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異世界英雄監獄  作者: 千蒼
一章
17/42

第16話 再戦と実験

「作戦方針はこうです!」


 前には宙に浮かぶ画面があり、城の外にいるゴブリン軍の動きが画面に映し出されていたが、マーリンは画面の横には作戦方針が説明されている。


 自分で作戦を考えるつもりだったが 、マーリンは作戦を計画する仕事ができると言ったから、俺は作戦の計画する仕事を彼女に任せた。


 マーリンは静かに戦いを解決したいという要求に基づいて迅速に作戦を設計した。そして彼女は単に作戦を考えただけではなく、ゴブリン軍に対する様々な評価を行い、あらゆる計画に現れる可能性のあるリスク問題を考慮し、完璧な作戦戦略を計画した。


 いくつかの問題は考えてもみなかった。彼女を召喚するのは本当に正しい決定だね。


「それがすべてのリスク評価判断の後に作られた作戦です。シィン様、この計画に問題はありますか?」


「いえ、問題ない。いい作戦を立ててくれて助かった」


「シィン様にほめてもらえるのは、それに越したことはありません」


 マーリンは冷静沈着に頭を下げた。


 俺に対する態度がおかしいのを差し置いて、マーリンは物事を処理する上で本当に頭のいい人だと言えるだろう。


「でもそんな作戦が思いつくなら、それはできるかも……マーリン」


「ええ、何か問題でも?」


「ゴブリンとの戦いを避ける方法はないか。ゴブリンたちを降参させてみてもいいかな」


「降参?」


 マーリンは首をかしげて俺を見ていた。


「ええ、できれば人命被害は避けたい」


 ゴブリンにはその程度の知恵がある以上、彼らとの戦いを避ける方法があるかもしれない。魔物だが、被害を最小限にとどめることができれば、全力を尽くすべきだ。


「そうですか……でも、無理だと思います」


 マーリンは振り返って画面上のゴブリンを見た。


「あのゴブリンたちは知恵はあります。ですが、降参を勧めることはできません」


「どうしてダメ?」


「あのゴブリンたちは強引に歪まれた存在ですからね。ゴブリンたちが外部の強い魔力に歪められてそうなることを、私は見えます。そうねじ歪まれて彼らは人に対して強い殺意を持っているだけでなく、おそらく命も極めて短いです」


「歪まれた……彼ら……ゴブリンたちを元に戻すことはできないのか」


「残念ながら、それはできません」


「その姿はもう元には戻れません。できれば、早くゴブリンを倒して解放させるのが得策です」


 管理者を振り返って他の答えを得たいが、相手も同じ答えを出した。


「そうか……じゃあ、この作戦を採用しよう!ヒュルトロス、この作戦について何か質問はあるか?」


「いいえ、何の疑問もない」


 左手に座っていたヒュルトロスは腕を組んで、画面上のゴブリンを真剣な目で見ていた。


 ヒュルトロスは彼らを倒すことを気にしていないように見えて、態度はとても平然としている。


 ヒュルトロスとマーリンは性格的には少し問題があるように感じられるが、彼らがどんなに奇妙であっても、彼らはまだ他の世界の大英雄であるね。


「他の世界の英雄か……」


「ん?大将、何かと言ったか」


 ヒュルトロスは振り返った。


「いや!なんでもない!」


 ヒュルトロスもマーリンも英雄で実力も強い……彼らの力を借りることはできるが、借りた力は置いておいて、今この場にいる実力が一番弱いのはたぶん俺だ。


 ヒュルトロスたちは俺に文句はないと言っているが、彼らは自分をリードしている人の実力が弱いことを好きではないはずだろう。


 一時的に指揮官になったからといって、俺が安全に後ろに隠れて仕事をしなくてもいいというわけではないし、強くなるためには俺もそれを許さない。だから、ヒュルトロスたちが俺がゴブリンと戦う必要はないと言っても、戦うつもりだった。


 これはすべて努力して強くなるため!でも戦闘中に足を引っ張ってはやばい……とにかく一歩ずつ強くなっていこう!


「じゃあみんな文句はないだろう。それでは急いでゴブリンを倒しに行こう!」


「お!」


 ◇


 作戦の方針を確認した後も、十分な事前準備ができた後、管理者は俺たちを城の入り口に移した。


「シィン様とご出陣されるのは初めてですね。私の力をお見せしましょう!」


「大将を守ってやる!」


 後ろにいるマーリンもヒュルトロスも、来るべき戦いに少しも心配していない。


 これが英雄としての余裕なのか。


「よし!行こう!」


 そう叫ぶにつれて、ヒュルトロスと俺は城の外に飛び出し、遠くないゴブリンたちに向かって突き進んだ。


「ガ!?」


 遠くの草むらでうずくまっていたゴブリンが振り向いた。ゴブリンは俺たちが突進してくるとは思わなかったようで、武器を取って慌てて立ち上がった。


「遅い!」


 俺よりも速いヒュルトロスはすでに相手の陣前に到着し、槍を突き上げて相手の胸に向かった。


「わー」


 堅固な魔力で防御された鎧が紙片のように貫かれた。ヒュルトロスは少しも力を入れずにゴブリンを倒した。


「人間!」


「殲滅ーー」


 ゴブリン陣営に突入したヒュルトロスはたちまち注目の的となった。彼の周りにいたゴブリンは怒鳴り、武器を手にしてヒュルトロスを攻撃した。


「はは!」


 同時に10匹ゴブリンが彼に飛びかかったが、ヒュルトロスは何のためらいもなく、手にしていた槍を振り回し、周りにいたゴブリンは次々と腰を切断された。


 撃ち殺されたゴブリンはまだ倒れておらず、ヒュルトロスはすでに前方に進んでいた。


 ヒュルトロスが敵陣に入るにつれ、後から反応したばかりのゴブリンも彼を包囲し始めたが、ヒュルトロスを包囲するのは無駄な行動だ。ゴブリンが彼の前進を止めようとしても、槍の下の亡霊になるだけだからだ。


「すごい……」


 遠く離れたゴブリンの群れの中で大暴れしているヒュルトロスを眺めていた。


 ヒュルトロスは敵陣の中で急速に移動し、ゴブリンは彼を止めることができなかった。彼は相手の攻撃を素早くかわしながら、相手を倒すことができる。


 鎧を着て訓練を受けたゴブリンは十分に強いのに、ヒュルトロスは彼らよりも強い。そしてヒュルトロスのこの強力な力が彼の力のほんの一部にすぎないことを知ってる。彼は俺に協力するために戦っているにすぎない。もし彼が本当の実力を見せたら、おそらくこのゴブリン軍はたちまち消滅するだろう。


「人間は……」


 遠くのヒュルトロスの戦いを見ていると同時に、そばにも多くのゴブリンが集まっていた。人間を憎んでいるゴブリンは、もちろん俺を見逃すことはない。


「ふん……じゃあこちらも負けられないな!お前らよ!一緒にスキルを試してみよう!」


「殲滅……!」


 ゴブリンは剣を振り上げ、素早い斬撃を放つ。


 俺は槍で相手の攻撃を遮って、そして力を入れて足で相手の胸に蹴る。


「う……!」


 蹴られたゴブリンは低い声で叫んだ。凶悪な目はこちらを睨んできて、再び攻撃してきた。


「まずはこれ――『武芸洞察』!」


 スキル『武芸洞察』を発動し、模倣の対象はヒュルトロス。頭の中でかつて見た武芸を思い出し、瞬時に模倣した技は相手の攻撃に素早く抵抗し、相手の武器を振り払う――


 手にした槍に魔力を注ぎ込み、俺は手を伸ばして槍を前に突き刺す。槍で胸を貫かれたゴブリンは倒れた。


 一人のゴブリンが倒れても、他のゴブリンは退却しなかった。そばにいたゴブリンは全員一斉に攻撃した。俺はヒュルトロスの技を真似して、速やかにゴブリンたちを倒した。


 何度かの戦闘の合間に、遠くで戦っているヒュルトロスに目をやった。


 相手はまるで嵐のようで、ゴブリン全く彼を止められない。


 ヒュルトロスが振り回した槍の先には銀色の光が絡み合っていた。その力はまるで銀河のように、槍が前に突き進んだときに眩しい輝きを放つ。


 ヒュルトロスは前を向いて攻撃し、その力を解放した。その銀色の光は最初は微かに見えたが、敵に到着する前に急速に大きくなった。光の柱となった力がゴブリンの体を強打し、直接相手の体の半分を消滅させた。


 遠くから見ると、まるでヒュルトロスがその槍でビームを放っているかのようだ。


「ーー!」


 そばを走ってきたゴブリンは刀を振り回した。目に入ったこの光景を見て、俺は振り向いて『武芸洞察』を使った。


 持ち上げた槍は相手の刀に抵抗し、2本の武器が衝突して火花を散らした。


 銀の槍身には、ヒュルトロスの槍の銀色の光は少しも現れなかった。


「やっぱダメかーー」


 低く吟じて、槍に魔力を注入した。一瞬にして爆発した力で相手を倒した。


「じゃあ次はこれ!」


 俺は深く息を吸った。体にはすぐに力が湧いてきた。


 この力は体を軽くして、スピードが速くなる。感覚が鋭敏になるから、後ろから一緒に襲おうとしたゴブリンでさえ知覚できる。


 振り向いて、手にした槍で奇襲しようとしたゴブリンに突撃した。


 ゴブリンは剣を挙げて反応する暇もなく、一瞬にして倒された。近寄ろうとした他のゴブリンも素早く倒された。


 この突然の変化のため、周りのゴブリンはしばらく近づく勇気がない。


「ーー」


 銀の槍をよく見ると、槍に銀の光が絡みついているのが見える。


 それはさっき『武芸洞察』で真似できない、ヒュルトロスならではの力。


 得た強大な力で前にジャンプする。前方の敵陣に飛び込み、周囲に向けて銀色の輝きを放つ。銀色の光が激流のように周囲を炸裂し、触れたゴブリンを消滅させる。


 周りの敵を一掃した後、俺は振り向いて同じ力を出したヒュルトロスを見た。


 その力の正体はヒュルトロスのスキルの一つーー『銀河激流』。


 ヒュルトロス


 称号:なし


 スキル:


『思考加速』


『魔力放出』


『銀河激流』


『星の斬』


 これは、戦う前にヒュルトロスに対して『情報探知』を使って得た情報である。


 ヒュルトロスに今使えるスキルはないかと聞いたことがあるが、そのスキルが『銀河激流』だ。


 『武芸洞察』で『銀河激流』を再現してみたが、『銀河激流』を再現することはできない。


 これまでは治癒魔法でも『武芸洞察』で再現できていたが、『銀河激流』は再現できなかった。そしてテストを経て、『武芸洞察』も他のスキルを再現することはできないようだ。


 そこで俺は、『銀河激流』のようなスキルタイプの能力は『武芸洞察』では再現できない力であり、魔法のような力は『武芸洞察』で再現できる力だと判断した。


 再現できる力がなぜこの2つになったのかというと、スキルは一人の人間自身が鍛えた力であり、武芸の一種ではないため、『武芸洞察』では再現できないのではないかと思う。


 だけどちょうどヒュルトロスの力を使うことができる契約を持ってる。そしてヒュルトロスの力はもちろんスキルをカバーしている。だから俺がヒュルトロスの力を借りれば、彼のスキルを使うことができる。


「だから『武芸洞察』を使うのは武芸を真似ることができてスキルを使用することができなくて、そして力を借りるとスキルを使ってもいいのか……」


 技の力を借りられるか借りられないかの差はそれほど大きくないが、これは戦いの中で勝敗を決める鍵となる。だからこのことを事前に明らかにすることができるのは利益がある。


「じゃあ、これからは全力で戦うぞーー」


 実験を終えた後、俺もヒュルトロスにならって、彼のようにゴブリンの陣営で暴れた。そばにゴブリンは止められず、仲間の数が減るのを見るしかない。


 そして敵を一定の人数に削減した後、相手はついに耐えられなくなったようだ。


「殲滅!!」


 陣営の後方にいたゴブリンは矢を放ち始めた。


 黒い雨のような矢の雨がまた降ってきたが、前回の雨とは違って、今度の雨には新しいものが混じっていた。


 俺は槍を振り、落ちてきた矢を打ち消した。


 矢がそばの草むらに落ち、草むら全体が急に燃え始めた。周りを見回した。このような矢は1本ではなく、多くの矢が落下するにつれて、キャンプ全体が火の海に陥った。


 相手はもうこのキャンプの安否を気にせず、俺たちの移動を火で止めようとしているようだね。


「人間!」


 火の海のもう一端にいたゴブリンは、全身に矢を立てて黒焦げになっていたが、この惨状になっても彼は倒れずに攻撃を続けた。


 相手は力強く前にジャンプして、すぐにそばに降りてきた。そして素早く剣を振り上げて斬りかかってきた。


 そんなスピードは今の俺の目にも遅くないね。


 ゴブリンの攻撃に抵抗しながら、彼に『情報探知』を使う。


 ゴブリン『狂暴化』。


「やっぱり狂暴化……ね!」


 力を入れて相手を押しのけ、『銀河激流』を使って相手を攻撃した。狂暴化したゴブリンはこの手を出したのを見て、すぐに身を翻して避けようとしたが、でも俺一瞬にして力を強化したから、彼は逃げようとしても体は蒸発してしまった。


「人……間……」


 命を落としそうになっても、ゴブリンは必死に支えて息を引き取らなかった。


「……まったく」


 振り返って、燃えるキャンプ場を眺めている。キャンプ内では凶暴な叫び声が飛び交っている。狂暴化するスキルを使うゴブリンは少なくないだろう。


 相手がキャンプに火をつけるとは予想外だったが、ここまでは計画の範囲内……


「そろそろ計画は次の段階に進むべきだ……ヒュルトロス!」


「了解!」


 声を聞いて、ヒュルトロスは前の敵を倒した後、後退し始めた。


 妨害しようとした相手を倒した後、俺も城の方へ退却する。


 スピードが速すぎるから、ゴブリンは止めようとしても仕方がない。俺たちはすぐに戦場を離れた。


「人間!!!!!!!!!!」


 しかし、それでもゴブリン軍は目の前の人間を見逃すつもりはない。


 体に火がついていても構わない。死傷者が多すぎるゴブリンたちは執拗に武器を掲げて城に向かって突進した。


 ゴブリンたちは最初、城の守軍が彼らを発見する前に人間を殺そうとしただけ。しかしゴブリンは城に近づいても守備軍の攻撃がなかった後、一つ事に気づいた──この城には守軍はいなかった。


 それを発見したゴブリン軍は大喜びですべてのゴブリンを出動させた。


 森の中で待ち伏せしていたゴブリンを含め、すべてのゴブリンがこっちに向かって走ってきた。狭い高原ではたちまち数百人のゴブリンがこの城に向かって突撃していた。


「殲滅ーー」


 二足歩行を放棄した狂暴化ゴブリンは四肢を獣のように突進し、仲間よりも速い彼はすぐに城に到着する。狂暴化ことで残された知恵を失った彼は、城の前にいる二人の敵を見て喜びの笑みを浮かべた。


 あと数秒で人間の喉を引き裂くことができたーー


 このことを考えると、ゴブリンは興奮して速度を上げた。一定の距離に達したところで飛び上がると、その憎しみの敵は目の前にあった。


 人間――


 ゴブリンは両手を広げ、目の前の人間に飛びかかった。そして次の瞬間に――


「炎よ――」


 優美な声が響いた。


 ゴブリンはこの言葉の意味を理解できなかったが、知恵を失った彼も気づいた。もう目の前の人間を殲滅することはできない。


 なぜそうなったのかは、一目見ればその原因が理解できる。


「――」


 彼を含むゴブリンは空から降ってきた火の雨に打たれて燃え始め、その後消滅した。

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