おじいちゃんの初孫
2人は無言のままハルとメタルの居る隠れ家へ向かい歩いていた。
するとディアーノが異変に気づく
「森に居た魔物の気配がありませんね…」
少し戸惑いながらイチに帰りを急く様に伝え付与魔法を詠唱し始めた。
「我が魔力をもって敏捷性を付与す。」
イチの体が軽くなり走りやすくなった。ディアーノは自分自身の付与を終わらせ走りながら付与魔法について教えてもらっていた。
「付与魔法は詠唱のみで発動する初級魔法で魔力を持っているものであれば使えるものです。」
ディアーノは丁寧に世界の説明をしてくれる。何故こんなにも真面目な奴が魔物なのか不思議でならない。
話を聞いているうちに隠れ家へ到着した。
コンッコンッ…イチが扉を叩く。
「春さん、メタル無事か?」
春さんが扉を開ける。どうやら無事のようだった。
声を聞きメタルも2階から降りてきた。
「無事だったのね壱さん!」
春さんが嬉しそうにこちらに顔を向ける。眩しすぎる笑顔だ。この笑顔を守るためにわしは頑張った。
2人は家にあがり暖炉の前に4人揃って座った。
メタルが話したいことがあるそうだ。
「ディアーノ…一緒に来た魔物はみんなどこかへ逃げて行った。
多分、あの大規模魔法でビビったんだと思うぜ!
あれやったのディアーノだろ?」
「私だが……やはり逃げたか…」
イチとハルは分からない顔をしていた。
イチがディアーノに視線を向けると分からないことを察し訳を話してくれた。
「逃げた魔物達は皆、弱き者で人間との戦いが出来ないもの達ばかりでした。
名前もない魔物たちが戦争地帯から逃げようとしていたとこに私たちが手助けをしてここまで逃げてきたのです。」
「ですがここでも戦いがあると分かり逃げたのでしょう。あの惨劇を消すには他に方法は無かったと思っています。」
ディアーノは少し寂しそうに話していた。いずれこうなるとは思っていたのであろう。
「ディアーノは間違ったはいないと思うぜ。ここまで逃がしたんだ!
あとは自分たちで何とかするだろうよ!」
メタルがディアーノの肩を叩きながら励ましていた。
「そうですよね。」
ディアーノは今後の話をし始めようとした時に扉を叩く音が聞こえた。
2人の頭に過ぎったのは村人の残党が追ってきたのかと思った。だが直ぐに違うと分かる。
「誰か居ませんか?」
少女の声がした。扉を開けると村で捕まっていた金髪の推定13歳くらいの少女出会った。
彼女は安心したように涙を浮かべていた。それを見て咄嗟に春さんは少女を抱きしめる。
少女を家に入れ飲み物を与えた。そしてディアーノが話を効き始める。
「あなたも転生民ですか?」
「あなたもって事は他にも居るの?」
驚いた様子で少女が答えた。そしてハルが声をかける。
「私たちがそうなのよ。」
「一緒の人達がいるなんて私だけかと思って……」
また泣きそうになっている。相当辛かったのだろう寂しかったのだろう。
「わし達がこれからも一緒に居てやろう」
「イチさん!?この少女を連れて歩くんですか?」
「もちろんじゃ。放ってはおけぬ。」
「ですが…」
ディアーノが言いかけ止めた。少女の顔が不安に満ちていたから彼なりに気遣ったのだろう。
少女の名はアーサー・アリスと言うそうだ。生まれはイギリスで交通事故で亡くなり気づいたらあの村に居たそうだ。
「話はこれくらいにして、メタル、ディアーノ今後の話じゃ2階に上がろうか。」
「春さん、彼女の面倒を頼む。」
「分かりましたわ!さぁアリスちゃん行きますよ!」
アリスは春さんに懐いたみたいで良かった。少し孫が出来た気分になっていた。
2階にあがりディアーノが話を振る。
「これからの事について話します。」
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