深夜の酒場
怒鳴る声が酒場に響く
寝ぼけているのは酒場の主
店が閉まった眠れぬ深夜2時
眠れぬ女が酒を飲む
店員の1人であった
笑顔の絶えぬ仕事が早い人である
夜にしか生きれぬ秘密を持つ人である
女には子供がいた
主との間の子
昼間に生きるには不向きの子
女だけが覚えていた
愛とは
躾けとは
さっぱり分からぬ主
愛も
躾けも
学び途中の女
女は愛と癒しに飢えていた
主が化けた怪物なんて言えないまま
「子供は昼に遊ばせろ」と怒鳴る声が響く
「昼間も働け」と怒鳴る声が響く
寝ぼけているのは酒場の主
店が閉まった眠れぬ深夜2時
女は浴びせられる罵倒と怒号に
静かに俯く
深夜3時
消えてやっと
すすり泣く声が聴こえた