おじいちゃんの初転生
現代に珍しいおじいちゃんが居た。田舎の山の奥、居合道を極め農業をしながら暮らす彼の名は…齋藤 壱東、彼は老衰により死んだ。享年86歳。
「ワシは死ぬんだな…後悔はない。やっと妻の所へ行ける。」
そう言い目を瞑り、昼寝あとのような気分で目を開くとそこはどこか懐かしい花畑が広がっている。
「あぁ綺麗なとこだ。」
晴れやかな気分で眺めていると1人の女が近づいてきた。
「壱さん、壱さん」
近づいてきたのは去年なくなった齋藤 春江さん、妻だ。
「元気そうで良かった。」
壱東は涙をぐっと堪え質問した。
「春さん、ここで何をしているんだい?」
「壱さんを待っていたのよ。ついでに福引で転生券のペアチケットを当たったから一緒に行こうと思って」
恥ずかしそうに言う春さんがいつ見ても魅力的だと思った。
詳しく聞くと病死した人向けの抽選会があって当たったそうだ。使い方は2人で券を握れば記憶が残ったまま転生できるらしい。
「わざわざ僕のためにありがとう、春さん」
「壱さんとまた同じ人生を歩みたかっただけよ」
2人は転生券を握りまだ見た事も無い地へ飛んで行った。さっきまで握っていた券は消え、何の変哲もない村に立っていた。
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