サル
それを言われてOKした後、家に帰った。
・・・
まだ頭の中で整理がついていない。彼女ができる?冗談じゃない。
友達も5人もいない・・・というより女子の友達などまず0だ。
何故あいつは俺に告った?いみがわからないよ。
純粋に好きだったとか?あり得ない。イケメンはこの学校にごまんといるはずだ。
まさか、イケメンたちに失望したとか?
そんなことはあり得ない。そんなだったら顔面偏差値がもうちょいましな奴を選ぶはずだ。
なぜ俺のようなこの学校の中で顔面偏差値最低と呼ばれている奴と付き合う?
間違いなく何か言われる。その時の対策も考え物だな。
あぁーもう面倒くさい!寝よ!
翌日朝、教室にて。
あいつに直談判してやろう。
このことは秘密にした方がいいと。
今は7時58分。教室には俺と三宮しかいない。今がチャンスだ。
「三宮さーん。」
「何?」
「放課後、東館の3階階段の踊り場来て。」
「ん?分かったー」
「よろしく。」
運良かったー・・・
クラスメイト達に聞かれたら愛の告白とか思われて総スカン食らいそうだったからなー
ま、放課後だな。
放課後、東館3階階段の踊り場にて。
「何?」
「三宮さん。僕はこの学校の中で顔面偏差値最低と言われているんですが、そのことを知ってて昨日の告白を敢行したんですか?」
「知っててのことよ。でも、人って中身じゃん?ここの学校のイケメンとかほかの人たちはみんな性欲の塊。いわばサル同然だと思っているから。」
うぉ・・・すさまじい答え来たな・・・
「なるほど。では僕のどういうところが好きなので?」
「卑屈でネガティブ思考だけど人を外面で判断せずに内面で判断するとこ。」
案外ストレートな答えだな。こんな美貌からは想像できない程思ったことをズバズバ言うタイプなのか。
「話戻しますけどなぜこの学校のイケメンはサルとわかるんです?」
「前回、前々回ともこの学校の『外面がイケメン』な人と付き合ってたの。」
「それで?」
「付き合い始めて開口一番、『ヤらせてくれ』とか言い出すのよ?そいつらとは言われた瞬間に速攻で別れたけど、そんなの自分の美貌に自惚れたただのサルじゃない。それで分かったの。この学校の『外面イケメン』は皆サルだって。」
確かに、学校一の美人と噂されるこの三宮とは、いかがわしい関係を築く目的で告る男子も少なくないだろう。
「逆に聞きますけど、サルじゃない人っていたんですか?僕除いて。」
「居たわ。」
居たんかーい。
「誰ですか?」
「布忍中豊。」
「誰ですかそれ。」
「一年の時居たけど、覚えてない?」
「人には全くもって興味を示さない性なので。」
「私と去年同じクラスで、あなたと同じ性格してたけど6月に長崎の五島列島の方に転校しちゃった。」
「それはそれは。」
「それから男子たちが告り始めたの。」
「ライバルがいなくなったからですね。」
「そう。」
「そして二人ほど付き合ったけど、速攻で別れたと。」
「そういうこと。じゃ、私帰るね。」
彼女が背中を向けて帰ろうとする。
「あ、ちょっと待ってください。」
「何?」
「2つ話したいことがあります。」
「早く言って。塾あるから。」
「一つ目は、このことは秘密にしてくれませんか?」
「なんで?」
「馬鹿な男子たちから訝し気な視線を向けられかねないからです。」
「そう。ならそうしておこうかしら。」
「よかった。僕は何が何でも誰かが疑いの目的なものを向けられている雰囲気には無理があるんで。」
「そう。2つ目は?」
「これから2人でいるときは、名前で呼んでもいいですか?」
「それくらいなんでもない。いいよ。」
「ありがとう。由宇。」
「・・・」
「・・・恥ずかしいですね。」
「そ、そうね。じゃ、塾あるから。」
「はい。それじゃ。」
かくして、僕らの彼氏彼女としての関係が始まったのだった。