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第31話 先輩のエッ……

「俺と文都の癒しタイムを邪魔するな。どうして居場所が分かったんだ?」

「教室で向井って人から聞きました! 屋上に行くって言ってたって」


 向井、あいつ……。


「そういえば先輩、音春くんといつ知り合ったんですか?」


 ギクッ。


「確かに」


 文都と理人が、俺に疑惑の目を向ける。


「亜蘭くんと俺は、道端で運命的な出会いを……」

「たまたま会っただけだよ! この辺りにいる吸血鬼って、俺の家族くらいしかいないし、吸血鬼同士仲良くしよってなって……」


 文都に薬の事がバレるのはまずい!


「俺と亜蘭くんは、出会ったその日にプロレスごっこまでした」


 自慢げに言う事か?


「それより、お前のせいで、文都の服が汚れただろ? お前、制服脱いで文都に渡せ」


 音春の胸ぐらを掴む。


「恐喝!? オレを脱がせる事に、一切の恥じらいがない! あ、亜蘭くんが、俺の服を脱がせようとしてるなんて……堪んねえ……ゴクリ」


 こいつ、さては変態だな?


「先輩、音春くんが寒くなっちゃいますよ。俺は大丈夫です」

「気にするな。吸血鬼は風邪引かないから」

「いや、引くでしょ。先輩も音春もバカだから風邪引かないんじゃないの?」


 文都が後ろから近付いて、音春から脱がせる事を止めるように、俺の両肩に手を置く。


「ダメですよ、先輩。年下の子にはやさしくしないと。それに、音春くんのはちょっと小さいです」

「おい! 身長マウント取ってんじゃねーぞ!? オレだって、あと一ヶ月もすれば2メートルくらいに……ふがっ」


 音春の口を押さえて黙らせる。


「じゃあお前、代わりに脱げ」

「ん?」


 他人事のようにしている理人に、矛先を移す。


「お前、文都と身長ほぼ同じだから。文都の年下でもないし」

「先輩からしたら年下でしょ? 俺、何も悪い事してないじゃん」

「これからしそうだから問題ない」

「なんて理屈」


 理人が、制服の上着を脱いで文都に投げた。


「いいよ」


 意外にもあっさりと承諾した理人に、拍子抜けする。


「やけに素直だな」

「先輩、脱がせて」

「え?」


 シュルッと音を立てて、理人がネクタイを外した。俺の手を掴んで、シャツのボタンに近付ける。


「別に上着だけで……」

「甲斐くんに、埃まみれのシャツ着せたままでいいの?」


 た、確かに?


「どうしたの? 脱がせないの?」


 理人が、心から楽しんでいるような笑顔で俺を挑発する。


 何か嵌められているような気がするけど……。


 嫌な予感を感じながら、理人のシャツに手を掛ける。

 ボタンを数個外した所で、理人が、

「そんなに俺の体が好き?」と聞いた。


「こんな所で脱がせるなんて、欲しがりだな〜先輩は」


 不快な芝居が始まったぞ?


「おい、何の真似だ?」

「気にしないで続けて? ほら、甲斐くんの為に頑張らないと」

「うっ……」


 これは文都の為……。

 こいつの一人芝居に気を取られるな。


 ボタンを外す度に、俺が恥ずかしくなるような言葉を語りかける理人。


「昨日もあんなに激しくしてあげたのに、もう欲しくなっちゃったの? 夜まで我慢できないの? それとも俺との関係を、みんなに知られたい?」

「ぬ、脱がせにくくなる芝居をするな!」


 俺がお前を襲ってるみたいだろ!


「俺と先輩は、ご主人様とペットの関係だもんね?」

「俺がご主人様だからな? 虚構と事実を織り交ぜて、フィクションに真実味を出すのをやめろ」


 理人が、俺の腰に手を当てて引き寄せる。


「先輩って、性欲強めなの……?」


 せ……!?


「こんな所で、甲斐くんとエッチな事しようとしてたんだもんね?」

「ち、違……! してない!」


 甘い毒で侵されるみたいに、耳元で吐息を吐くような声が囁かれる。


「欲求不満?」

「違うって……」

「俺は、性欲強めな先輩も好きだよ」

「違うってば……」

「先輩? 顔が赤いけど」

「う……」

「まさか今更、恥ずかしがってるの? ほら、最後までしてくれないとイケないよ?」

「その言い方……やめ……」

「先輩のエッ……」

「よし、ボタン全部外れた」


 理人からシャツを剥ぎ取って、文都に渡す。


「文都〜新しいシャツ!」

「寒っ」


 心許ない格好になった理人が、腕をさする。


「理人って時々、自分を犠牲にしてまで欲望を優先するよね」

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