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第三十七話 城にて

 魔王が宣戦布告をした数時間後。

 帝都にそびえたつ城の大広間にて。

 捕らわれた娘を奪い返すべく、皇帝は兵力を集めていた。


「すぐに動かせる騎士団はこれだけか……」


 城に常駐している騎士団を見ながら、皇帝は静かに呟く。


 自身の娘を攫い、さらには帝国に宣戦布告してきた男は、自分を魔王だと名乗った。



 魔王。

 それはかつて人類を滅ぼそうとした悪の王。

 魔王自身もとんでもなく強かったが、数多の種族を従えていたのが伝承に残っている。

 特に魔王の配下だった吸血鬼族は、死体をアンデッドに変える力を持ち暴威を振るった。


(帝都にあの鳥の化け物やアンデッドドラゴンをけしかけるような男だ。騎士団だけでどうにかできるとは思えないが……だが)


 皇帝は希望にすがるような目で、騎士団とは別にひざまずいている男たちを見た。


 大剣を背負った黒髪の男。

 チャラそうな雰囲気をまとった緑髪の男。

 豪華な装飾がなされた杖を持つ茶髪の女。

 白いローブに身を包んだ神官の女の子を。



「余が命ずる。魔王のもとに向かえ。魔王の討伐及び余の娘の救出を成せ!」



 Sランク冒険者パーティーであれば、もしかすると魔王に勝てるかもしれない。

 いや、勝てるはずだと。


(騎士団の中でも選りすぐりの第一部隊とSランク冒険者パーティー。ここに他の部隊も合わさればいけるッ……!)


 皇帝はそう考えていた。

 その時までは。

 そう信じ込むしかなかったから。



 ――カッ! と。

 大広間の床に巨大な魔法陣が浮かび上がり、濁流のごとき光があふれ出る。

 その場にいる全員が、眩しさに思わず目を閉じた。


 ――そして、目を開くと。



「ど、どこだ。ここは……?」



 目の前には、知らない空間が広がっていた。

 城の大広間を思わせるが、趣が全然違う。


 どこまでも豪華に、煌びやかさを重視した帝都の城とは真逆で、どこまでも暗く。

 死を思わせるような不気味な空間だった。



「ようこそ、私の城へ。今代の皇帝よ」



 突如聞こえてきた男の声に、全員が一斉に視線を向ける。

 大広間の一番上。

 玉座の上に腰かけた男が、全員を見下していた。


 白と黒のカラーが逆になった燕尾服を着て、黒いラインの入った白のソフト帽をかぶった男が。



「ま、魔王……。なぜここに……?」



 皇帝がぽつりと呟いた。

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