来訪
一機の銀色をした円盤が、遥か上空の雲間から夜の地球に降り立ち、そこからクラゲ形の宇宙人が姿を現した。
宇宙人は人気のない道で、たどたどしく千鳥足で歩く一人の青年に声を掛けた。
「どうもこんばんは、私はチルア星人のロッポと言います。友好の為にこの星を訪れました。どうか、仲良くしましょう」
しかし、声を掛けられた青年は、
「おや、宇宙人の幻覚が現れたぞ。どうやら今日は呑みすぎたようだ。さっさと帰って寝るとしよう」
と呟き、ロッポの存在を無視してそのまま歩き去って行った。
その日、地球に宇宙人が訪れたなどという事実はなく、青年の言う通り、全てが酔いからくる幻覚であった。