何で、そんなに慣れてるの?」

「え?」

「怪しい……。俺が初めての相手じゃないんだな?」

「……」


 文都が、動揺を誤魔化すように、俺の唇にキスをした。俺の口を閉じる為にされたようにも思えてくる。


「気分がいいんじゃなかったんですか?」

「……」

「ほっぺ膨らませないで下さい」

「冗談だよ。文都が俺以外の人と経験ある訳ないだろ〜? お前、俺より年下だし」

「それは……」

「えへへ。それより文都、俺血が吸いたくなっちゃった〜」


 上機嫌で文都に微笑む。


「え? 血ですか?」

「うん。だって文都の血、おいしいから大好きなんだもん」

「か、かわいい……。でも、どうして急に? 先輩、天使に進化したから、もう血は吸わなくて大丈夫だって……」

「ダメ……?」


 上目遣いで訴える。


「ウッ……可愛すぎる!」

「いっぱい血を吸わせてくれたら、文都の好きなようにしていいんだけど……。ちょっと乱暴にされても、文都なら全然許せちゃうし……」

「乱暴なんてしないです」

「遠慮しなくていいのに……。だって文都は、俺の世界一カッコいい彼氏だから」

「先輩の世界一カッコいい……」

「俺、文都とチューするの大好きなんだ〜。触られるのも大好き〜」

「つまり、俺の事が?」


 緊張感のない、ゆるゆるの顔で笑う。


「えへへ」

「かわいい! 笑って誤魔化されても怒れない! 顔に好きって書いてあるのに、どうして言えないんですか!?」

「だって恥ずかしいんだもん。服脱ぐより恥ずかしい」

「え?」

「暑い〜」


 パジャマのボタンを留めたまま脱ごうとして、つっかえる。


「見えない〜! 暗いの怖い! 文都助けて〜! お化けきらい!」

「ああっ! 先輩、どうしちゃったんですか? ふわふわで可愛いですけど……」


 文都が俺のパジャマを脱がせて、俺を救出する。


「甘えたがりの子猫みたいになってます」

「う〜ん……文都〜……。俺って性欲強めじゃないよな? お風呂で文都のこと誘惑したのは、文都がカッコいいのが悪いんだし……」

「え」


 頭が回らなくて、自分が何を言っているのか分からない。腹の内を曝け出している気がするけど、口に出すことをやめられない。


「自分の恋人と、そういうことしたいのは普通のことだろ? 手繋いだり、ハグしたり……。文都とする事は何でも嬉しい。文都といると、満たされた気持ちになる」


 俺、ちゃんと知性保ててる?


「何か一つを残して、俺の前から全部消えちゃうとしたら、間違いなくお前を選ぶよ」

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