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異世界英雄監獄  作者: 千蒼
一章
15/42

第14話 朝の戦い 02

「お!」


 槍が振り回しているうちに、ゴブリンが倒れた。


 ヒュルトロスの力のおかげで体が身軽になり、俺は相手を簡単に倒すだけでなく、戦場を歩き回ってゴブリンの布陣を破壊できる。


 俺はこの力を手に入れたから、今ではゴブリン軍はまるで2人のヒュルトロスに対処しているかのようだ。


 俺たち2人の攻撃で、ゴブリン軍は敗退し、陣形はもうすぐ崩壊する。


 よし、これで全てのゴブリンを倒せるぞ!


「う~~~」


 遠くの森の中に、まるで法螺貝から吹き出したような音が響いた。


 戦いに負けそうになったことに気づいたから全軍で攻めようとしたのか。残されたゴブリンは森を出た。しかし目を凝らすと、残されたゴブリンと今までのゴブリンの違いはすぐに察知できる。


 彼らの手には弓が握られている。


「ヒュルトロス!森!」


「ん?」


 すぐに遠くにいるヒュルトロスに注意した。相手はまだ返事をくれず、構えたゴブリンは、すでに最初の攻撃を始める。


 まるで仲間の安否を少しも気にしていないかのように、巨大な弓を手にしたゴブリンは一斉に空に向かって矢を放った。彼らが狙っているのはもちろんこちらだ。


 射出した弓矢は空で黒い矢の雨になり、俺は槍を振りあげて、飛んできた矢を一掃した。


 矢の雨が止んだ後、振り向いてヒュルトロスを見て、彼も同じように攻撃をかわしたようだ。仲間が無事であることを確認した後、俺は怒って遠くに立っていたゴブリンを見ていた。


「あんたたちは仲間の安否を心配していないのか!」


「人間……」


「なに!」


 そばに全身に矢を受けたゴブリンは、まるで傷つかないかのように近づいてきた。


 よく見ると、手足を撃たれたゴブリンがしばらく動けなくなったほか、残りのほとんどのゴブリンはあまり怪我をしていない。鎧が彼らを守ったようだ。


 道理で相手がこんなに矢を射るわけだ……う!


 感慨する暇もなく、遠くにいた弓兵は再び弓を高く上げ、速やかに2回戦の射撃をした


 相手の矢を素早くかわすことはできるが、このままではいけないね。ちょっとしたミスをしたらハリネズミになってしまうぞーー!


 まだ余力があるが、このような戦いをどのくらい支持できるのか分からないし、ヒュルトロスの安否も心配だから、ヒュルトロスに向かって叫んだ。


「ヒュルトロス!撤退!」


「えっ?」


 戦闘中のヒュルトロスは振り返って驚いてこちらを見て、なぜ撤退するのか理解できないようだった。


「一旦退却しよう!矢は危険すぎる。解毒する人はここにはいないぞ!」


 足のそばに落ちた矢印を見ている。矢の矢印には紫色の液体が含まれている。どんな液体なのかわからないけど、多分毒なんだろう。


「ーー」


 ヒュルトロスも矢印を見ていた。最初は少しためらっていたが、彼の目は俺を見てしばらくしてから、うなずいて撤退しようとした。


 ゴブリンたちは話を理解できなかったが、動きから俺たちが城に撤退する気配を察知し、妨害を始めた。


「どけ!」


 彼らは阻止しようとしたが、結局成功できなかった。城の中に入った後、外にはまた矢雨が襲ってきた。


「危ないな……」


 あと数秒遅れたら、本当にハリネズミになった。


「あいつらには弓兵隊がいるなんて……。これから魔法のゴブリンがいても驚かない……」


 城外を見ると、下にいたゴブリンたちが草むらの間に立って入り口を見上げていた。


 ゴブリンたちの怒りの目から、俺たちを殺そうとしていることがわかる。でもそうしたくても、彼らは城の下に駆けつけるほど愚かではないようだ。


 城にいる人数はまだ確定していないから、相手の実力と人数を確定しないまま城を攻めるのは間違いなく愚行だ。だからゴブリンたちは突進しようとしても行動を抑え、負傷兵を助けて森の中に移動し始めた。


 彼らが負傷兵を救助するとは思わなかった。この行動様式は前世で会った職業軍人に似ている。だけど、彼らには野外病院もないみたいだし、どうやって怪我を治すんだろう。


「まさか、ゴブリンたちは本当は治癒魔法を使う?」


「むこうは、退却する気はないようだな」


 太陽が昇ってきた今、城の方向から森の中にいるゴブリンの動きをはっきり見ることができる。


「そうだね……付近を封鎖して籠城しようとしたのだろう。さっきのような奇襲作戦は二度と成功しないかも……」


 ヒュルトロスも同じように城下の森を見て、さっき撤退したことを惜しんでいるようだ。


 ヒュルトロスからすれば、もう少し頑張ればゴブリン軍を一挙に殲滅できる可能性があるはずだ。彼の実力からすれば、矢の雨の中で敵を殺すのは難しいことではないようだ……。


 俺が自分の判断で撤退させたから、彼は不満だったのだろう……。


「ヒュルトロス」


「ん?大将なにか?」


 ヒュルトロスは振り向いて、俺はヒュルトロスに頭を下げる。


「大将!どうしてお辞儀をするんだ!」


 ヒュルトロスは両手を激しく上下に揺らし、慌てた顔をした。


「ごめん、俺の判断がヒュルトロスを困らせたのでしょう」


 とっさの判断で勝利のチャンスを逃してしまったかもしれないから、これはすでに起こっていることだが、そのために勝利のチャンスを逃した責任を逃れることはできない。


 もしヒュルトロスがそれで不満を感じていたら、その後の戦いにも問題があるだろう。チームワークに最も必要なのは相互信頼であり、このことは前世で深く理解していたから、俺はヒュルトロスに心から謝罪した。


「いや、これは大将の責任じゃない。大将、頭を上げてください」


 顔を上げて、ヒュルトロスは悩んで頭を掻いた。


「さっき戦ってた時俺にも非があった。俺の最も重要な仕事は大将を守ることだがが、目の前の戦いに勝ちたいがために命令に背きそうになったから、その点は反省しなければならないね」


 ヒュルトロスの目は、下で集団を再編成しているゴブリンを見て、少し感慨深げに口を開いた。


「俺は時々このように全身全霊で戦い。まだ大将に仕えることに慣れていないようだな……可笑しい。目の前の戦いに勝って主君を失ったら、それは小利大損な」


 ヒュルトロスは首を横に振って、腰に手を当てて振り向いて言ってくれた。


「俺が命令に従って撤退するのは、部下のすべき責任を果たすことーー主君を守ることにすぎない。だから大将は謝らなくてもいいんだよ」


「それは……」


 一瞬にして言葉が出なかった。


 ヒュルトロスがそう思っていたとは思わなかった。召喚されたヒュルトロスは主従の身分にすぎないということを戯言と思っていたが、彼は本当に俺を君主として仕えてくれたようだ。


 先ほどの戦いでヒュルトロスが俺を見つめていたことを思い出した。


 彼は戦いの勝利と君主の命の間で葛藤しているのだろう。


 そのような戦いの下で危険にさらされるかもしれないと心配して撤退を選んだ。それは少し利己的な判断だ。しかしヒュルトロスは俺とは違い、主君の命を守ることを選んで撤退した。この2つのことには決定的な違いがある。


「大将、そんなに浮かぬ顔をする必要はないよ。主君を守るのは当然のことだよ!」


「う……うん」


 急に部下が増えたことにどう対処すればいいのか分からず、曖昧にうなずいた。


「じゃあこっちがしかたない。まず管理者という人……ボール?を探しに行こう!」


「うん」


 俺はヒュルトロスと一緒に歩き出し、管制室に向かう準備をした。でも数歩も歩かないうちに、俺たちが移動したことに気づいた。


「負けになりましたね。ですが撤退は完璧」


 目の前に現れた巨大な光球は他のボールではなく、もちろん管理者だ。


「冗談を言ってくれてありがとう」


「これは褒めてるよ。最初の協力戦としては、よくやってくれましたね」


「さっきの戦いを見たか?」


「私には『探索』のスキルがあります。城の近くのものを探査することができます」


「そういえば、ゴブリン軍を最初に発見したのもお前ね」


 管理者がこの城にいなかったら、俺たちは簡単にゴブリンたちに囲まれていたかもしれないね。


「だからゴブリンたちをどう思う?」


「とても面白いゴブリンの群れですね。弱い魔物にすぎないのに、あんな強い軍団に育てられるなんて、育成者を見て、似たような軍勢を築きたい」


「それを訊いてるわけじゃない。どうやってゴブリンを倒すのか聞いているんだ」


 管理者が本当に似たような軍を建設したいと思っているのを見て、俺は急いで話題を移した。


「ゴブリンたちは決して強くはありません。あなたたちが簡単に倒すことができる相手です。人数は少し多いですが、戦闘損失で判断して、あと2、3回このような戦いをすれば彼らを潰すことができます」


「そう言うのは簡単だが、彼らには弓兵がいるんだよ。どうやって本陣に突進して倒すんだ?本陣に着いて他の兵種のゴブリンがいたら大変だ」


「だったらヒュルトロスが先頭に彼らの本陣に突入すればいい。このような作戦はゴブリンの陣を潰すことができるが、ゴブリンを森の中に逃げ込ませることもあるので、相手の人数をある程度消耗させてから使うのがお勧めします」


 ゴブリン軍の中にヒュルトロスを突入させる、こいつは本気か?


 管理者はヒュルトロスの戦闘力を少し高く見ているようだ。ヒュルトロスはすごいけど、彼は一人で、相手は軍団だよ。


 管理者は城内にいるから戦場の情報が理解できないのか。戦場では、一将の力よりも一軍の力のほうが大きいや。


 それをできるようになったとしても、ゴブリンの攻撃をヒュルトロス一人に担がせて相手の弓兵を倒すなんて、俺にはできない。


「この作戦は確かに実行可能だ」


 このような作戦に反論しようとしたばかりで、隣にいたヒュルトロスはこの作戦にうなずいて賛成し、すぐに管理者と作戦を相談した。


「そんなことしちゃダメだよ!」


「どうしてダメなの?」


「あの矢印には毒があるんだ。怪我をしたら誰も治療してくれないかもよ」


 もし俺やヒュルトロスが矢印の毒で怪我をしたり、治癒の魔法が効かなかったら大変だ。何か不明な傷で感染して死にたくないよ!


「安心して!すべての矢を避けるから!」


 ヒュルトロスは俺に怪我をしないことを保証する自信満々だった。しかし、俺はこのような危険な作戦を実行することを承知していない。


「とにかくダメなのはダメ!」


「ええ……城には解毒に関するほとんどの知識がありますが、矢には何か未知のウイルスや呪いがかかっている可能性も排除できませんね」


 管理者も補足説明をして、俺にこのような作戦の実行を拒否する意志を更に固めさせた。


「この世界にはきちんとした医療措置はない。未知の毒に感染する可能性のあるものはできるだけ避けるべきだ!」


「しょうがない」


 俺が作戦を実行しないと言い張るのを見て、ヒュルトロスもこの作戦を放棄するしかなかった。


「別の作戦を考えよう」


「うん、まずはゴブリンの陣営の後ろに、彼らを操る人がいるかどうか考えてみよう」


 ゴブリンの陣営の後に彼らの操縦者がいれば、操縦者への対策も考える必要がある。


「管理者、どう思う?」


「彼らを操れる人には大きな魔力があるはずです。探査したときはそんな魔力を感じなかったので、操縦者がいる可能性は低いです」


「えっ?そんなに遠くまで見えるのか?じゃなぜゴブリンの弓兵がいると早く言わなかったか!」


「最初は弓がゴブリンに装備されていなかったので、相手がその弓を使わないと判断しました。でも訓練されたゴブリンの弓兵がいるとは思いませんでしたね」


「次は早く言ってよ……まあ、とにかく相手の後方に操縦者はいない。ゴブリンとゴブリン弓兵だけだろう」


「そうです」


「じゃあどうやって倒すんだ……」


「今までのようにストレートに倒せばいいでしょう。頑張って倒せば、やがて相手の人数は陣形が組めないほど減ります」


 まっすぐに相手を倒せばいい。管理者はこの考えを提出した。


 管理者が言ったこれは確かに正論だが……問題はそれをするのが難しいことだ。


「言うのは簡単だけど、相手を倒すのが難しいだよ」


「そうなの?確かに最初のうちは大変だったと思うけど、シィンは、その後は戦闘に慣れて、ゴブリンを無事に倒すことができたでしょう?」


「俺の力は思ったほど強くない。あいつらの鎧はとても頑丈で、倒すためにもひと手間をかけた」


「でもその後、うまくゴブリンを一発で倒しましたな」


 管理者は、俺がゴブリンを倒すのが難しいことに驚いたようだ。


 なるほど、管理者の目には、俺は急に要領を得たから簡単にゴブリンを打つことができた。


「うん、まず訊くが、管理者とヒュルトロス、俺に何か力を加えてくれたか?」


「力?そんなことしてないよ」


「私もそんなことはしていません」


 2人とも俺に力を加えていないことを示した。ならば戦いの最中に突如現れたその力とはどんなこと?


 俺はこれに疑問を示し、二人に戦いの最中で現れる奇妙な力を二人に説明した。


「戦闘中に突然現れた力ですか?戦闘中に覚醒したのかもしれません?」


「覚醒?」


「命がけの戦いで新たな力を目覚めさせるのはよくあることです。シィンも同じかもしれません。『情報探知』を使って調べたことがありますか?」


「だからそれは力が目覚めたのか……」


 自分に『情報探知』を使って、目の前にステータスが現れた。


 シィン


 称号:なし


 スキル:


『武芸洞察』


『思考加速』


『情報探知』


『召喚』


『魔力放出』


 情報は前回と大差はないが、『ヒュルトロスの力』というスキルはなくなった。


「上にスキル『召喚』と『魔力放出』が追加された。もう一つ、『ヒュルトロスの力』というスキルは消えてしまった」


「俺を名前にするスキル?」


 情報を見たくてヒュルトロスが歩いてきた。


「何も見えないよ……」


 このステータスは俺だけが上の情報をはっきり見ることができるようだ。


「『魔力放出』というスキルは、シィン自身が覚醒したスキルであるはずです。『魔力放出』は、自分の魔力と大気中の魔力を結合して放出できるスキルで、非常に強力です。そして『召喚』は、ヒュルトロスを召喚したことで城から与えられたスキルを手に入れたからでしょう……最後には『ヒュルトロスの力』か……」


「『ヒュルトロスの力』ってどんなスキル?」


 管理者は躊躇している。彼はこのスキルが何であるかを知っているようだ。


「……これも城が与えたスキルです。召喚システムのもう一つの主要な機能です」


「召喚システムの別の機能?てか城が与えるスキルが多いんだな……」


 なんか城から与えられた技はまだまだありそうだな。


「そうです。城主と来訪者ーーつまり召喚者と被召喚者の間には、実は契約が存在しています」


「契約?俺は契約なんかしてないよ」


 ヒュルトロスに目を向けると、相手も頭を振ってくれた。


「有形な契約ではなく、無形の契約です。召喚者と被召喚者の間には無形の契約が存在します。この契約は主従間の魔力の供給を繋がっているだけでなく、城主と来訪者の間の絶対的な上下関係を表しています……。また、この契約にはもう一つの特色があります。それは召喚者が被召喚者の力を使うことができるということです」


「召喚された者の……力?」


 少し信じられないほどこの言葉を復唱した。


「そうです。召喚者が被召喚者にその力を使いたいと申し出さえすれば、召喚者は被召喚者の力を使うことができます。『ヒュルトロスの力』を手に入れる前に、彼を追い求める力があるでしょう?」


「戦闘中に、確かにヒュルトロスのような強い力が欲しい……その頃に力を求める契約は成立したか?」


「そうです」


「ちょっと待って!……でも大将についての願いを聞いていないよ」


 ヒュルトロスは手を挙げ、力を求める契約内容を聞いていないと言った。


「この契約書はもともと召喚者に認められてこそ相手の力を使うことができるものでした。しかしその後ある程度変更されたことがあるので、今は召喚者に認められなくても彼の力を使うことができます」


「なるほど……」


「召喚された者の力の方法は召喚者自身が解除してこそ消える。『ヒュルトロスの力』の力がなくなったのは無意識のうちに解除したからでしょう」


「つまり戦闘中に『ヒュルトロスの力』を手に入れたからこそ、そんなに大きな力があるのか?」


 戦闘で戦っている姿を思い出した。その力を手に入れた俺は力が強いだけでなく、スピードが極めて俊敏で、まるでチートみたい……。


 でもそんな強力な力を手に入れることができる以上、制約もあるはずだろう。多くの物語でこのような力を得た人は自滅することが多いので、この力にも何か制約があるはずだろ。


 ただより高いものはないね。この力の副作用があるのではないかと心配していたから、管理者にこの力にはどんな制限があるのかを少し尋ねた。


「いいえ、過去の情報からすれば、この力を使うことに制限はありません」


「そうか……」


 まさかこの力に何の制約もないとは……この城主の身分を得たのは本当に大丈夫か……


 凄いより心配の方が多い。こうやって力を得られるのはあまりに勝手だし、この為に誰かに暗殺されては困る。


「まあ。とりあえず契約の力なのかテストしてみよう」


 管理者は俺の懸念を見抜き、力をかテストことで俺の気を逸らそうとしているようだ。


「う……お」


 俺は不安な気持ちを取り除き、ヒュルトロスに目を向けた。


「行くぞヒュルトロス!」


「おお!」


「言わなくても力を借りることもできますよ」


「わかったよ……でも、人のものを借りて先に言ったほうがいい……」


 そう言いながら、心の中で黙念し始めた。


 ーーヒュルトロス、力を貸してくれ!


 そう黙読した瞬間、体の中に力が湧いてきたのを感じた。


「うーん……『情報探知』」


 シィン


 称号:なし


 スキル:


『武芸洞察』


『思考加速』


『情報探知』


『召喚』


『魔力放出』


『ヒュルトロスの力』


「どう?」


「確かにあるね。『ヒュルトロスの力』というスキル」


「それではこのスキルが召喚システムの一部であることは間違いありませんね。正直に言って、この力を借りる機能は実力のある人でなければ使えないので、こんなに早くこの機能を使えるとは思いませんでした」


「そうか」


 俺は拳を振った。室内にそよ風を作った。


 『ヒュルトロスの力』を借りる限り、彼の力を使って、彼のように戦うことができる。


 一人のヒュルトロスがこれだけ強いのだから、二人のヒュルトロスならきっとゴブリン軍団を潰すことができるだろう。


「でも本当に副作用はないのか?ちょっと心配だな」


「うーん、今のところ何か違和感はありますか?」


「今何の違和感もない……」


「これまで、来訪者の力を借りた城主には力に対する拒絶反応がなかったから、副作用はないはずです。でも力を借りるということは人によって感じ方が違うので、決して安全とは言えません。しかも、ずっと人の力を借りて戦うことはお勧めしません」


「うん。俺も人の力を長く利用して戦うつもりはない。何と言っても他人の力だもの」


 そう言いながら、体の中のヒュルトロスの力を感じてる。この俺のものではない力は契約を通じて体の中に伝わってきたようだ。


 この力は便利だが、やはり他人の力を長く使うことに何か問題があるのではないかと少し心配している。所詮ある方面から言えばこの力は体内に押し込まれた力であり、俺の体に属さない異物だ。


「前の城主が拒否反応を示さなかったからといって、俺が拒否反応を示さないわけではない。ずっとこの力を使わないほうがいい」


 俺は深く息を吸って、『ヒュルトロスの力』を解く。


「うん、そうするのもお勧めですよ」


「でも彼らと戦うって、どう打つんだよ……」


 話はぐるぐる回ってまた最初の話に戻る。


 ヒュルトロスの力を使って強くなったとしても、相手には弓兵がいる。完璧な戦術がなければ、まだ矢が当たって中毒になる可能性がある。


 あいつら一体どういうことだよ。立派な弓矢を装備しているだけでなく、なかなか刺し通せない鎧もある」


「なかなか刺し通せない鎧?」


「そうね。あいつらの鎧は、前に会ったゴブリンと違って非常に硬かったし、『ヒュルトロスの力』を得ていなければ、俺も簡単には倒せない」


「鎧はとても硬くて……刺しにくい……」


 ゴブリンの鎧の情報を聞いて、管理者が独り言を言い始めた。何か大事なことを考えているのかもしれない。


 彼の考えを邪魔しないように、俺はヒュルトロスに目を向けて意見を求めた。


「ヒュルトロス、何かいい方法はあるか?突進するなんて言ってはいけないよ!」


「おお!了解!俺には『星の斬』というスキルがある。大将と俺一緒にスキルを使えば、彼らを一網打尽にすることができるよ!」


「ええと……、スキルを使うことができるかどうかは別として、お前のそのスキルはどのようなスキルで、威力はどう、範囲はどのくらいか?」


 念のために、スキルの力と威力の大きさか聞いてみた。


「威力がすごいだけじゃなくて、ゴブリンを一挙に殲滅できるほど範囲が広いよ!」


「一挙に殲滅……その声は大きいのか」


「うん。声が森全体に伝わるだろう!」


「はい、却下」


「え~~~なんで!?」


 この作戦が却下されることに驚き、ヒュルトロスは口を大きく開けた。


「相手を一挙に殲滅できるのはいいけど、あんな大きな声を出したら、ここにいることが他の人にばれるだろう?」


 ゴブリンの数はまだ分からないが、相手が着ている鎧が違うことから判断すると、森の中にいるゴブリン軍は1組だけではない。


「ゴブリンを退治する声が他の軍団やゴブリンを操る人を呼んでくれたらまずいだ」


 ゴブリンたちのことから推測するに、彼らを操れる人はきっと強い。まだ勝てるかどうかわからないから、気をつけたほうがいい。


「あいつはAランク以上だから危険かも。大きな声で呼び寄せないほうがいい」


「うう……わかった」


 多分、連続して意見が却下されて落ち込んでいるのだろう。ヒュルトロスは無気力にうなずいた。


「ならどうやって彼らを殲滅するのか。彼らの軍団を倒したとき、きっと少なからぬ脱走兵が現れるだろう」


 ゴブリンの脱走兵が逃げ出したら、きっと森の中で騒ぎになるだろうから、それも考えなくちゃ。


「うーん……どうしたらいいんだろう」


「私には策があります」


 さっきまで黙っていた管理者が突然口を開いた。


 管理者に目を移すと、光球がまばゆい光を出して自信の声を出すのを見ただけだ。


「これさえ使えば、ゴブリン軍を完全に殲滅することができます」

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