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異世界英雄監獄  作者: 千蒼
二章
32/42

第31話 ドワーフの鍛冶師

「本当にありがとうございます!」


 数分後、数人の兵士が俺たちの前で一斉に頭を下げた。


「いいえ、俺は何もしていないし……」


「あなた方はとても謙虚ですね」


 ヘクトは頭を上げて敬服して俺たちを見ている。


 倒れて悪夢に陥った兵士を起こして城内に戻り、経緯を説明した後、兵士たちはすぐに俺たちに礼を言った。


 幸いここは詰め所で、そうでなければみんなで集まってきっと目を引くに違いない。


 ここはヴィット城の兵士の詰め所。この辺りには住宅やお店がないので、人通りが少ない。


「今度はあなたたちがいなければ、俺たちもこのように無事に帰ってくることはできません。それに兵士を襲ったのは人間だと気づくことはできません」


 兵士たちは悪夢に陥らず、亡霊術師を撃退できる俺たちに敬服しているようだ。


 正直に言って、相手が戦っているのはシメリアであって俺ではない。俺はちょうど相手の魔法に抵抗できるだけで、何もしていない。


「あなた方の実力を誤解して申し訳ありません」


 ヘクトと兵士たちは、俺たちがその亡霊術師と戦うことができるのはすごいと思っているようで、実力が優れている。


 実力はシメリアほどではないが、彼らは俺がシメリアと同じくらい強いと思うようだ。


 本当に感謝すべきは後ろの方ね……。


 振り返ると、シメリア静かに後ろに立って。この功労者は、自分の功績を自慢するつもりはなかったようだ。


「助けてくれて本当にありがとう。あの亡霊術師を撃退するのは苦労しただろう」


「いや、別に苦労はしてないけど……」


「ははは、そうですか。でもこれでA級魔物の謎が解けましたね。これで俺たちもその亡霊術師に用心する方法がわかりましたね」


「そう、これで本来のパトロール編成も復活できるんだね」


 ヘクトと隊長はのんびりと笑っていた。


 俺は彼らに亡霊術師の外観と持ってる魔法を話した。相手が人間であることを知ってた以上、彼らも一定の対応策を考え出すことができる……とヘクトたちは言う。


 彼らに『眠りの風』という魔法に対処する方法があるとはあまり思わないが、彼らがこのことを気軽に見ることができる以上、彼らには一定の対応策があることを示しているだろう。


 所詮それは彼らのことだから、俺たちが介入するのもよくないね。


「じゃ、お先に」


 出かけようとしたところ、ヘクトが突然俺を呼び止めた。


「ちょっと待って、あげるものがあります」


「ハハヘクト、それを彼女たちにあげよう。それは彼女たちの当然のことだ」


 何をくれる?


 俺は疑問の顔をして、兵士たちは答えなかった。ヘットはただ神秘的な顔をして俺たちに彼について行けと言っただけだ。


 間もなく、俺たちは大きな石造りの建物の前に連れて行かれた。


 うーん……外観も出入りも兵士で判断すると、ここは兵士たちの本部のはず?


「ちょっとここで待っててね!」


 本部に入ってしばらくすると、間もなくヘクトは本部を出て、袋を渡してくれた。


「しっかり持ってね!この中のものは貴重ですよ」


「?これがあたしにくれるもの?」


 袋のひもを引いて袋の内部を見ると、金貨がいっぱい入っていた。


「こ、これは!?」


「これはあなた方への報酬です。全部で百枚の金貨です」


「報酬……そんなにお金をくれる必要はないだろう」


 亡霊術師を追い出すだけでこれだけの金がもらえるとは思えない……


 俺の疑惑に気づいたヘクトは笑って応えた。


「これは懸賞金。A級魔物の懸賞金ですよ。そのA級魔物の噂を解いたんじゃないか。当然相応の賞を受けるべきです」


「でもあの人を捕まえたわけじゃないよ。これだけのお金をくれるのはよくないだろう」


 何もしていないのにこれっぽっちの金をくれた……何だかよくないね。


「相手が亡霊術師だとわかったことだけでも大きな功績ですよ。さもなくば長い間このようにパトロールしてきて、使ったお金はこれよりも多いに違いありません。情報の真実性については、俺たちが証言します」


 ヘクトはこの金を持っても何の問題もないことを保証した。


「でも……」


「あなたたちは最近荷物をなくしたなくしたのではないでしょう。このお金なら助かるでしょう。それに、新しい武器も必要でしょう」


 俺が帯にかけた折れた槍を指して、ヘクトは謝罪した。


「ごめんね、それはきっと高価な武器でしょう。そのお金で新しい装備や武器を買いなさい」


 実はこれは儀式用の槍にすぎず、しかもこれは俺が借りてきた武器にすぎず、全然お金を払って買っていない。


「まあ、実はそんなに高くはないけど……」


 どうしよう……でも、これでは人の好意を断るのはよくありません。あ、シメリアの意見を聞いてみましょう。


 振り向いてシメリアに視線で尋ねた。


 相手はまばたきをしてから、俺の武器を見てうなずいた。


 受け取ってほしいのか……


 シメリアも俺にこの金を受け取ってほしいようだ。


「……いいでしょう」


「じゃあそこを右に行けば、お店があるはずですそこにはハマットという親方がいます。彼が作った武器はすごいよ」


「わかった」


 ヘクトに別れを告げた後、俺は袋を抱いて道を歩いている。目立たない魔法があるので、こうして大きな袋を抱えて歩いても目立たない。


「でも武器って……武器を買うなら何を買えばいいんだろう」


 これまでは人からもらった武器を持っていたので、どんな武器を買えばいいのか分からない。


 一番重要なのは武器のタイプだろ。剣、槍……これらはすべて得意なので、どれを選んだらいいのか分からない。


 ……やっぱり趣味で選ぼう……うん、剣を選んだほうがいい!


 俺は振り向いてシメリアが帯にかけた剣を見た。


 ヒュルトロスにはすまないが、剣の方が戦いやすいと思うし、しかもさっきシメリアが魔法を断ち切る姿はまだ記憶に新しい。


「決まった、剣にしよう!」


 シメリアは俺たちの中で一番強い人なので、この機会に彼女と剣術を学びたいと思う。


 決してカッコいいから剣を選んだわけではないよ!


 ヘクトが紹介した武器店はヴィット城南部エリアにあり、ここから遠くないので、わざわざ紹介してくれたからには、ちょうどそこに行って武器を選ぶことができる。でも……


「それでいいのか、正直に言って、俺はこの件ではあまり役に立たなかった。このお金はシメリアにあげるべきだった」


 このお金でシメリアに買い物をしてあげよう。そう言ってから、シメリアは俺を拒絶した。


「私には何も欲しいものはありません」


 お金をくれなくてもいい――そう言って、銀白の騎士は首をかしげてまた一言付け加えた。


「でもシィンには力をつけて欲しいから、武器を買ったほうがいいです」


「……仕方ない。じゃあ武器屋に行こう」


 シメリアは俺のことを話したときだけ真剣になるようだ。


「ヘクトがここに武器屋があると言ったのを覚えてる」


 シメリアを連れて武器屋に来た。


 武器店のドアが開き、店内を少しのぞいてみると、中には誰もいなかった。カウンターのところにも店員がいない。


「うん、今は営業中だろう……なんで誰もいない?」


 まさか倒産したの?でもヘクトがここに武器屋があると言ったのを覚えてる。しかも店内には武器があるよ?


 この武器店はヴィット城唯一の武器店だそうだが、武器を買う人がいなくても、倒産するほどではないでしょうか。


「誰かいるか!?」


「……おお!ちょっと待って!」


 武器屋の後ろから返事が来た。


「まさかこんな時にまた誰か来るとはわ」


 すぐに店の前に男が走ってきたが、どうやらハマットはこの人らしい。


 驚いたことに、ハマットは人間ではなく、あごひげを生やしていて、身長と俺の差があまりなく、驚くべき筋肉を持つ男性ドワーフだった。


 ここで他の種族を見るとは思わなかったな。


「?なだ、驚いたようだ?」


「あ、この町には他に種族がいないと思っていたけど、やっぱり武器はドワーフが作ったほうがいいね」


「ははは、目が高いね」


 俺の話を聞いて、真面目そうなドワーフは笑った。


「俺がドワーフだと知らずにこの店に来たのね。どうやってここを知った?」


「俺はヘクトの紹介で来た。あなたがハマットさんだよね。ヘクトはハマットさんが作った武器はすごいと言ってたよ」


「あ、ヘクトから聞いたか?俺は確かにハマット。知り合いに紹介されたからには、いい武器を選んであげよう」


 ハマットはそう言いながら手を伸ばし、俺も手を伸ばして自己紹介をした。


 ハマットは意外に親切ね。


「武器が欲しいんだろう。何が欲しい?できるだけあなたを満足させるよ」


「剣が欲しいのです」


「うん、剣か……」


 俺が剣が欲しいと言うと、自信満々のハマットはためらった。


「俺のところにはしばらく剣がないなあ」


「剣がないか」


 振り返って武器屋の中を覗くと、ここには槍でも斧でも盾でも、どんな武器でもあるが、剣だけはない。


「大剣がもう一本あるんだが……あなたと似合わないね」


 ハマットはカウンターの後ろに行って、とても長い大きな剣を取り出した。


「この剣は重すぎて、あなたには持てないだろ」


「やってみます」


 俺は歩いて行って剣を取って、うん、以前の剣より重くない気がする。力がまた増したようだ。


 体の異常さを嘆く俺とは違って、ハマットは驚いたように剣を構えた俺を見た。


「おお!この剣を持ち上げることができるのか……!」


「実は俺は力持ちなんだ。でもこの剣は俺には向いていないね」


 この剣を持つことができるが、この剣は大きすぎて、攻撃の時に誤って味方を傷つけるかもしれない。


 大きな武器を持って走り回るような役にはなるつもりはない。やっぱり俺と似た体型の武器を選んだほうがいい。


「うーん、どうしても剣を買わなきゃか?あなたの力からすれば、他の武器を使ってもいいね」


 ハマットは残念そうな顔をした。


「剣が必要なわけではないが、戦闘では剣で戦ったほうが便利だと思う」


「戦闘?つまり、あなたたちは外から来たのか?」


「うん、俺たちは冒険者だ」


「冒険者よ、道理であなたたちに会ったことがない」


 このことに気づいてから、ハマットは何かを考えてうなずいた。


「あなたたちはその噂におびえずに逃げたのは勇敢だね、そのA級魔物のことだ」


 ハマットもその噂を知っていて、ヴィット城のみんなはこの噂を知っているようだね。


「ふん、あの噂のせいで冒険者がここに来なくなったので、武器も売れなくなったな」


「ああ、そのことについては、もう心配しなくていいと思う」


 俺はハマットに亡霊術師に出会ったことを説明した。近いうちに発表されることかもしれないが、知っておくのも悪くないね。


「なるほど。よくやったね」


「そのことを公表すれば、冒険者はすぐに帰ってくるだろう」


「いや、そうとも限らない。それは、あの城主がどうするかによりる」


 俺と反対意見を持って、ハマットは頭を振った。


「うそだとわかっても仕方がない。このような差別はなかなか解消できないよ。もし城主がその噂を信じていたとしたら、噂が消えるまでにはまだ時間がかかるだろう」


「そんなにひどいか?」


 前からあの城主のことはたびたび耳にしていたが、一城の主である以上は、どんなに信じていなくても、周りには正しい諫言をする人もいるだろう。


「この噂は最初から城主から広まっていたからな。あの亡霊術師の指名手配書もそうだった、実際には少数派を差別する人がけっこういるんだよ」


「これも帝国内の伝統的な習慣が関係しているね」ハマットはため息をついた。


「うん、確か帝国では差別は許されないんだろう?その勅令なんて」


「初代皇帝の勅令のことだね。残念ながら、その勅令は廃止されたよ」


 この国のスロウィル帝国には、かつて帝国内で差別的なことがあってはならないという勅令があった。皇帝の命令により実施され、帝国内の差別は撤廃され、種族共栄が達成された。本にはそう書いてあるが、現実はそうではない。


 長年の習慣はなかなか直らず、実際に帝国で他の種族を差別する人は依然として少なくない。


 表面的には友好的に見えるが、本当は他の種族を受け入れるべきではないと考えている人も少なくない。


 その理由は、魔物から進化した種族が少なくないという古い言い伝えがあり、現在の彼らの子孫がその血を引く魔物だから。


 亜人を差別してはいけないが、相手が魔物だったら……。亜人魔物説を唱える者はこれを論点に亜人と他の種族をどんどん排除していきる。


「皇帝の目に見えるところでは差別はなかったが、それを信じて帝国の辺境に追いやった人が多かったのだね」


 この村もそうやって作られたね、とハマットは語っている。


「そうか。どうりで街中に他の種族がいないわけだ……」


 スロウィル帝国は種族共栄の国だと聞いていたから、他の種族がいないのかと不思議に思っていた。そうすれば納得がいきる。


「実は帝国は表向きには知らないふりをしていた。だから以前は他の種族が見えていた。しかし帝がこの勅令を少し前に廃止し、前に就任したばかりの城主がこの件を支持していたから、ここでは今では他の種族はほとんど見られなくなっている」


「俺は武器を作ることができるから、まだここに残ることができる。ふん!でもあいつには少しも感謝していない!とにかくこの現状が変わらない限り、この誤解の状況は続くのではないかと思う」


「そうか……」


「や、つまらない話はここまでだ。剣を買いに来たんだね。今は武器を作る鉱石が足りなくて剣が作れないんだよ」


「鉱石不足?」


「商隊が来なかったから」


 ハマットが詳しく説明してくれる。


 彼の話によると、元来店には十分な在庫があったが、大きな注文が入ったために、武器を作るための鉱石がなくなってしまった。


「城主の注文をこしらえるために、在庫の鉱石を使い果たし、まだ商隊を呼んでこのあたりの鉱石を運んできて、たくさんの鎧や武器を作ったんだ」


「城主の注文だよ?あの城主はそんなに武器を欲しがって何をしているんだ?」


「さあね。俺は知っていることはただ一つ、物を作った後、あいつは手付金の半分だけ払って物を運んでいった。これが城民の義務だとも言ってた」


 手付金を全部払わずに装備を運んでしまったなんて、まるで万引きのようだね。


「その後もその装備がどこに行ったのか分からない。これらの鎧は兵士や騎士団にも与えられていないし、あれだけの装備を作って一体誰にやるんだよ」


「近隣の領地で必要があって、これだけの装備を作ったのではないでしょうか」


「うちの城主さまは、そんなに親切に人を助けてはくれないよ。しかもそれは何万もの武器と鎧だよ。森の中に運び込まれて消えてしまった。ふん、強盗に盗まれたのかもね!」


「強盗に盗まれたんだか。強盗が森に立てこもるとは思えない」


 なにしろここは禁忌の森だから、ある程度実力のある人でなければ、森の中にいると必ず死んでしまうし、それに誰が何万もの装備を盗む――。


「あっ!」


「どうした! ?」


「あいつらなら、可能性はあるかもしれない」


 森の中を闊歩し、長時間待ち伏せできる実力のある強盗…そういう集団は確かにいる。いえ、かつてそういう集団がいたというべきだ。それがゴブリン軍だ。


 ゴブリンたちは、とても森の中で作られたものとは思えない、装備の整った鎧や刀剣を身につけていた。かれらが城主の装備を盗んでいったのかもしれない。


「どうした。誰が装備を盗んだかわかったか」


 ハマットは真剣な目で俺を見ていた。これらの装備を作り出した彼は絶対に誰よりも装備の行方を知りたかったのだろう。


 俺も装備を出して確認したいけど、ゴブリンの装備とか鎧とか、今の手元にはない。


 それらはグランニタ城に置かれていて、グランニタ城は今、本の中に移されているから。装備を取り出すのは難しい……


 俺は中に城が入ってる本を取り出した。


 物を出すにはグランニタ城を取り出さなくてはならないが、城を取り出すには広い場所に出さなくてはならない。もっと便利な方法はないか、例えば欲しいものを直接取り出して――。


「――」


 突然本が光り始めそしてページが素早くめくれる。


「わあ!」


「この光か! ?」


 ページから鋭い銀色の三角形が出てきた。


 まずい! それが何であるかに気づき、俺はすぐに本を床に向けた。


 本から出てくる銀の角はどんどん長くなり、本に吐き出されるように地面に落ちていく。


 地面に落ちてから、やっと三角形の正体が見えてきた――長剣。


 もとは直接物を取り出すことができて……事前に警告しろよ!もう少しで人に向かって長剣を放ったよ!


「こ、この剣は! ?」


 ハマットは怪訝そうに地上の剣を持ち上げた。


「あ、これは森の魔物を倒して手に入れた武器」


 俺は前に遭遇したゴブリン軍のことを全部ハマットに話して、ついでに剣と鎧を放った。


「うーん、武器の仕様はよく知ってる。これら武器の仕様は俺が作った通り」


 ハマットは長い剣に手を触れ、柄を見て囁く。


 武器の規格はすべて同じで、これらの装備は確かにハマット製の装備だ。


「つまり、この武器はゴブリンに盗まれて使われていたんだね」


「ええ、たぶんそうだろう」


「道理でこれらの武器の細工がこんなに精巧なわけだ。でも物を盗まれた、なぜその城主は言わなかったのか。ヴィット城が攻撃されるところでしたよ」


 自分が使うはずの武器を魔物に奪われて、さらに逆に魔物の武器に攻撃されそうになるなんて、これは笑い事ではないな。


「城主は見栄っ張りだよ。なにしろお若いのだからね。こういう醜聞に近いことは、むろん口外しない。気づいた人がいても、それを否定しようとするだろう」


「否定……」


 シオラペのことを思い出すが、ゴブリン軍の存在を否定しようとしたのも無理はない。


「世間体を気にするのやつは面倒だね」


「そうね。とにかくありがとう。装備を取り戻してくれた」


 ハマットは持っていた剣をそばのテーブルに投げた。


「ではお礼に。剣を作ってあげよう。その武器を材料に」


「……武器を材料に?え、いいの?これらの武器は貴重なのではないでしょうか?」


 俺はこれまでの戦いでもこれらの武器が非常に優れていることを察知した。これらの武器は大変だっただろう。ハマットが武器を溶かすことを簡単に決めるとは思わなかった。


「ふん、そうとも限らない。これらの武器にはヴィットのマークがついているから、城主に気づかれたらそのときはまたいろいろな騒ぎになるだろう。そんなことになるくらいなら、それらを溶かして、役に立つ剣に作り直してもらったほうがいい」


 武器の製造者として、ハマットは装備を廃棄することを決めた。


「とにかく。この武器で剣を作ってあげよう。それらのどれよりも強い剣を」


「そうか……うん、じゃお願いします」


「じゃ剣はどんなサイズにするか。武器の外観についてはどうしたい」


 ハマットは一枚の紙をテーブルの上に置き、その場で武器の設計図を描くつもりらしい。


「え、それ……」


 こんな質問があるとは思わなかった。シメリアを振り向いて助けを求めた。


「シメリア、剣のサイズとか、ちょっと手伝ってもらえませんか――」


「シィン様――ここにいらっしゃいますか!」


 言い終わらないうちに、店の外から声がした。振り向くと、マーリンが足早に武器店に入っていくのが見えた。


「お、魔法使い……」


「どうして俺たちがここにいることがわかるよ?」


「使い魔で追跡して見つけました。あ、今武器を作っているのですね。もし気になるようでしたら、次回は事前に念話でお知らせします」


「そんなに気にしてない。え、来たからには、ついでに手伝ってくれませんか。剣を作ることについて」


 ちょうどみんながいる。俺はマーリンたちに剣のデザインを主導してもらうつもりだ。


 俺は剣のサイズや加工については一切知らないが、その場にいたみんなは俺よりも深く知識を持っているはずだ。


 彼らに主導的に作らせることで、素晴らしい剣を設計することができるはずだ。


「はい」


「わかりました!」


「任せろ!」


 俺がそう言うのを聞いて、みんなやる気満々。マーリンとシメリアはテーブルに寄って剣のデザインを始めた。


 まあ、この様子を見ていると、いい剣ができそうだね。


 俺は微笑みながら、話に加わる。二時間後、剣の設計図ができあがった。

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