三話:邂逅
部屋の中に入ってみると、不思議なものがいっぱいあった。
テーブルの上には、絵や文字が表示される薄い板がいくつも置かれている。
部屋中央にはガラスで出来た大きな筒が2つあり、片方は割れてしまっていた。
「なんだアレ」
リクはもう1つ筒の中身が気になり、もっとよく見ようと近づいていった。
ガラスの筒には、緑色の液体で満たされており何かが浮かんでいる。
リクが立っている場所からでは、それが何か解らなかったので反対側まで回る事にした。s
中身が確認できる位置まで回り込んで、見上げるとソレと目が合ってしまった。
「うわぁぁぁ」
予想外のものに声をあげてしまう。その中身は人間だった。
リクは無意識のうちに後ずさりしていた足を躓かせて尻餅をついていた。
足を動かしてもそこから離れるこtはできなかなった。
「何でエンジュのアホたれが居ないんだよ。 何処いたあいつはぁ」
全くに八つ当たりである事にリクは気づいていない。
心細さから折れかける心を奮い立たせる為に自分言い聞かせる。
「足がある。 あれは、オバケじゃない。 オバケじゃない」
よく見るとソレは少女だった。
身長は130cmくらいで顔つきはリクより幼い。
11、12歳くらいだろうか。
何かが解った時、さっきまでビビっていた自分がおかしくなって落ち着きを取り戻した。
「生きてるのか」
ガラスの筒の観察しているとプレートが付いており、何かが書かれている。
「ヒ…… ナ…… タ? ヒナタってかいてるのか」
リクがそう言うと少女は反応するように、ゴボッと気泡が少女の口から液体の中へ溶けていった。
「そこから出たいのか、お前」
その瞳に何も映さない虚ろな目をした少女は答えない。
でもリクは出してやらないと、助けださないとと思った。
どうすれば助けれるかリクは分からない。
ただ、ガラスなら叩き割ればいい。
リクはテーブルの近くにあったイスを持ち上げて、何度も何度も殴りつけた。
「ガラスで出来てるくせに、なかなか割れねぇ。 根性あるなこいつ」
リク能力を使うか、力に強いエンジュを呼びに行けばもっと簡単に割れたかもしれない。
だが、悲しい事にリクは 脳筋だった。
割れないなら、割れるまで殴り続ければいい。
シンプルなバカは時として奇跡を起こす。
いく度目かの打撃で、ガラスの筒にヒビが入り、とうとう割る事ができた。
辺りには、少女を守っていた保護液が流れ出し、水流と一緒にしょうじぃが流れ出た。
「はは、やってやたぜ」
リクは達成感からか、やり遂げた顔で額に汗拭った。
そして急いで少女に駆け寄って抱き起こす。
「良かった。息はしてるんだな。 水中で生きられる何てすごいなお前」
そう言いながら怪我は無いかと、血が滲んだ跡がある。
しかし傷は無い。
おかしいなとリクは自分の手を見た。
ソレは自分の手から出たものだった。ガラスを割る為に何度も殴りつけた手。衝撃に負けて手の皮が破れていた。
さっきまで、痛みは無かったのに自覚すると急に痛み感じる。
「いってぇ」
痛みに涙が出そうになるが、隣に横たわる少女を見ると泣いてもいられなかった。
どれくらい時間が経ったか分からなかったが、ながいしている事は確かだった。
「やべぇ、そろそろ戻らないとソウの兄貴にどやされる」
リクは痛む手を我慢し少女を背負い、来た道を戻る事にした。