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第二十一話 決勝トーナメント その①

『決勝トーナメントの時がやってまいりました! Sランク冒険者にダークホースと、今回も豪華なメンツがそろっております! 果たして優勝は誰の手に渡るのか!? 本戦開幕ですッ!!』


 本戦に駒を進めたのは、A~Dブロックの勝者各二名。

 アリアとクララの二人を含めた計八人だ。


 一戦目で戦う二人がリングに上がる。

 観客たちが予選の時とは比べ物にならないほど盛り上がった。



『第一試合はなんと! Sランク冒険者のクロム選手とダークホースの一人であるアリアーナ選手だぁぁあああ!! いきなりAブロックの勝者二名のぶつかり合いです! 予選ではアリアーナ選手のほうが目立っていたが、大番狂わせは起こるのか!? 試合開始ですッ!!』



 試合が始まるなり、クロムがアリアに話しかけた。


「予選の時から思ってたが、強ぇな、嬢ちゃんよ。だが、俺はSランク冒険者パーティーのリーダーなんだ。簡単に倒れるような男じゃないぜべらがう!?」


 クロムが話し終わらないうちに、アリアの右ストレートが炸裂した。

 殴り飛ばされたクロムが、闘技台の上をバウンドしながら吹き飛んでいく。


 これはさすがに予想外だったのか、実況も観客たちも静まり返ってしまった。


『ちゃんと手加減できたみたいだな』

「一撃で倒したらつまらないもん。実力差を教えてあげないと」


 ふんす! と鼻息荒く気合を入れるアリア。

 クロムが自身の頬をさすりながら、闘志をみなぎらせて起き上がった。


「俺に一発喰らわせるとはやるじゃねぇか。いいぜ、本気を出してやるよ」


 クロムが大剣の鞘を捨て、構える。



『おーっと! クロム選手が予選の間、一度も鞘から抜くことのなかった大剣を構えたぞ! とうとう本気を出すというのか!? クロム選手に本気を出させるなんて、アリアーナ選手はいったい何者なのでしょうか!?』



 静まり返っていた観客席が、再び熱を帯びて雄たけびに包まれる。


 クロムが大きく息を吐いてから、アリアを見据えた。


「いくぞ!」


 クロムが地を蹴る。

 一瞬でアリアとの距離を詰め、大剣で斬りかかる。


「うおおおおォォォオオオオ!!」


 人類の頂点というだけあって、その技術や剣速は凄まじい。

 観客たちは息をのみ、実況が見とれて言葉を忘れてしまう。


 だが、それでもアリアには通用しない。

 クロムが人類の中でどれだけ強かろうと、最強吸血鬼にしごかれたアリアの足下にすら及ばなかった。


「なぜだ!? どうして当たらない!? さっきは油断しただけ……のはずだよな……?」


 アリアがここまで強いとは予想していなかったのか、クロムの心に焦りが生まれる。

 どんどん剣筋が乱れていく。

 隙が増えていく。


「慢心せずにもっと上を目指さないとダメだよ」


 アリアがクロムの隙をついて、ちょっとずつダメージを与えていく。

 爪楊枝で刺す程度にチクチクと。

 されど、その気になればダメージを与えることなど容易いということが明白に伝わるように。


 クロムが一方的に攻撃されている状況に、観戦に来ていた彼の仲間たちも目を見開いていた。


「ぐぅ……! こうなったら……俺の必殺技を喰らわせてやるよ! 【マナスパイラル】!」


 クロムの大剣を魔力が螺旋状に包み込む。


「からの! 【絶対切断】!」


 クロムが大剣を横に振った。


 【マナスパイラル】で攻撃力を倍増させてからの【絶対切断】による必殺のコンボ。

 クロムの奥の手を出し切った一撃は、アリアに命中した――。


「なん……だと……!?」


 ――命中したが、命中しただけだった。


「そこそこ強かった」


 【龍装】を発動したアリアが、鋭く伸びたその爪で斬撃を受け止め、無効化していた。


「爪を研ぐのにちょうどいい斬撃だったよ。ありがと!」


「ぐぅ……ふざけんなよ! 俺の必殺技なんだぞ!?」


 クロムが怒りで表情を歪ませる。


 ちなみにアスモデウスの【ビジュアルチェンジ】の効果によって、クロムたちはアリアの爪が鋭くなったという認識しかできていない。

 実際には龍の鱗がアリアの腕なんかを覆っているが、クロムたちはそれに気づくことができないのだ。



「次はアリアーナの番! えいっ!」


 クロムに接近したアリアが、爪を振るった。


「ぐぅ!?」


 反応が遅れたクロムがとっさに大剣で防ぐ。


 ――バキンッ! と。

 クロムの手元から音がした。


「は……?」


 クロムが五年ほど愛用していた大剣が、豆腐のように切断されたのだ。


「その剣あまり強くないね。ドラゴンパンチ!」


 アリアがその一言と共に、クロムを殴り飛ばした。


「チェックメイト!」


 大好きなお姉様が戦いを締めくくる時に口癖のように言っているその言葉で、アリアは本戦トーナメントの一戦目を締めくくった。



『ア、アリアーナ選手の勝利です。アリアーナ選手がクロム選手に完封勝利しましたッ! 彼女は本当に何者なのでしょうか!? Sランク冒険者に圧勝してしまうとは……! これにて波乱万丈な第一試合が幕を閉じました! 選手の二人に盛大な拍手を!』



 実況の声が響き渡る。

 静まり返っていた観客たちが、一斉に叫び出した。


「すげぇぇええ!!」「何者なんだ!?」「クロムさんに圧勝とかすごすぎるだろ!」


「ふふん♪」


 ドヤ顔で胸を張ったアリアが、観客たちに手を振りながらリングを後にした。

作者からのお願い


この作品が面白い、続きが読みたい、早く続き投稿しろ、おっぱい! と思ってくださった方は、ブクマと評価をよろしくお願いします。


えちえちな回はもう少ししたら設けるので、エロを楽しみにしている方はもうしばらくお待ちください。

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