第十二話 蘇生復活
気がつくと、我は真っ暗な場所にいた。
周りが全く見えない漆黒の空間に。
『ここはどこだ……?』
最初はあの世かと思った。
最後の記憶では、我は人間の女に成す統べなく殺されていたから。
我は安心した。
やっと解放されたのだと。
これから向かう先が地獄だろうと、何も怖くない。
我の群れは弱き生命を意味もなく虐殺してしまった。
罪ならいくらでも償おう。
だが、すぐに違うとわかった。
気づかされた。
この世で最も恐ろしい、あの男の声で。
「貴様には失望したよ」
漆黒の世界がひび割れていき、暗い光が差し込んでくる。
背筋が凍えていくのが分かる。
思考がぐちゃぐちゃになる。
我の心が恐怖に支配されていく。
怖い。恐ろしい。今すぐ逃げ出したい。
だが、体が凍り付いたように動かない。
……どれくらい経ったのだろうか?
気がつけば、我の目の前にはあの男の顔があった。
炎竜王として静かに暮らしていた我を恐怖で支配したあの男の顔が。
この暗闇の中でもハッキリと見えるその血のように赤く輝く鮮やかな瞳が、我を正面から見据える。
感情のわからない残酷な瞳を見ているだけで、息が詰まって呼吸すらできなくなる。
この男は悪魔だ。
化け物だ。
「まあいい。最初から期待はしていなかったのだから」
我はどうなる!?
どう考えても無事で済むわけがない!
どうすれば助かる!?
どれだけ考えても、何一ついい案は出てこない。
そんな我をあざ笑うかのように、男は一つの魔法を発動した。
「【蘇生】」
我の体を紫色の光が包み込む。
その瞬間、死んだ時など比べ物にならないほどの痛みと苦しみが我を襲った。
『ぎゃああああぁぁぁあああああああああ!!! 痛い! 苦じい! やめでください! 助け――』
そこで我の意識はぷっつりと途絶えた。
「こっちのほうが多少は使えるだろうな。貴様も死ぬよりもつらい苦しみと痛みを味わいながら、私の手駒として働くがいい」