おじいちゃんの初村人
「ここはどこだ?」
若くなり見たことも無い服に身を包んだ春さんが隣に立って呆気に取られていた。すると向こうからお爺さんがとぼとぼ歩いてくる。
私たちの前に着いたので声をかけてみる。
「この村の方ですか?」
「ワシはこのハジ村の長をしておる。ガダルと言うものじゃ」
村長は続けて口を開く。
「お主らは転生民じゃな? 話は聞いておる。1度うちに来なさい。」
ついさっきまでお年寄りだった2人は奇妙な感じを覚えつつも村長について行くことにした。
道中歩いていると村民達も歓迎ムードが流れていた。村を見渡していると村長から名前を聞かれた。
「申し遅れました。壱です。そして妻の」
「春です」
「イチとハルか2人はこんなに若いのに夫婦とはいいこった。幸せじゃろうて。」
微笑ましい雰囲気に包まれていく。そうこうしているうちにガダルさん宅に到着した。
家に入り靴を脱ごとすると笑われてしまった。
「靴は脱がなくていいんですか?」
そう村長に訪ねると笑いながらこう答えた。
「靴はお風呂と寝る時以外脱がないんじゃよ。窮屈であれば脱いでも構わんぞ?」
「こちらの世界の常識に乗っ取ります。」
村長の奥さんに挨拶をし、椅子に座るよう勧められたため春さんと顔を合わせた後に席に着いた。
対面になるように村長が座ると話し始めた。
「お主らにこの世界について簡単に説明しておこう」
唾をゴクリとのみ構えていると横で春さんは目をキラキラさせながら楽しみにしていた。
相変わらず好奇心旺盛なところが愛おしい気持ちになった。そして村長の話に耳を傾けた。
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