第13話 朝の戦い 01
まさか実は俺が疲れているとは。
ベッドに横になった次の瞬間、それを実感した。
体には疲れた感じはないが、寝室の快適なベッドに横になってすぐに眠ってしまった。
体に問題がないとは思わなかったが、精神的にはもう疲れていた。
目を閉じて意識を失った瞬間はほんの数秒以内だろう……やはり体の状態は第三者が判断しなければならないね。
どうやら管理者の言うとおりで、もしこのまま無理をしていたら、戦闘中に疲れてミスをしていたかも。
前世ならたまに疲れても大したことはなかったけど、今どこも危険な異世界にいるんだから、ちょっとしたミスで命を失うかもしれないな。
まあ、とりあえず管理者の言う通りに休みましょう。明日またトーレを村に送り返さなければならないな。
そしてまたゴブリンのことを探って、あの程度のゴブリンが村を攻撃するようなことをしたら大変なことになるだろうし、黒幕が見つかればいいだね……また彼らと戦うには新しい武器も必要……。
口では休むと言っていたが、頭の中ではそんなことを考えていた。
これらのことはとても嫌なことで、直面したくないことなのに、少しも退却する感じが生まれていないで、甚だしきに至っては少し積極的にこれらのことに直面したい。
これらのことは非常に危険なことで、ゴブリン軍に比べて前世のことが起こったことは取るに足らない。しかしそれでも俺は少しも怖くなくて、まだ少し余裕がある感じがする。
たぶん前世とは違うからだろうか、転生した俺には力があるから、余裕を持って物事に取り組めるのだろう。
パワーはやっぱりすごいね……でも誇りに思ってはいけない。この世界にはきっと俺よりも強い人がいるから、慎重に行動しなければならない……。
そんなことを考えながら、意識は暗闇に沈んだ。
……
「シー……シィン……」
う……誰を呼んでるの……。
「……シィン!」
相手が3回目の名前を呼んだ後、相手が俺を呼んでいることに気づいた。
「シィン、緊急事態です。ベランダに来てください」
「うあ」
目を開ける。天井の数ある小さな光の点の中から管理者の声が聞こえてきて、さっきは光の点が名前を呼んだようだ。
緊急事態……いったい誰が他人が寝ている間に緊急事態を発表するよ……と文句を言いながら、前方の時計に目を向けた。
時計の上にはもう5時になっている。
「長い間寝ていたようだな……」
乱雑な髪を掻いた。髪といえば、まさか髪が膝まであるのによく眠れるとは。
疲れていたせいか、このあと暑くなるときっと不快になる。その時は髪を短くしよう。
立ち上がって部屋を出て廊下に出て、部屋の入り口の半空に小さな光の点が浮かんでいた。彼らのそばに行くと、光の点はすぐに前方に移動した。
光は人をベランダに導きたいようだ。俺は光の点に従って移動し、すぐにベランダに移動した。
城の外に突き出たベランダに出ると、外のかすかな光が差し込んできた。
外の空はまだ暗く、遠くの森からなる緑の地平線の中で、太陽が昇っているのが見える。
「これが夜明けというものだろう」
小さな光の点がベランダの縁に漂って行き、俺は小さな光の点について歩いた。
「おお!大将、おはよう!」
ヒュルトロスはベランダの端で挨拶をした後、両手を腰に当て、遠くの森に目を向けた。
「いい朝だね!」
「確かにいい朝だ。でも早すぎるだろ!何か緊急事態でもある?」
「確かに緊急事態なので起こしたんです」
そばに浮かんでいた小さな光の点が管理者の音を立てた。
管理者の本体は出る気がないようだ。
「私も資料を探すときに『探索』スキルを使って城の周りを探査することがあります。もともと特別な状況はありませんでしたが、10分前に外で問題が発生しました」
「問題が……?」
「城の外の森を見てください」
「外の森?」
管理者の話を聞きながら外の森を眺めていた。
グランニタは高地に位置し、城を中心とした半径1キロは広々とした芝生である。広々とした芝生の境には大きな木がたくさん生えている。
グランニタ周辺の環境は、わざわざ調整してこのように変化したようだ。そうでなければ、城の近くにだけ木がないのはおかしい。でも今はそれは重要ではない。今重要なのは遠くで、森で騒ぐ姿。
相手とは距離があり、空も薄暗かったが、その姿の正体を見ることができる。
「あいつらか……」
「ええ、ゴブリンですね」
隣にいたヒュルトロスも視力がよかったらしく、森や茂みの中に隠れているゴブリンたちを簡単に見ることができた。
緑のゴブリンと森が一つに溶けていて、一般人であればきっと彼らを発見することはできない。しかし残念なことに、ここにいる全員が普通の人間じゃないから、簡単に彼らの動きを見ることができる。
「あいつら、ここまで追ってきたのか……」
ゴブリンの動きをよく観察した。気づかれていないとでも思ったのか、ゴブリンたちは森の中を歩き回っていた。
「足跡を追ってここに来たのでしょう」
「足跡を追って……犬か!」
こんなに真剣に追いかけてここまで来たなんて、そんな時間があったら社会に貢献できることをしてくれよ!
てか彼らは操縦されてここに来たらしい……
「俺たちがここにいることに気づいたのに、なぜ彼らは攻撃しない?」
森の中にいるゴブリンの人数は多く、彼らに出会った最初よりも多いかも。しかしゴブリンは人数の優位を占めているのに攻撃せず、森の中に潜伏することを選んだ。
「ゴブリンもこの城を見て驚いたはずです。たぶんこの城には大勢の人間がいると思って、強攻できないのでしょう」
「ゴブリンが森の外にいるのは、パトロールの人が近づいてくるのを待って、森の中に引きずり込んで殺しているのだろう」
左右にいるヒュルトロスと管理者が、それぞれ意見を述べた。
「この世界のゴブリンはこんなに頭がいいのか……」
この戦術で彼らのIQは基本的に人間と大差ないことを説明する。
「いいえ、この世界のゴブリンにはこの程度の判断を下すための十分な知恵がない。そして一般的にゴブリンの身長は人間の半分にも満たない。これほど巨大な身長はあり得ないです」
管理者はゴブリンを見ていないけど、スキルでゴブリンの状況を把握していたようだ。
「つまり誰かが意図的にゴブリンを育てている……いったい誰が、そんなゴブリンを意図的に育てているんだ」
相手の真意が良いかどうかは別として、ゴブリンたちが意図的に育てられた後、非常に危険な人間の悪意に満ちた存在になっていることは明らかだ。
「あなたたちへの憎しみがこれほど深かったことを考えると、彼らを指図しているのは魔人かもしれません」
「魔人?」
「魔人は魔物から進化した外形の人間のような存在です。彼らは熟練したスキルを使うだけでなく、魔法も使うことができます。過去の帝国の彼らに対する最低討伐評価はAでした」
「だから魔人は危険なやつだろう……それはさておき、じゃあ今どうすればいい?」
遠くのゴブリンを見ていた。相手は物資を準備しているようだが、これは長期的に包囲したいんだね。
「逃げ出せばいいんだろう」
ヒュルトロスはそう応えてくれた。
確かに、ヒュルトロスはゴブリンたちを倒して逃げることができる。でもそれはダメ。
「誰かが逃げたら、その後はきっとついてくる。だからダメ」
彼らがここまで追跡できる以上、逃げても無駄だ。できれば倒したほうがいい。
「やっぱ倒すしかないのか。でもゴブリンの中に危険な奴がいたら大変だ」
あいつらがスキルを使っている姿を覚えてるが、『狂暴化』はすべてのゴブリン族が持っているスキルのようで、ゴブリンが一緒にその技を使ったらきっと怖い。
「外のゴブリンのレベルはB級だけで、倒しにくい相手ではありません。あなたたちの程度では、協力さえすれば簡単に倒すことができます」
管理者もそう提案してくれた。どうやらゴブリンたちは脅威にはならないようだ。
ええ……確かに今の最善の方法は戦いの中でゴブリンを倒すことだ。もし彼らが一緒に村へ行っては困る。
「やっぱ戦うってことか……。確かに彼らと無駄にする時間もないだな」
ちょっと見ればわかるが、下のゴブリンは多くの物資を用意しているようだ。
俺は食べたり飲んだりしなくても大丈夫だが、ここにはトーレがいる、ゴブリンと消耗戦をすることはできない。
「それじゃ決めた。彼らを倒しましょう」
◇
ゴブリンを倒すことが決まった後、俺たちは管制室の中で作戦会議を開いた。
トーレがが目を覚ます恐れがあるため、管理者はトーレを別の部屋に移すことにした。
「じゃあ、どうやって倒したらいいんだ……」
「もちろん彼らに向かって突進して、びっくりさせるんだよ!」
ヒュルトロスは槍を地面に立て、自分の作戦を語った。
彼の考えは、ゴブリンの陣営に速いスピードで突進し、相手の指揮官を直接倒すことで、彼らの布陣を崩すことができる。
「ゴブリンの布陣が乱れれば、状況は俺たちに有利になる。このような状況では、俺たちは簡単に相手を一つ一つ撃破することができる」
これがヒュルトロスの作戦だ。よさそうに聞こえるが、……
「ダメだ。ゴブリンが逃げたら大変だ」
そう、ヒュルトロスの戦術は確かに現在の状況に合った戦術だが、俺はそれをするつもりはない。
ヒュルトロスには確かな実力があったから、森の森の中に一気に突入させたら、ゴブリンきっと潰乱するだろう。ゴブリン軍が壊滅した場合、きっと多くの脱走兵が現れる。ゴブリンたちを逃がすと、悪影響を及ぼす可能性がある。
レベルBのゴブリンが森の中を逃げ回るのはよくない。もしこの後、彼らが森の中に入ってきた人間を襲ったらまずいだ。
「それにゴブリンを操っているやつの実力はどうなのか。あいつはその布陣内で一苦労永遠に問題を解決することができる。けど彼が布陣内にいなければ、ゴブリンがまた逃げていたりしたら困る」
相手の実力きっと強い。もし彼がこのことで報復的に村を襲ったらまずいだ。
「じゃあ、ゴブリンが逃げないようにすればいいんじゃないか」
ヒュルトロスは槍を肩に置き、少し凶暴な表情を見せた。
「1匹ゴブリンを生かして戦場から出さない」
ある意味で、この話をしているヒュルトロスは怖いね……もしかしてこいつは戦闘狂か?
「相手を見くびるなよ。確かに強いのはわかるけど、油断はよくないよ」
「うん、安心しろ大将、相手をばかにしないから!」
こいつは本当に説得に耳を傾けたのか。
ヒュルトロスの自信満々な様子を見て、少し不安になった。
「とにかくゴブリンを潰さないほうが……」
「それではゴブリンを森から引き出そう」
隣にいた管理者が口を開いた。
「森を引き出す?」
「うん。味方が戦えるのは2人だけ。パトロールに出てきた兵士のふりをして森の端をパトロールしていれば、ゴブリンの個性からすれば、思わず攻撃に出てくるに違いないです」
「おお!いいアイデアだ!」
「あとはできるだけ疲れたふりをして城まで後退すれば、城の近くまで交戦の戦場を引き寄せることができます……。一定の時間になってもあなたたちが倒されていなければ、ゴブリンたちはきっともっと多くの人を出動させてあなたたちを追撃すると思います。その時ゴブリンは全軍出撃して城を襲うかもしれませんね」
全軍……ちょっと怖いね。
「それはいい策略だけど、もしゴブリンが城の中に駆け込んだらどうするの?」
「安心してください。もし城の中にゴブリンが入ってきたら、私は彼らを倒します。力は外では発揮できませんが、城の内部なら、私のすべての力を発揮することができます」
管理者には確かに多くのスキルがあり、その数あるスキルの中には強力な攻撃スキルも少なくないだろう。
「ああ、城の守りを頼むよ」
「彼らを容赦なく殲滅します」
殲滅……なんか管理者も怖いね。まぁ、とにかくこれでトーレの安否を心配することなく、安心して戦えた。
「それでは配属が決めた。俺はヒュルトロスと城を出て戦え、管理者が城を守り、あとは一つの問題だけ。今俺は武器を持っていない」
管理者がくれた長剣は城内の最後の武器だと言われているが、今ではこの長剣が壊れている。これは次の戦いで俺には武器がないことを意味している。
「武器か……これは確かに大問題ですね」
「ええ、すま管理者。まだ武器があるか」
もし管理者が武器を持っていなかったら、ゴブリンの武器を奪ってみるしかなかっただろう。
戦っている間に、ヒュルトロスがゴブリンを倒した後、相手の武器を拾いに行くのも一つの方法だ。でもそれはちょっと危険だね。
「城にはもう余分な武器はありません……でも似たようなものが使えます」
管理者が囁くと、彼のそばに銀の槍が現れた。
「鎧座に飾られた儀式用の槍です。儀式用の槍なので、攻撃力の保証もありません」
管理者はためらった口調でこう言った。
槍投げに目を向ける。あの銀の槍は見た目が精巧で、確かに戦いには使えないが、今は文句を言う時間がない。
「十分だ。どうせ無いよりは些かよい」
銀の槍が前に漂ってきた。手を伸ばして槍をつかんだ後、すぐに槍の重さに驚いた。
槍はどんな金属で作られているのか分からないが、見た目は軽いのに、重さは前に持っていた長剣との重さの差はそれほどない。
意外に重いね、儀式用だから軽いのかと思ったけど……でもそれでもいい、このような質の高い武器は人を攻撃するのに役立つ。
前回長剣はゴブリンの鎧を突破できなかったから壊れたのだが、今回は長槍を持って突撃に専念すれば役に立つだろう!
「よし!じゃあこれで戦うぞ!」
俺は手にした槍を振って、槍の重さに慣れ始めた。
この武器を使うのは初めて。でも俺には『武芸洞察』のスキルがあり、見た武技を真似することができるから、ゴブリンと戦っている間は負けないはずだ。
「では出発しましょう!」
「おお!」
「ご武運をお祈りします」
管理者は俺たちを城の入り口まで送ってくれた。
入り口は前回来た時とは全く違う。管理者は城の手入れをしていたようで、城の入り口はがらんとしていて、誰も住んでいない廃墟とは思えない。
入り口にも松明があるから、城には人が住んでいて攻撃できないと思っているのも無理はない……でも、城に入ってもゴブリンは管理者に殲滅されるだけ。
「じゃ、ヒュルトロスはパトロールに出たふりをしてくれ」
「了解!」
ヒュルトロスは元気よく答えた。
城の中の松明を持ち上げて城門の外に出て、ヒュルトロスは右側を歩いて槍を持って俺を守ってくれた。
朝の森は霧がかかっていたから、視線が少し遮られた。でも俺たちにとって視線はまだはっきりしている。
俺たちは城をパトロールしていた兵士のふりをして、少し濃密な雑草を取り除きながら森へ向かった。
正直に言うと、俺たちの服装は兵士とは全く似ていないから、ゴブリンたちに警戒されると思っていたが、後でその心配が余計だったことに気づいた。
朝霧が出た森の中で、ゴブリンは俺たちを見ていないからだ。森の端に近づいたとき、ゴブリンたちは俺たちの存在に気づいたように、姿を隠し始めた。
「わあ……」
草むらの中のゴブリンが鳴いた。ゴブリンたちは全員隠れた。
「……」
彼らは自分たちがうまく隠れていると思うか。
隣のヒュルトロスに目をやって、森の中に入らないようにした。
ヒュルトロスは俺の考えを理解して、森の入り口で止まった。
一部の草むらが騒ぎ、俺たちが森の中に入っていないことに驚いたようだ。
すみないが、森に入るつもりはないよ。
俺たちは森と距離を置いて、森の端をパトロールし始める。行進とともに、森の中からも物騒な声が聞こえてきた。ゴブリンたちは林の中に隠れてついてきたらしい。
森の中に入るとすぐに攻撃をしかける……彼らの考えがだいたいわかった。
双方のこのような行動はしばらく続いたが、ゴブリンは意外に忍耐強い。森に極端に近づいたときも、彼らも飛び出して攻撃してこなかった。
多分城の守軍に見られるのではないかと心配しているだろう。
こちらから攻めていくしかなさそうだ。
ヒュルトロスに目配せすると、ヒュルトロスはまばたきをして応えた。短いアイコンタクト後、俺たちは振り向いて城に向かった。
「ふーん」
森の中のゴブリンの重い叫び声が聞こえる。
「うう……」
不満の低い鳴き声が森の中に響いた。中にいたゴブリンは、待ってたのに無駄に人を逃がすことには耐えらないようだ。
長い間待ち伏せしていたから、さぞイライラしてるだろう。
俺は足を止めて振り向いて、目をまっすぐに森の内部を見ている。
ーーどう、来か。
目でゴブリンにこの信号を伝えた。
ゴブリンがこの信号の意味を理解しているかどうか知らないし、彼ら今の考えも分からないが、すぐに相手がこの信号に反応してることを知った。
「わあーーー!」
ゴブリンが我慢できず、森から飛び出してきた。
成功だ!
相手は力強く飛び上がり、手にした剣を振り上げて俺に振った。
「ヒュルトロス!」
「了解!」
ヒュルトロスは周囲で槍を振り、空にいたゴブリンは避けることができず、槍で体を強く打たれた。ヒュルトロスはまるで野球をしているかのように相手を遠くに飛ばした。
彼の槍の振りに伴って、周りの霧は一掃された。
「わあ!!!」
仲間が飛ばされたことに怒りを覚えたのか、森で待ち伏せしていたゴブリンはその叫び声を合図に突進してきた。
「来たぞ!ヒュルトロス!」
「おお!」
ヒュルトロスは槍を上げ、鋭い槍の頭で前にいたゴブリンを突き刺した。そして彼は横からゴブリンの攻撃を腕で受け止めた後、そのまま相手を蹴り飛ばした。
やっぱりすごいね!
ゴブリンはそれなりの強度の鎧を身につけていたのに、さすがにヒュルトロスはそれなりの実力を持った英雄で、そんな相手をあっさり倒してしまった。
だが、ヒュルトロスがそのような実力を示しても、ゴブリンたちは怯む様子もなく、さっきまでの我慢を覆して、ゴブリンたちは森から飛び出した。
俺のそばにもすぐにゴブリンが何人か集まってきた。
うん?そばにいるゴブリンは意外に少ないね。おそらく彼らは背の高いヒュルトロスこそ脅威だと思うから、こんな人数で俺に対応してくれるんだろう。
「ガ!」
ゴブリンは怒鳴りながら突き進んだ。
隣にいたゴブリンは一斉に攻撃してこず、ゴブリン一人で相手を倒せると思ったらしい。
こいつらは別のゴブリンか?俺と戦ったゴブリンならこんな作戦はとらない。それとも彼らの指揮官が彼らを指揮したのだろうか。答えが分からない。
でも、それはちょうどいい!
相手の攻撃をかわして、素早く相手の前に突き進んだ。
ゴブリンは攻撃が俺に避けられていることに気づき、すぐに防御しようとした。でも遅い!もう彼の前に着いた。
前のゴブリンは銀色の鎧を着ていた。かつて俺の攻撃を防いだ鎧は、決して簡単に破壊できるものじゃない。
でも別の攻撃方法を使っていたら、状況は違ってた。
深く息を吸って目を大きくし、大気中の魔力を感知した。
銀の槍の先には、見えない圧力が集まっている。
これから仕掛ける攻撃は、ゴブリンとの戦いで身につけたものだ。
この攻撃の仕方は主に魔力を武器に凝縮し、それから敵を突破口として一気に魔力を敵に放出してダメージを与えるという、とても乱暴な攻撃方法だ。
この攻撃方法は敵に大きなダメージを与えるが、それに魔力も消耗して疲労感も生じる。だから前回の戦いでは何度か使っただけ。
しかし、前回の戦いを通じて、今の俺はどのように力を保つべきかを知っていたから、魔力は前回のように大きな消費があるわけではない。まして今は前回と違って、今持ってる武器は敵を貫くのに適した槍だよ!
「へーー!」
考えている時間はほんの数秒で、槍先はすでにゴブリンの胸の前に来ていた。
相手の鎧はとても頑丈に見えるが、儀式の槍が直接刺さったらきっと壊れる。
だから軽率に攻撃を仕掛けるのではなく、槍に魔力を付加して槍の耐久性を強化し、簡単に壊れないようにしたーー。
「うーっ」
ゴブリンは悲鳴を上げた。槍は前回突破しにくい鎧を突き刺し、ゴブリンの体に突き刺さった。
「はあ!」
ゴブリン内に突き刺さった槍が光を放ち、ゴブリンの体に紫の光が絡みつき始める。槍が深くなるにつれて、槍はゴールに着いてゴブリンの背中に貫通した。
紫の翼のように、ゴブリンの背中に紫の光が炸裂し、赤と紫のまばゆい輝きを作り出した。
「人……間……」
槍身を引き抜いて後退し、頼りを失ったゴブリンはすぐに倒れた。
槍の血液を地面に振り落とした後、周りのゴブリンを見回した。彼らは怪訝な目でこちらを見た。仲間が倒されるとは思ってもいなかったらしい。
この攻撃は前回の戦いの時よりも良く、魔力をあまり消費していないだけでなく、相手をてきぱきと倒しているから、間違いなくいい攻撃だ。
でも俺は相手を倒すことに喜びを感じず、少し切ない眉をしかめていた。
眉をひそめたのは、人間のようなゴブリンを倒したからだけじゃない。その中にはまだ戸惑いがある。
こいつら硬くなったのか?
槍のせいか、ゴブリンを刺したとき、明らかに強い抵抗感を感じた。この感覚は前回にはなかった、強い拒否感だ。
この拒否の力は非常に強いから、攻撃力も削減された。ちょうど急所に当たったからでなければ、ゴブリンを倒すことはできなかったはずだ。
「錯覚か?」
「人間!」
隣にいたゴブリンは仲間が倒された驚きから我に返り、怒りの目をして剣を構えた。
全部一緒に攻撃するか?前の俺なら相手をぶっ飛ばしただろう。でも今それをすることができず、手際よく相手を倒さなければならない。
相手の攻撃を避けて、槍を回して突いた。
今の技術では相手を一撃で倒すことはできない。初めて持った槍を武器に戦っているからだ。たとえ『武芸洞察』を使って槍技を真似しても目の前の状況に対処することはできない。俺は槍が包囲攻撃された時の様子を見たことがないから、包囲攻撃された場合に『武芸洞察』で迅速な反撃をすることはできない。でもーー。
この件についてはよけいな心配はしていない。周りにはちょうど良い先生がいるからだ。
そばで戦っていたヒュルトロスはちょうど槍を持って包囲攻撃されているじゃないか。
ゴブリンと戦っていたヒュルトロスは俺とは異なり、一撃で相手を倒すことができたほか、戦場を素早く行き来し、幾度となく破壊したゴブリンの陣形。
このような人は真似しないと損をするのは俺だな!
他のゴブリンが近づいてきたとき、俺は長槍を振って、さっき理解したばかりの槍の技を発揮した。
銀の槍がゴブリンを突き刺して吹き飛ばした。
「ヒュルトロス!城へ移動せよ!」
戦場の反対側にいたヒュルトロスに向かって叫んだ。ヒュルトロスは包囲されたゴブリンの群れの中で槍を振り回しながら、大声で応えてくれた。
「了解!」
森の端だけで戦うと、ある程度戦ったときに森の中にいたゴブリンが逃げてしまう可能性があるから、できるだけ彼らを外に出さなければない。
「ガ……」
ヒュルトロスと違って、俺のような攻撃は一撃で勝つことはできず、倒されたゴブリンはすぐに立ち上がった。
さすがに武芸を真似するだけでは、相手の力を真似することはできないだろう……。
苦笑しながら、一度は後ずさっていた周囲のゴブリンが再び近づいてきた。
「殲滅……」
紫の輝きが再び輝き、また一人のゴブリンが倒された。
俺が使っている戦術は、まず『武芸洞察』で相手の防御を突破し、魔力を槍に付加して相手を倒すことだ。
模倣できる武芸は模倣された者の武芸の一部にすぎない。模倣された者のすべての武芸を流暢に発揮することはできない。単に『武芸洞察』を用いて戦うだけでは、戦闘中に立ち止まって命を落とす可能性がある。
だから俺は『武芸洞察』だけで戦うのではなく、自分の力と『武芸洞察』を交互に使うことで、相手に最大のダメージを与える。
こう交互に使うのは消耗が大きいけど、確実に相手を倒すことができる。
戦いと同時に、俺とヒュルトロスも意識的に城へ移動していた。戦線が長くなるにつれて、森の中のほとんどのゴブリンが誘い出された。
あとはゴブリンたちを倒せば、脱走兵を追撃すればいいだけだが、それは少し難しいようだ。
戦場にいるゴブリンたちに目を向けた。見渡すと、城の周りにいるゴブリンは少なくとも数百匹いた。しかもこいつらの鎧は貫通しにくい。
ゴブリンを何人か倒してやっと確信できるようになった。これらのゴブリンは前に倒したゴブリンとは異なり、彼らは人数が多いだけでなく、鎧を着ていても非常に硬い。
鎧は特殊補強されているようで、俺の槍では相手を倒すのは難しい。
「同じ槍の技を使っているのに……」
反対側のヒュルトロスは同じ武芸を使っているのに、彼の攻撃は簡単に相手を倒すことができる。
魔力の差だけでなく、そのような強大な力は勝手に真似できるものじゃない。
ヒュルトロスはこれほど強くなるためにきっと多くの戦いを経験してきた。俺にも成長の余地があるけど、少しうらやましいな、ヒュルトロスの力。
ーーヒュルトロスの力を使えたら、どれだけいいかわからないね。
でもうらやましさはうらやましさに帰して、戦闘中で余分な比較心理状態があってはいけなくて、全力で戦わなければならない。
「人間ーー」
目の前のゴブリンは絶え間なく話し、剣を振りかざして攻撃を始めた。
そのような攻撃はすぐに回避できたけど、同時に他のゴブリンも一緒に周囲を取り囲む。
えーー?彼らはいつ後ろを迂回してきたのか?城の向こうから来たのか。
考えを整理するのに間に合わず、ゴブリンが一斉に押し寄せ、いくつかの凶刃がそばに到着した。
畜生!こうなったからには!
ゴブリンの剣は前でまっすぐに振られ、俺は槍に魔力を注ぎ込んで相手の剣を阻んでいる。これまでと似たような状況が再び繰り返され、このような対抗では、武器きっとは破壊される。
あとで待って他の武器を拾うか……え?
地上を見回って、相手の武器を拾おうとした時、相手の力が意外に軽いことに気づいた。
どうしたの、こいつご飯食べてないの?
顔を上げてゴブリンの顔を見た。相手は明らかに全力を出したが、少しも重い力を感じられなかった。
何が起こっているのか分からないが、これはちょうどいいーー後ろに押してみた。でもそう押すと、ゴブリンはそのまま飛んでいった。
「え?」
まるでこちらに合わせているかのように、ゴブリンが大げさに飛んでいった。後ろからゴブリンが剣を構えて突進してきたから、俺はすぐに振り向いて槍で相手を突き刺す。
「わあ!」
ゴブリンは槍に直接貫かれ、後方の草むらにまっすぐ飛んでいった。
さっき『武芸洞察』を使っていなかったのに?……どうして相手の動きをはっきりと感じることができそうで、力はまだこんなに強い?
そばにいたゴブリンが再び一斉に包囲攻撃して、体はどのように対応するかを知っているように、熟練して動き出した。
素早く何度か突き刺すと、隣にいたゴブリンは一斉に倒れた。
「えっと……、体はどうした」
突然の力の変化のため、俺は体の状態を見るためにスキル『情報探知』を使用した。
シィン
称号:なし
スキル:
『武芸洞察』
『思考加速』
『情報探知』
『召喚』
『魔力放出』
『ヒュルトロスの力』
情報の記述が多くなってるようだ?
前回『情報探知』を使ったのとは違って、今回は『情報探知』を使って、『情報探知』は俺についての記述が多くなった。
うーん……おおよそ『召喚』『魔力放出』は力を変化させた要因ではなく、力を変化させた原因はおそらくこの『ヒュルトロスの力』だろう。
『ヒュルトロスの力』文字通り、ヒュルトロスの力か?ヒュルトロスが戦いの中で力を貸してくれたのか?
振り向いてヒュルトロスを見て、後者は身近なゴブリンと戦ってる最中で、力を加える余裕はなさそうだ。
一体どういうこと?
「人間……殲滅……」
周りにはまたゴブリンが取り囲んできた。
「おや、何でかはわからないけど、でもちょうどいい!しばらくはこの力を使わせてもらおう!」




